コシノジュンコ MASACA

ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する30分。MASACA!な驚きを創造する人々…MASACA!な未来を想像する人々…そんな人々との出会い「MASACA!」がCREATIONを生み出す!

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コシノジュンコ MASACA
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出演者

コシノジュンコ
大阪府岸和田生まれ。78年パリコレデビュー。世界各地にてショウを開催。オペラやブロードウェイミュージカルの舞台衣装、スポーツユニフォーム、インテリアデザイン等幅広く活動。MASACAは初のラジオレギュラー番組。

出演者

出水 麻衣
TBSアナウンサー。
1984年2月11日生まれ。東京都出身。
上智大学外国語学部英語学科卒。
趣味:特スポーツ観戦・グルメツアー・観劇・ゴルフ・ランニングなど

2015年08月09日(日) 放送

2017年にパリで展覧会を計画中。テーマは「江戸の女」。

出水:今日のコラムは、ゲストの書道家紫舟さんの作品をパリのギメ美術館でご覧になられたことがあると・・・

JK:丁度展覧会に行きまして、ポーンと紫舟さんの1点、もの凄く強く荒っぽく眼に映ったので、紫舟さんだと思って。


(軸「虎」 ギメ東洋美術館「クレマンソー、虎とアジア展」出展-2014-)

出水:ヨーロッパ最大のアジアの美術館で。

JK:東洋美術館ですね。エミール・ギメという方が創立者ですけれども、私は2017年に「小袖」っていうと一般には分からないと思うんだけど、テーマを「江戸の女」っていうことで、パリっていうのはモードの街じゃなですか・・・。江戸時代は小袖がモードだったんですよ。小袖って言うのは何かというとお公家さん時代に十二単の一番最初に来ていた襦袢みたいなものですね。

出水:肌着のような?

JK:襦袢のような簡単なもの。それが表に出て大衆になって、それにいろんなアーティストが絵を描いて、それがあの時代のファッションですよね。いま例えばパリではコルセットを取って、スリップドレスでディナーをしているっていう、あれと似ているかなと思って。

出水:なるほど、本来だったら見せないようなものを解放していくという。

JK:そうですね。それとやっぱり日本のモードの歴史っていう意味でも、着物のアートの歴史を、やっぱり外に出て見せたいじゃないですか?ある会社が何千点って持っているんですね。でも一歩も外にでたことが無いので。

出水:小袖を持っているけれども公開したことがない・・・

JK:日本ではやったことありますよ。だけどこれをやっぱり外国に持っていけるチャンスが今かな、と思って。オリンピックもあって日本が世界から注目されていて、文化をね、外に出て見せて、交流ですよね。美術、芸術的なものって、すごく大切だと思うので。
私は現代の小袖みたいなものをデザインしているんですよ。着物を着たいけど、なかなか外国人は着られないじゃないですか。だけど着物ってひとつのニュアンスで、だから私が、ドレスなんだけど着物っぽいのを着ていると「着物っていいですね」って飛んでくる人がいるの。

出水:外国の方で。

JK:そう。だから着物って、着る物なだけど、キモノって世界から憧れられていて、昔は本当にこういうものを着ていたんだっていう、それは古いものだけど、現代ならこんなに素晴らしい面白いものがあるよ、できるよ、という展覧会を、計画です。

出水:2017年に計画・・・

JK:ちょうどパリコレの時期です。

出水:ちょっと先ですけど、楽しい計画ですね。

書家:紫舟さん パート1
ヴェネチアの拍手が、書を立体で表現するきっかけに。



出水:紫舟さんは2001年に書家としてデビュー。NHK「龍馬伝」「美の壺」、伊勢神宮「祝御遷宮」、内閣官房・農水省「JAPAN」など、日本の伝統的な書をアートとして国内外に発信され高く評価されていらっしゃいます。昨年は、フランス国民美術協会から日本代表アーティストに選出され、ルーブル美術館 Carrousel Du Louvreでの展示作品が「SNBA金賞」および最高賞となる「審査員賞金賞」を受賞されていらっしゃいます。そしてなにより美しいですね。

JK:テレビじゃなくてごめんなさい(笑)
こういうカワイイ方が、ものすごくダイナミックで「どうだ!」って書くのよね。

紫舟:ミラノでも3mくらいの大きな書を書いて来ました。

出水:そうですねミラノ万博のジャパンデーでも書いていらして・・・

JK:そういうときってね、筆の大きなのって重いじゃない?トレーニングとかするんですか?

