プロデューサーの橘です。
第3部「疑心」解決編 いかがでしたでしょうか?
7話は6話のようなコメディ的要素もありつつ、また竜崎や伊丹の違った一面が描かれ、最後は気持ちよく終わる回にできたのではないかと思っています。
6話、7話でアイヌ語が出てきますが、これは原作からあった設定で、今回アイヌ語だけなく衣装など含め、多くの方に色々監修・ご指導頂きました。
北海道にいらっしゃる藤村久和先生(映画『許されざる者』などの監修もされています)他、たくさんの方のご指導と配慮により、劇中のアイヌ関係の部分が成立しました。ありがとうございます。
下記は、現場で言語指導頂いた成田英敏さんに、劇中で出てきた「アイヌコロ」という言葉の説明をお願いし、下記の文章を寄せて頂きましたので、掲載させて頂きます。
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アイヌ民族は北海道を中心に樺太南部、千島列島全域、本州東北地方に居住していた先住民族ですが、明治政府による同化政策によって日本人化を余儀なくされ、それにともないアイヌ語は衰退の一途をたどっていきます。その結果現在では「消滅の危機に瀕した言語」とされています。
アイヌ語は言語学的には「抱合語」と分類され、名詞、動詞、接辞などを組み合わせることによって、自在に合成語を作り出せるという特徴があります。
ドラマの終盤に畠山美奈子が竜崎に言った「アイヌコロ 〜を尊敬する」という合成語(他動詞)も、「アイヌ 人間」と「コロ 〜を持つ」に分解できるのですが、「人間を持つ=〜を尊敬する」という意味変化にも、アイヌ民族の精神文化が垣間見えます。
というのも、「アイヌ」という名詞には「人格的に優れた人」というニュアンスが含まれるからです。行いの悪い人物には「アイヌ」という言葉は使われません。なぜ「人間を持つ」が「〜を尊敬する」になるのか、言葉に含まれるアイヌ民族の精神文化を理解すると、納得できるのではないでしょうか。
畠田美奈子を演じた伊藤歩さんの話すアイヌ語を聞いて、アイヌ語に興味を持って下さる方が増えることを願っています。
成田英敏
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