ありがとうございました
『JIN-仁-』は、歴史、医療、SFのドラマ、愛の物語でした。10年連載された壮大な原作を絞り込み、医療という科学、歴史を忠実に再現する仕事は、役者さん、スタッフの皆様の熱意、大変な労力の結晶で、心から感謝いたします。一つのセリフのために、最も役にあった名優が選ばれ、役者さんが心をこめて演じ、仁先生、龍馬さん、咲さん、野風さんを始め、全ての登場人物が、今も心に残っています。前作は、コレラ菌との戦いに感動し、ペニシリン製造の実験装置に驚き、洪庵先生に心打たれました。器、心意気など時代劇らしいテーマもありました。
今作は、幕末の動乱期の救えなかった命、龍馬さんの闇も描かれました。第三話の牢屋の場面で、仁先生が自分を殺そうとした人を2度も救命し、畳の分かち合いになりましたが、あの場面は、洪庵先生の平らな世、咲さんのいう「仁」をお持ちの先生の姿でした。仁先生は、涙もろく現代人らしく?迷い悩みますが、患者を差別せず、救おうとする真摯な姿に、周りの者は懸命に助力してしまう。そこに光がうまれ、一筋の道が始まる。光に照らされて、迷子の龍馬さんも元の道に戻りますが、幕末の闇と受難を目の当たりにし、現代に戻った仁先生が光を与えようと誓うラストは、明日を生きる勇気を与えてくれます。
相思相愛で結ばれる結末ではなくとも、仁先生、咲さん、龍馬さん、野風さんのそれぞれの、無私で人を慕う、深く、そして自由な心はすばらしいものでした。野風さんと龍馬さんには「雪」、咲さんと仁先生には「揚げ出し豆腐」と、合言葉のような象徴的な言葉をあわせたのも、粋あるいは微笑ましく。最終話の予告編で咲さんの瀕死の姿を見て、先生が現代に戻っても、せめて咲さんには、先生との絆である医を全うさせてと願いました。ところが、最終回の手紙の場面が切なすぎて、仁先生と咲さんを一緒にさせてあげたかった、と思うほど、泣かされました。でも今は、医療に生きた生涯は、咲さんが選んだ幸せなのだと思えます。これから世界のどこかの「お医者にかかれない社会」に生きる女性が、『JIN-仁-』を見て、咲さんのようなお医者様になりたいと思うことでしょう。
お名残惜しいのですが、今後のTBSの名作と、大沢さん、綾瀬さん、内野さん、中谷さんの新作を楽しみに致します。最後にこのサイトに寄せられた数々のすばらしいメッセージと、更新を続けられたご担当者にも感謝いたします。
NGO仁友堂ボランティア志望/女性 (54) 2011.7.22 (Fri) 11:56