紫舟:一応体力は落ちないように、軽くトレーニングは継続しています。

JK:そうですよね。。。紫舟さんの展覧会、何度か見ているんだけど、やっぱりね、書が飛び出てきたっていう感じがする。平面じゃなくて立体で。

出水:立体化されて、しかも光をあてて影をも見せていくような作品を作っていらっしゃいますよね。平面ではなくて立体化しようと思ったのは、どういったことがきっかけだったんですか?


(作品「∞無限大」)

紫舟:そもそもは10年くらい前に、ヴェネチアビエンナーレの審査員枠という形で展示したことがあったんですけど、それは紙に書いた書で、沢山拍手をもらいながら、拍手って不思議ですけど、見た人の気持ちが、拍手を通じて受け取った人にわかるんですよね。その拍手を訊いた時に「文化の域を越えられなかったなあ」と。

JK:どうして?

紫舟:その拍手の中で感じ取ったのは、極東のアジアに黒い墨を使って文字を書く文化があるんだなあ、という粋を越えられなかった。音楽とか芸術っていうのは、もっと簡単に国境を越えることができると思うんですね。
私が使っているのは日本語で、文化であって、そこに越えられない、通用していない壁を感じて。そこからですね、日本語ですとか、この国の文化を知らない人にも伝わる表現はないかと模索していたところ、文字が、紙とか、伝統から解放されて、立体になっていきました。

JK:立体っていう方法は、凄く珍しいですけれども、紙に書くっていうこと以外に、したことありますか?

紫舟:紙に書く以外に、、、、水に書くとか、ありますね。

出水:水?にじんじゃいますよね?

紫舟:水に書いていくと、どうなるんだろうとか・・・

JK:それ、すぐ写真撮らなくちゃね。

紫舟:そうですね、動画でとらえてみたりとか。磁性流体っていう、産業で使われている液体を使って書いてみたいとか、アトリエで実験しています。

JK:それ面白い。

出水:そういった実験を、拍手で文化の壁を越えられないと感じてから模索されたということですか?

紫舟:そうですね。ちゃんと通用する。海外で実績を積んだ、ではなくて、作品が通用する作家になりたいな、と。



JK:書ってルーツは中国じゃないですか。中国っていろんなタイプの書がありますよね。紫舟さんは、どんなタイプの書ですか?

紫舟:私ですか・・・?

出水:先生、チャレンジングな質問ですね。

紫舟:新しい時代ですかね。新しい時代の扉を・・・

JK:デジタルに通用するような?

紫舟:そうですね。扉を開けた先にある作品で、まだ誰も観たことが無いようなものを作りたいと、いつも思っています。

JK:書を通じてね。でもそれは不可能じゃないわね。面白い。紫舟さんならできると思う。ひとつの形にはまらないで、開拓しようという気持ちがあるもの。

出水:最初の立体の作品は「さみしい」というものだと聞いているのですが、なぜ。



紫舟:何も考えずに書を書いていると、私が感じている気持ちよりも、もっと奥の潜在意識みたいなところの感情がでてくるんですね。おそらくこの時は、東京に来て、本当に自分では楽しいと思っていて、刺激的だと思っているけど、心の底では寂しかったと思うんですね。

JK:感情ですね。

紫舟:感情ですね。はい。それで、紙に書いた書を紙から解放して、立体にして、そこに光をあてて、その鉄でつくられた寂しいという字を、より深くて大きな影が覆いかぶさるような作品表現にしました。

JK:本当は、影を作りたかったんですか?

紫舟:そうですね。影が主体です。さすが。

JK:「影を慕いて」って、あるじゃないですか、、、

紫舟:?

出水:?

JK:ちょっとダメか・・・(笑)
(※影を慕いて:1932年藤山一郎のヒット曲 作詞作曲古賀政男)

JK:でも私も影が凄く好きで、影って形がないのに在るじゃないですか。形がそこに描いてあるんじゃなくて、偶然にできた、光りから。光がないと影は無いですものね。

紫舟:まさにそうで。不思議なんですけど、こうやって手に触れられる距離にある人でも、みんな笑顔だし。その人の心の深い部分は悟ることも分かることもないんですけれども、影のような曖昧なものにこそ、よりその人らしさを感じたりとか、リアリティを感じたりとか、感情移入しやすいというのは、おそらく日本人だけじゃない、世界に共通しているものなのではないかと思いますね。

=オンエア楽曲=
M1. You Can't Hurry Love / Diana Ross & The Supremes
M2. Stuck In The Middle With You / Stealers Wheel

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