出水:西本さんは指揮者としてロシアからスタートして、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア諸国、各国の交響楽団や管弦楽団で次々と成功し活動範囲を広げていらっしゃいますが、指揮者としてのキャリアは、オペラからのスタート。オペラとの出会いは?
西本:大学の時ですね。1回生のときに、それは新作オペラだったんですね。そこで、当時は全部手書きでしたから、いまパソコンですけど、手書きなので殴り書きのように書かれますでしょ。それを読み取らなくちゃいけませんから、前後の理論が合わなくちゃいけないんです。だから作曲専攻の学生に緊急アルバイトみたいに話が来て、それを三日三晩寝ずに仕上げて。
JK:楽譜を用意するのが大変なのね。各パートごとに違うでしょ?
西本:それを一個一個仕上げて。
JK:それにオペラって長いもの。
西本:もう大変でした。それをやって、なんとか間に合ったんでしょね。そうしましたら、照明のキューを出してほしいと。楽譜を見ながらやるから。
そうしたら、使い勝手が良かったのか、今度は字幕のキューを出してほしいとそれも楽譜見ながら。
そして今度は現場で助手をしてほしい。テレビ局で言うとADさんのような仕事ですかね。
こちらとしては現場で勉強できるのは凄く嬉しいことでしたし、なにより楽譜をもらえるというのが、私にとっては財産というかね。高いんですよ、楽譜を買うと。なので嬉しくて。現場で。
そうこうしているうちにピアニストさんが電車の都合で遅れたから弾きなさいと。
出水:えーっ!
西本:歌手が遅れてきたから、指揮者が遅れてきたからと、現場の何でも屋さんで。そうこうしているちに副指揮をさせていただいて、まだ学生でしたけど。
JK:大失敗っていうことあります?
西本:ありますよ。(笑)
わたし曲間違ってふったことがあります。思い込んでいて。
私はマーチを演奏すると思っていたんですね。
だけど実際はワルツ。順番が違っていたの。
ワルツは三拍子でしょ。マーチは二拍子でしょ。
もう全然違うんですよ。
しかも、音量が大きいのと小さいの、全然違う曲だったので。
構えた瞬間、オーケストラのメンバーも「なんかオカシイ」と思ったみたい。
JK:お客さんにはわかったんですか?
西本:わかったと思いますよ。瞬間。
でもその瞬間、超スローモーションのようになって。
瞬間に、ワルツに切り替えたんです。
悪夢だと思いました。
=オンエア楽曲=
M1. 瑶族舞曲 / The China Central Chinese Orchestra
M2. ある晴れた日に(オペラ蝶々夫人より)
/ 西本智実指揮・イルミナートフィルハーモニーオーケストラ
=西本智実 コンサート情報=
西本智実プロデュース
座オペラ in新橋演舞場
〜 オペラ「蝶々夫人」全幕上演 〜
2015年5月26日(火):18:00〜 5月27日(水):14:00〜
お問い合わせ:チケットホン松竹 0570-000-489