土曜の夜と、たけしと僕

第9回 2013年6月1日

「カンヌと殿」

先週、当番組でも取り上げた、第66回カンヌ映画祭が閉幕いたしました。

今年のカンヌ映画祭は、最高賞パルムドールを競う、
正式コンペティション部門に、日本の作品が二本も選ばれるという
話題でスタートし、最後はその中の一本「そして、父になる」が
審査員賞を受賞され、日本が沸いた、近年あまり記憶のない、
「ヨーロッパの映画祭が、わりかし身近に感じられた映画祭であったのでは」と、勝手に思う僕なのです。

このカンヌ映画祭が開催されている期間、当番組に、ゲストとして
出演されたアメリカ在住の映画評論家で、人気コラムニストの
町山智弘さんは、
「日本から選ばれた作品が、今回のカンヌで、何かしら賞を取る可能性は?」といった質問に、こう答えていました。

「今回は、審査委員長がスピルバーグなので、ちょっと可能性 はあると思います。スピルバーグは、子供についての映画が大好きなので、今回日本から行っている「そして、父になる」は少年と父親との話しなので、そういう映画にスピルバーグは弱いんです」 と

で、
町山さんの予想どおり、先程も書きましたが、
審査員賞を「そして、父になる」が受賞されました。

カンヌ映画祭が開催されている期間に、世界の映画事情に精通している
町山さんをキャスティングしたスタッフさんも素晴らしく、
さらに短いコメントの中でしっかりと「スピルバーグなら十分ありえる」と
言い切り、結果、予想どおりに的中させた町山さんもやっぱり素晴らしく。
僕は「そうだ、10年も前から町山さんの映画評のファンなのだ!」
と、一人勝手に誇らしく思う先週でありました。

で、
このカンヌ映画祭、当番組の“フリージャーナリスト・ビートたけし”
いや、北野武監督も、これまたすこぶる縁のある映画祭なのです。


まず、
新しいほうから順に、カンヌと北野武のかかわりをたどって行くと、

2010年、「アウトレイジ」が正式コンペに選ばれ出品。

2007年、カンヌ映画祭60周年を記念し、カンヌが選んだ監督35人に選ばれ、それぞれの監督が「劇場」といったテーマで3分の短編を撮り、上映するイベントにて、北野監督の「素晴らしき日曜日」を上映。

1999年、「菊次郎の夏」が、やはり正式コンペに出品。

1996年、「キッズ・リターン」が、『監督週間』招待作品として上映。

1993年、「ソナチネ」が、『ある視点』部門に正式出品。


改めて、“世界の北野”は伊達ではないと、よくわかります。

そして、カンヌ映画祭の話になると、殿から決まって出る話があります。

「オイラが菊次郎でカンヌに行った時よ、
クローネンバーグのバカが嫉妬して賞をくれなかったんだ!」

ちなみに、殿の言う“クローネンバーグのバカ”とは、「ザ・フライ」や「クラッシュ」などでカルト的な人気を誇る、世界的な映画監督であり、その年のコンペの審査委員長を努めた監督です。

この「クローネンバーグのバカ!」で始まる、殿のお決まりの
カンヌ思い出話をもう少し詳しく説明すると、こういった話です。

1999年、「菊次郎の夏」でカンヌのコンペに参加した殿は、
客を入れての公式上映後、それはそれは長いスタンディングオベーションを
受けたそうです。
この時の音声のみが、ネットにあがっており、聞いたことがあるのですが、
確かに軽く5分以上はある、大変鳥肌のたつ拍手喝采でありました。

当然その評判が広がり、「今年のカンヌはたけしの菊次郎か?」
去年のベネチアの「HANA-BI」に続いて、タケシがカンヌもかっさらうのか!
といった空気がわきだしたそうです。

後に僕は、この時のカンヌにて、公式上映の映画館で拍手をしていた、
ほぼ毎年カンヌとベネチア映画祭に通っている、イタリア人の映画ファン二人に、「あの時の現地はどんな感じだったの?」と聞いたことがあります。

イタリア人の二人は片言の日本語で
「アレハスゴッタヨ、ゼッタイタケシガトルトオモッタヨ。ゲンチノシンブンモ、ホトンドガ『キクジロー』ガトルト、カイテタヨ」と教えてくれました。

さらに、その時の審査委員だった女優・ソフィー・マルソーが
「菊次郎の夏」が無冠に終わった結果に納得せず、カンヌ映画祭を途中にして、怒って帰ってしまったそうです。

とにかく、「菊次郎の夏」が、その年のカンヌっ子達にうけていた事実は
よくわかります

で、
この、一連のカンヌ映画祭話には、さらに続きの話があります。

「きっとあれだよ、オイラが『みんな〜やってるか!』で、ハエ男が出てくる
シーンをギャグにして撮ったから『ザ・フライ』でハエ男の映画を真剣に
撮たクローネンバーグのバカが、怒って賞をくれなかったんだよ」byたけし談

いちいちクローネンバーグにバカをつけるのも僕的にはつぼなのですが・・・。
それはさて置き、

これに関しては、「殿、いくらなんでもそれはないのでは?」と
思うと同時に、その、負けず嫌いからくる、殿の実に都合のよい勝手な解釈に
弟子の身でありながら、改めて「たけしって面しれ〜な〜」と、納得する
僕なのです。

で、お前はなにがいいたいのだ?

ですから、この先、毎年やってくるカンヌ映画祭を、
漫才師出身の映画監督によって、さらに身近に感じられる年が、十二分にあると、勝手にわくわくしているわけで、

写真

写真は、そんなカンヌ映画祭開催中に、
例によって‘事情通‘にて、最近あまり町でもみかけなくなった
‘レゲエのおじさん‘を、必要以上に熱演をされたビートたけしさんです。

2013.6.1   アル北郷

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〆さばアタル・プロフィール

生年月日:1968年11月4日
出身地:香川県
1989年にビートたけしに弟子入り漫才師として「ダウソタウソ」「ウッチャソナソチャソ」「ダッチョ倶楽部」など師匠につけられたパチモノのコンビ名で活動。現在は「情報7daysニュースキャスター」などで自称ブレーンを務める。

アル北郷・プロフィール

生年月日:1971年8月26日
出身地:東京都
96年、ビートたけしに弟子入り。
08年、映画「アキレスと亀」にて東京スポーツ映画大賞新人賞受賞。
現在TBS系「情報7daysニュースキャスター」ブレーン。「週刊アサヒ芸能」にて「決して、声に出して読めない たけし 金言集」好評連鎖中

 

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