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TBSみのりの風景

  • 毎週火曜よる10:54〜放送

ディレクター日記

2月10日(火)ディレクター日記

日記の内容

故郷を持つ人であれば、誰しもその故郷の誇るべき自然を心の中に持ち続けているのではないでしょうか?
私事で恐縮ですが、自分の故郷は埼玉県旧花園町(現・深谷市)です。私の故郷で思い浮かべるのは、荒川です。埼玉県、山梨県、長野県の県境にある甲部信ヶ岳を源に発し、埼玉県北部を東西に流れ、その後、流れを南に変え、東京湾へ注ぐ川です。
海のない県で育った私としては、荒川は泳ぐ場であり、物思いに耽る場であり、色々な意味で貴重な水資源でした。
徳島で色々な人に話を聞くと、私にとっての荒川が徳島の人達は吉野川でした。
今回、徳島での撮影の中心だった吉野川。大歩危(おおぼけ)と呼ばれる徳島きっての渓谷がある上流、景観美しい脇町潜水橋がある中流、そして徳島で有名な堤防、第十堰がある下流。その全てを撮影で廻りました。そして、当たり前かもしれませんが、それぞれに川の特徴がありました。上流は川の色がエメラルドグリーンのよう、中流は藍よりも青い感じで、下流は夕暮れ時に鳥たちが羽を休めていた姿がとても癒されました。
自然に癒されるのは人間だけではなく、他の生き物も同じなんだなあ!)。
人間も鳥も同じ生き物だから当たり前なのですが、それを凄く感じました。
今まで当たり前の事を当たり前に感じなかった自分を反省しながら・・・。
そして、第十堰での夕景撮影のため、しばらく“待ち”をしていたら、
偶然にも空に虹がかかりました。綺麗なアーチ状にはならず、半分位しか見えませんでしたが、すぐさま撮影したのは、言うまでもありません。すると、今度はもう1つ別の虹が掛かりだしたのです!つまり虹が2重にかかっていたのです!人生生で始めての経験でした!
虹がかかっている所が曇り空で、しかも2重にかかった虹の外側の方は、肉眼ではわかるのですが、カメラで撮影したら映らなかったので、放送では泣く泣くカットしました。
そして、次の日、徳島での撮影を終え、車で徳島空港へ向かう途中、聞いていた地元のラジオ番組から、あるメールのお便りを紹介していました。
「昨日、虹が2重にかかっていました!初めて見たので凄く嬉しかったです。」
とのこと。
遠く離れた、全く見ず知らずの人達が同じものを見て同じように感動する。
そんな小さな“ありふれた奇跡”に出会えた撮影でした。

担当ディレクター:天田誠