TBS SPORTS 陸上

寺田的コラム

【全日本実業団陸上@熊谷2日目②】

2020.09.22 / TEXT by 寺田辰朗

女子やり投げ・北口が63m45の大幅大会新、
東京五輪マラソン代表の服部は10000mで27分47秒55
ともに今季2戦目で明確なステップアップ

写真

 全日本実業団陸上第2日は9月19日、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた。雨に見舞われる悪コンディションとなったが、女子やり投で北口榛花(JAL)が63m45の大会新記録で優勝。実業団選手最高をマークした。

 男子3000m障害でも山口浩勢(愛三工業)が8分25秒34の大会新で3位(日本人1位)。男子砲丸投でも佐藤征平(新潟アルビレックスRC)が18m20の大会新で優勝した。

 男子10000mでは東京五輪マラソン代表の服部勇馬(トヨタ自動車)が27分47秒55で日本人トップの7位に入った。

●修正軌道に乗った北口の新助走

写真

 北口榛花の4回目までは、3投目の59m48がベストだった。前戦のゴールデングランプリ(GGP。59m38で優勝)とほぼ同じレベル。昨年投げた日本記録は66m00である。スピードを上げるために今季から助走を改良し、GGPが新しい助走での最初の試合だった。
「GGPでは助走を頭で考えないといけない状態でしたが、そこからは脱して、最近の練習では意識しないでも速く走れるようになってきました。GGPの反省で、(今日の前半試技は)やりを引いた状態にセットする過程を意識して修正していきました」
 
 4回目まではやりを投げ出す角度も高すぎたように見えたが、5投目に若干低い角度で投げると、やりは62m88に着地。6投目には63m45まで記録を伸ばした。
「5、6投目に修正したところは同じですが、5回目でやろうとした動きができたので、6回目は(修正を意識することを)頭から消して、投げる方(への集中力)を思い切り出して投げました」
 
 北口にとっては日大4年時だった昨年投げた66m00、64m36、63m68に続いて自己4番目の記録。実業団選手の記録としては過去最高記録になる。そして新しい助走で投げた自己最高記録である。
「1試合目のときよりも、確実に成長した自分を出せたと思っています。今回は5回目に足りないところを気づきましたが、(2週間後の)日本選手権では最初からそれをできるようにしたいです」
 新助走は修正軌道に完全に乗った。北口のやりが日本新の軌道に乗るのも、意外と近いかもしれない。

●マラソンの目標が確実に上がった10000mの自己新連発

写真

 服部勇馬は、鈴木健吾(富士通)とともに外国勢に食い下がり、5000mを13分45秒2(筆者計測。以下同)で通過した。2倍すれば日本記録(27分29秒69)に近いタイムになるが、中間を過ぎて1000m毎が2分45秒から2分47秒、2分48秒、2分51秒と落ちていった。
 
 一時は鈴木の方に余裕がありそうに見えたが、最後の1周で服部がスパートして鈴木に3秒61先着した。27分47秒55(7位。日本人1位)は自己新記録。7月のホクレンDistance Challenge網走大会の27分56秒32に続き、2大会連続で今季日本最高記録だった。
「思っていたより速いペースで進みましたが、1周66秒ペースを余裕をもって走ることができ、流れに任せてレースを進められました。ホクレンと同じくらいの状態だと思っていましたが、ホクレンより前半を速く入ってこのタイムが出たので、その点は満足です」

 レース前の体調は同じでも、大会の位置づけは異なった。網走大会もマラソンのフォームで走ることを意識はしていたが、「タイムをしっかり狙う」ために走った。

 それに対して全日本実業団陸上は、「年末にマラソンに向けて8月のお盆明けから1000kmくらい走り込み、練習の一環として位置づけていた」という。
 
今大会の服部は、10000mのタイムを出すための完全な調整はしていなかった、ということだ。それでも数字的には網走大会よりもよかった。
 
 年末のマラソンの目標には言及しなかったが、今後の自身のマラソンを展望を「66秒で25周押して行けないと2時間4分、3分は難しいですから」という言い方で話している。網走大会のときは2時間4〜5分だった将来的な目標が、2時間3〜4分に上がっていた。服部のなかで何かが、ワンランク上がった結果だろう。

 「僕はまだ2時間7分27秒(18年福岡国際マラソン)の選手。2時間5〜6分台を出せる自信はありませんが、2時間5〜6分台が身近に感じられるタイムになってきました。2時間5分台が出せたとき、次の目標がすぐに持てるように、2時間3〜4分台を今から設定していきます」

 条件やメンバー次第では、次のマラソンで2時間5〜6分台も目標にしていく。そう受け取って間違いないだろう。

 ニューイヤー駅伝を除けば服部の2020年シーズンは、網走大会と全日本実業団陸上の2レースだけ。だがその2大会で、マラソンで目指すところが確実に上がっている。

おすすめ記事

ジャンル別ポータルサイト

Paravi

このページのトップへ