寺田的コラム
ホクレンDistance Challenge第2戦深川大会①
2020.07.09 / TEXT by 寺田辰朗

写真提供:フォート・キシモト
田中希実が女子3000mで18年ぶりの日本新
“レジェンド”福士の記録を更新
歴史が動いた夜になった。ホクレンDistance Challenge深川大会が7月8日、北海道深川市の深川市陸上競技場で行われ、女子3000mで田中希実(豊田自動織機TC)が8分41秒35の日本新で優勝。五輪4大会連続出場のレジェンド、福士加代子(ワコール)が2002年に出した8分44秒40を18年ぶりに更新した。女子10000mA組では東京五輪女子マラソン代表同士、前田穂南(天満屋)と一山麻緒(ワコール)が対決。前田が31分34秒94の自己新で優勝した。一山は32分03秒65で2位。男子マラソン代表の中村匠吾(富士通)も10000mB組に出場。想定された範囲の28分49秒95でフィニッシュした。

写真提供:フォート・キシモト
●ラスト1周を63秒と猛スパート
田中希実(豊田自動織機TC)の第一声は、冷静だった。
「今はうれしいというより、練習の成果を出せてホッとしています」
それだけ、ホクレンDistance Challengeに向けて良い練習ができていた。本Facebookの展望記事でも紹介してきたように、1500mのタイムトライアルでは4分13秒で2本、3000mでは男子高校生に引っ張ってもらったとはいえ、8分47秒6で走っていた。量は多くないが質が高いのが田中の練習の特徴だ。
日本記録を狙うことは決めていたが、「今回はきつい練習を続けて来ていたので、タイム設定をするよりも自分の感覚でレースを進めた」という。それだけ練習に手応えがあった。スタート直後から自身が先頭に立った。
だが、先頭を引っ張り合うと思われたH・エカラレ(豊田自動織機)が、前に出ることができない。田中がずっとトップを走り続けた。1000mは2分53秒と日本記録ペースで通過したが、2000m通過は5分53秒で3分00秒かかった。最後の1000mを2分51秒まで上げなければ日本新を出すことはできない。
2000mまでは1周70秒ペースだったのを、2000mから2600mまで68秒ペースに上げた。最後の1周を66秒まで上げれば日本記録と同じになるが、田中は残り1周を切って猛然とスパート。ラスト400 mは63秒で日本記録を3秒05も更新していた。
日本陸連の河野匡ディレクターは「ラスト1周63秒は強い。それも、自分でレースを進めての結果だから。力がついたね」と評価した。
田中はこのあと一度地元に戻り、兵庫県選手権800 mに出場し、再度ホクレンDistance Challengeに参戦する。網走大会(7月15日)では5000mを走る。
「今回、1500m(士別大会で4分08秒68の日本歴代2位)を3000mに生かすことができました。5000mでも記録が狙えるのかな」
昨年の世界陸上ドーハ大会で14位に入ったとき、田中の記録は15分00秒01の日本歴代2位。日本人2人目の14分台突入と、福士が2005年にマークした14分53秒22の日本記録更新も期待できそうだ。
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