コンテンツへジャンプ

ここからコンテンツです

TBSみのりの風景

  • 毎週火曜よる10:54〜放送

ディレクター日記

3月17日(火)ディレクター日記

日記の内容

加賀百万石文化が今なお息づく石川県金沢市。
その金沢の象徴とも言える一つの川があります。それは浅野川です。
犀川と並んで、昔から金沢の市民に愛されてきた川です。

今回は、その浅野川であるものを取材しました。
昔から行われてきている風物詩、友禅流しです。
友禅流しとは、金沢で造られる伝統ある着物である加賀友禅を作る工程のうちの一つで、生地に付いた糊や染料を水で落としていく作業のことを言います。
昔は、冬になると浅野川や犀川のあちこちで、友禅流しが行われてきたそうです。
なぜ、冬に行われてきたかと言うと、昔、染めつく力が弱かった着物の染料に対して、冬の冷たい川の水に付けた方が、生地が引き締まり、着物に描いた柄も剥がれにくかったからでした。

そして、現在。時が流れて時代が変わるように、加賀友禅も変わりました。今では染料がしっかりしてきたため、冬だけでなく、1年中、友禅流しを行うことが出来るそうです。
さらに、友禅流しを行う場所も変わりました。
今では、浅野川ではなく、友禅流しを行う染色団地が建設され、水洗いのかなりの数が、地下水を汲み上げた豊富な水で行われるようになりました。
ただその中でも、浅野川での友禅流しにこだわってらっしゃる方も少数ですが、います。
今回取材させて頂いた荒木さんは、その数少ない中のお一人。
浅野川が友禅に適した水質(鉄分が少ない軟水)であること、
そして昔から浅野川に育てられた想いが強いことが浅野川にこだわる理由だそうです。

2月のとある日の朝7時。骨まで染み渡るほどの寒さを伴う浅野川に荒木さんは、入っていき、手馴れた手つきで加賀友禅を川に流していきます。
昔からの変わらぬ光景。
“友禅流し”!)いつまでもいつまでも未来に残しておきたい文化だと思いました。

担当ディレクター:天田誠