ディレクター日記
5月19日(火)ディレクター日記
日記の内容
京都ほど四季折々に、五感を愉しませてくれるところはない、と京都を訪れる毎に思います。春夏秋冬、古都の街並も周囲の山並も美しい表情をみせてくれます。毎日のように、何かしら行事、お祭りが行われているのも1200年の歴史を誇る京都ならではです。
今回は春まっさかりの中でのロケ。各名所は桜をめでる人でものすごいことに…。そんな喧噪とはおさらばして、京都市郊外の洛西(らくさい)へ。桜の開花が話題になる頃、この一帯では竹の子の収穫が始まります。洛西とよばれる西山の麓は「京竹の子」の産地として知られています。今回撮影をさせていただいた竹林は、「大原野」という地の竹林。伝統的な栽培方法を守り続けて、上質な竹の子の生産をされている村上さんの竹の子掘りの様子を撮影させていただきました。この地方独特のL字型の鍬、「ほり」を使った竹の子掘り。素人の目ではどこに出ているのか全く分からない竹の子の先を見つけると、間髪いれず、土中の根元に当たりをつけ、躊躇なく鍬をざくっと一振り。あとは、てこの原理でギュ、ギュッと竹の子が土の中から姿を現してきます。まさに、熟練技。名人!です。ただ、やはりかなりの力が必要なようで、名人も息をきらせながら、掘ってらっしゃいました。掘り上げる時に鍬傷が入ったり、竹の子の先が潰れたりすると値打ちが下がるそうで、かなり繊細さが必要な作業でもあるようです。
京竹の子の旬は3月中旬から5月上旬頃まで。地上に出る前に掘り出した、色白の京竹の子、撮影後いただいてしまいました!瑞々しく、しゃきしゃきとした歯触り、ほんのり甘い竹の子。本当に美味しかったです。ワカメと煮る若竹煮でいただきましたが、いくつでも食べられる感じでした。やはり、上品な味わいなのは、京都だから!?京都の土と京都人らしい細やかな心遣い、手間ひまが、きっとこんな竹の子を育てるのだろうと思ったのでした。
撮影した場所の近くには竹林公園があり、いろいろな種類の竹を実際に見ることもでき、竹の奥深さにふれられます。高台にあるので、西山の眺望も楽しめます。
東山の方とはまた違った趣がある洛西。また一つ京都の魅力が増えました。
担当ディレクター:宮國史
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