石丸Pのもくろみと最大の伏線!(その4)
咲は、「私は10年前に生死のはざまをさまよったのでございますが、ホスミシンというお薬のおかげで無事に生きながらえることができました。そして、先生とお約束した仁友堂をのちの世に残すために今日まで無我夢中で走ってきたのでございます。」とこれまでの仁との出来事を語った。
「ホスミシン?・・・あれは俺・・・だったのか?咲さんを助けるために?」・・・仁はあの時、階段でもみ合った相手が自分だったことに気づいた。しかし、仁にはそれ以外の現代の記憶はまったくなかった。あの時のような頭痛も今はない。「戻るぜよ、あん世界へ」という不思議な言葉によって、仁はあの別れから10年後の明治の世に再び舞い戻ってきてしまったのである。
一方、戦場の西郷は、「いったんは南方先生に助けられたこの命でごわすが、より良き国を創る為に、この命が城山の露と消えようとも惜しむことは何もありもうさん」と自決を覚悟した。そして戦争は終わり、平和な世が訪れた。
現代であった事はすべて忘れ、素性の分からぬ自分を受け入れてくれたこの明治という時代でたくましく生きる決意をする仁。
この10年であらゆるものが変わった。町も人も。あの夕日のきれいな丘も今は公園となり、仁はベンチに腰掛けながら咲に言う。「わたしと一緒になっていただけませんか」「夕日がきれいでございますね。時代がいくら変われども、夕陽はいつの世も同じように昇り、同じように輝くのでございますね・・・はい、咲はこれからもずっと先生のことをお慕い申しております」 (完)
ニャガちゃん/男性 (46) 2011.6.28 (Tue) 22:27