JK:紫舟さんは6歳から書を始めているんでしょ。
紫舟:はい。
JK:きっかけは何ですか?大人っぽいはね。書を6歳でって。
紫舟:当時は、日本の家族の中で祖母は強い地位を占めていたと思うんですね。ウチもそうで。祖母が自分の孫全員に、日本舞踊とお習字の稽古はさせる
という「ルール」でして。
JK:ええっ!?
紫舟:そして私も両方スタートさせて、というのがきっかけですね。
JK:それから好きになった?
紫舟:好きだと思ったことは、多分一度もないですね。
JK:そうなんですか!意外ですね。
紫舟:はい。
JK:やりなさいって言われるとね。
紫舟:そうですね。そう言った意味では自発的ではなかったので、好きではなかったんですけど、幼稚園の頃からスタートしていたので、先生がとっても熱心で、人より早く上達できたので、そう言った意味では、自分を支える、子供ながらの自信になっていたので、そういった自分を支える礎なるものを手放すのは、子供ながらにも違うと思い、いつもいつも辞めたいと思いながら辞めずに、高校に入っても続けていました。
出水:小さい頃は、書ではなく、絵描きになりたいなんていうお話もありましたけど・・・
JK:絵も上手よね。
紫舟:ありがとうございます(照笑)絵が大好きで、絵描きになりたかったんですけど、高校生のときに先生に相談したところ、「絵描きになったら食っていけないと」
JK:おんなじだわ!!!!
紫舟:絵描きは美大とか芸大に行くためには予備校に通わなくてはいけなくて、凄い大変なんだって言われて。長い間ずっと絵描きになりたかったんだけど、たったその一言で簡単にあきらめてしまった自分に、いまでもずっと悔んでいて。
JK:その経験とか、コンプレックスって力になるでしょ。
紫舟:その悔いがあるので、もう二度とあんな想いはしたくないと思っていて、いまではできるだけ悔いが残らないような選択をしたりとか、その時諦めてしまったので、いまでも絵をずっとかいています。
JK:あ〜、活力になっているんだ。同じような生き方だと思う。子供の頃、いまに至るまでね。まず画家を志願してて、結果的にそうじゃない方向に私もファッションだけど、、、その想いがずっとあるでしょ。だから私も最近、絵を描いているし。だから、その想いが今頃、後から出てくるのよ。
紫舟:ね。あの頃やりきれなかったものって、後から出てきますね。
JK:でね。画家って死んでから有名になるでしょ。大抵みんな貧乏画家じゃないですか。よかったですね、書で。
出水:(笑)歴史上。
紫舟:(笑)そうかもしれません。
JK:でもね。書っていうけど、、それこそ俵屋宗達の絵の上に、本阿弥光悦が字を書いてっていう、あのコラボレーションは、この前もやっていらしたけど、どうですか?誰かの絵じゃなくて自分の絵ですよね。
紫舟:あのコラボレーションは、ひとりコラボで、絵の中に書が書かれていて、その書は意味を重視するのではなくて、絵を鑑賞するためのガイド的な役割だとか、絵をよりよく見せるための絵の柄の一部だとか、造形としての書の書き方というのを、いま取り組んでいるところです。
JK:どっちが主役というのではなくて。
紫舟:そうですね。ふたつでひとつ。
JK:絵を見せるための書?書を見せるための絵?
紫舟:どちらかというとマンガのような感覚で。マンガは絵もあって文章もあって成立するというか、そう言った間隔ですね。そう言ったところに到達したいと思い、取り組んでいるところですね。
JK:面白い!それ凄く日本的。
紫舟:そうですね。日本的だと思います。西洋では、絵の中に物語が書かれていたりとか、文章が書かれていたりすることは無いんですけど、日本とか、一部東洋では、絵の中に筆で物語が書かれていて。そう言った言い出は、美術と文学が非常に密接で、だからこそ世界でCOOL JAPANと呼ばれるようなマンガやアニメが発達したんじゃないかと思うんです。
JK:だから、マンガって言葉がすごく単純だけど、すごく長い長い歴史があった上で、あのような感性の人たちがいたんですよね。若冲とか何とか、マンガですよね。一種のね。
出水:紫舟さんは現在開催中のミラノ万博で日本館のサポーター、そして展示クリエイターも務めていらっしゃいますよね。日本館に入ってすぐのところに紫舟さんの作品が展示してあると伺ったんですけど。
紫舟:はい、ジュンコ先生の樽を越えた、エントランスを入った一番最初の空間に、映像作品と絵画とガラスと鉄の彫刻も飾っています。そこでは、書だけで構成されている映像なんですけれども、自然と調和していた私たちが、或る日、人が傲慢になって自然を壊してしまい、そして再び自然を取り戻すというストーリーを、書だけで、書のアニメーションで構成しているんですけれども、文楽の声ですとか、鼓の音とかが入り。本来ならば日本語なので世界の人たちが理解できない可能性もあるんですけれども、観に行ったときにですね、映像を観終わった人たちが拍手をしてくれていて。そう言った意味では、先週お伝えした越えられなかった文化の壁とか、言語の壁というのを、少し超えられた感じがしました。

(ミラノ万博日本館展示)
=オンエア楽曲=
1.FUNK FUJIYAMA / 米米クラブ
2.I WANT YOU BACK / The Jackson 5