咲さんの生き方
咲さんが可哀想というご意見がありましたが、私はそうは思いません。咲さんは仁先生がいつか未来へ戻ることを覚悟し、それを望んでいました。仁先生の医術があればそれで十分、とも言っていました。それは偽善でも強がりでもなく、咲さんの純粋な気持ちだと思います。
仁先生の記憶が薄れていく中で、自分は確かに恋をしていた(その想いだけで一生を独身で通せるような一途な恋を)ということを実感できただけで、そしてその想いを150年後の仁先生に残すことができただけで、幸せな人生だったと思えます。生涯を医の道に捧げ、さらに野風さんの娘・安寿を引き取り「母」として生きることもできたわけですからね。
むしろ切なすぎるのは現代へ戻り全てを把握してしまった仁先生かも。でもその仁先生も、現代で医の道を歩み、橘未来さんと結ばれるのでしょう。龍馬さんが「先生はいつか自分達のことを忘れてしまうけれど、悲しむことはない、見えなくても共にいる」と言っていたように歴史の修正力は残酷だけど優しいものですね。
この終わり方は私はハッピーエンドととらえています。個人的な気持ちですが、続編も映画化もスピンオフも私には必要ありません。前作から続いていた色々な謎が溶け、納得できる素晴らしい、見事な完結でした。
ひねもす/女性 2011.6.27 (Mon) 13:59