出水:御宗家は1959年、25世宗家 観世左近の長男として生まれ、4歳で初舞台。東京芸術大学音楽学部を卒業。1990年に家元を継承され、室町時代の観阿弥、世阿弥の流れを汲む観世流の26世宗家として、能楽界を牽引されていらっしゃいます。
JK:この度、「紫綬褒章」受章されて、おめでとうございます。
御家元:大変身の引き締まる思いでございます。それと、今まで私をご支援頂いた皆様方のおかげと思っております。また私の舞台上の芸事のことのみならず、私どもの家に伝わっております、伝来の表装束、能面類、古文書、それらを観世アーカイブということで、インターネット上で公開させて頂いております。それも大変、評価の対象になったということなんです。
JK:それだけ本物をお持ちですから、600年?
御家元:680年くらいです。実際、いまご紹介いただきました、世阿弥の直筆伝書類も、多く所持しております。
出水:なんと今日は大変貴重なものをスタジオにお持ちいただいました。
御家元:これは、能面でございます。私どもは「おもて」と申しますが、これは古いものの写しでございます。新面と申しますが、若女ともうしまして・・・
JK:眼がさわやかですよね。いつも口がフッと、、、アルカイックスマイルというんですよね
御家元:これは檜で作られています。表面の彩色は日本画の画法で描かれている。
JK:女性の美人の原点です。たまご型。これはほんものとそっくり、というか同じですか?
本物もお持ちなんですよね。
御家元:先生ちょっとお顔に是非つけていただきたいと思います。
JK:よろしいんですか?え、コワイ・・・
御家元:作法がございまして。表面はお触りにならないで、穴だけをお持ちいただきたいんですね。お顔にお付けになるときに、拝礼をして、「いただく」と申します。どうぞ。そしてそのままどうぞどうぞ。
出水:いま、お顔にはまりました。如何でしょうか。
JK:なんか、穴が二つあって、それがひとつに見えて。焦点がひとつです。両脇が一切見えません。ですから、心を集中するために、この中で、長年演じて来たことを、ひとつに、想像の世界で、集中力で物語るのではないかと思いました。息もできるし、お話もできるので、全然苦痛じゃないです。私ね、苦痛じゃないかと思っていたんです。唄われますよね。この中って、きっと汗だらけで、どうなっているんだろうと思っていたんです。
御家元:唄いの稽古をするときに、表を付けて稽古をするかというと、しない。一切してはいけないんです。「おもて」を付けたときの感覚というものを勉強する。
JK:想像して、それをわかってて、お稽古するんですね。
御家元:はい。それと、「いただく」と言うのですが、やっぱり祖霊礼拝ですね。ある人は、能面と対座して自分の魂を入魂するんだ、という方もいらっしゃるのですが、私はそうは考えておりませんで、やはり、今日の舞台、無事に務めさせていただいます、という祖霊礼拝。
JK:いろいろあるけど、全てに「いただきます」なんですね。なんか素敵な言葉。
=観世流ホームページ=
http://www.kanze.net/
=オンエア楽曲=
M1. the most beautiful girl in the world / PRINCE
M2. Amaging Grace Slide / 濱口祐自