===森本毅郎・スタンバイ！===

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「悪い男」「わが故郷の歌」

2004年02月24日

悪い男 2/28(土)公開

今やちょっとしたブームの韓国映画だが、中でも僕が最も注目している監督キム・ギドクの作品。
物語は売春街をしきるヤクザの主人公が一目惚れした女子大生に侮辱され、復讐のため彼女を罠に掛けて娼婦にしてしまう。
ところが男は彼女に指一本触れず、客を取る彼女の姿をマジックミラー越しに眺めるという異様な展開・・
日本では３年前に「魚と寝る女」しか公開されていなかったが、今年は「悪い男」をはじめ未公開作４本が相次いで公開されるという人気急上昇ぶり。
台詞は極端に少なく映像でストーリーを語るというスタイルが特徴で、世界中で僕が今一番注目している監督。

「わが故郷の歌」公開中

イランに住むクルド人のバフマン・ゴバディ監督の作品で、　物語の舞台はイラン・イラク戦争（１９８０～１９８８年）が終った後の、両国の国境地帯。
主人公はイラン側に住んでいるクルド人の年老いた音楽家。
あるとき家族を捨てイラク側に移り住んだかつての妻が救いを求めていることを伝え聞き、２人の息子ともどもイランからイラク側に旅立つ。
映画はほのぼのとしたユーモアをたっぷりの演出で、決して堅苦しくない。
３人が音楽を演奏をするたびにイラク軍のジェット戦闘機が飛び交うのだが、その爆音までも音楽の一部になってしまう状況が、印象的。

「ドッグヴィル」「マスター・アンド・コマンダー」

2004年02月17日

ドッグヴィル 2/21(土)公開

アカデミー賞主演女優賞を受賞したニコール・キッドマンと「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でカンヌ映画祭のパルムドールを獲得したデンマークの監督ラース・フォン・トリアーの顔合わせ。
ドラマはニコール・キッドマンが演じる謎めいた若い美女が逃げ場を求めてこの村にやってくるところからスタートする。
住民がわずか２３人という小さな村を監督はアメリカロケではなく、スウェーデンのスタジオに再現した。
驚くのはその村というのがスタジオの床に家や道路を白い線で書いただけというまるでリハーサルの段階のステージのような風景。
最初はとっつきにくいが見ているうちに違和感はなくなってくるところが、演出力のすごいところ。

マスター・アンド・コマンダー 2/28(土)公開

ラッセル・クロウがあの「グラディエーター」を思わせる理想的なヒーローを演じる海洋ドラマ。
今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞（ピーター・ウィアー）など、１０部門でノミネートされた話題作。
アクションが中心。その合間に少年兵達の成長や艦長と船医の友情が描かれていく。
クライマックスの嵐のシーンは「タイタニック」を撮影したメキシコの巨大タンクで撮影された。
アクションシーンもさることながら、艦長と船医がバイオリンとチェロを合奏したり、ガラパゴス諸島の美しい大自然など、叙情的なシーンの数々が印象的だった。

第７６回アカデミー賞予想&「ロード・オブ・ザ・リング　王の帰還」

2004年02月10日

アカデミー賞予想日本時間の３月１日発表

先日発表されたアカデミー賞は例年になく日本人にも興味深い顔ぶれ。渡辺謙の助演男優部門と「たそがれ清兵衛」の外国語映画部門に注目。
監督賞ピーター・ジャクソン（「ロード・オブ・ザ・リング／王の帰還」）心情的にはクリント・イーストウッド（「ミスティック・リバー」）だが、３部作を完成させた業績が称えられるだろう。
作品賞「ミスティック・リバー」この部門はファンタジーの「ロード・オブ・ザ・リング」ｖｓリアリティーの「ミスティック・リバー」の対決。
主演男優賞ショーン・ペン（「ミスティック・リバー」）
主演女優賞ダイアン・キートン（「恋愛適齢期」）予想の難しい部門だが、「アニー・ホール」以来の受賞の可能性が高い。
助演男優賞ティム・ロビンス（「ミスティック・リバー」）、渡辺謙さんには申し訳ないがティム・ロビンスの受賞は確実だろう。
助演女優賞レニー・ゼルウィガー（「コールドマウンテン」）これも先週見たばかりだがじゃじゃ馬娘を大熱演。ほぼ確実だろう。
外国語映画賞「みなさん、さようなら」（カナダ・フランス合作）この部門はこの一作しか見ていないが、受賞資格十分の素晴らしい出来。

ロード･オブ･ザ･リング　王の帰還 2/14(土)公開

一足先に発表されたゴールデングローブ賞で、作品賞と監督賞を共に受賞済み。
７年がかりのプロジェクトとなった三部作の完結編ということで、ドラマのクライマックスは主人公がリングを滅びの山の火口に投げ込んで、消滅させられるかどうか。
３時間２３分の長尺もので、ＣＧＩを駆使した戦闘シーンが全編の大半を占める。僕としては戦闘シーンが多すぎる気がしたが、ピーター・ジャクソンとしては戦争を正面から捉えようとする原作の意図を尊重したものだというので納得。
盛りだくさんのエピソードの中でも、特に感動的なのは３部作を通じて、主人公に影のように付き従ってきた従者の若者サムの存在が今回はヒーローのように大きくクローズアップされていること。
彼らの友情のドラマが、最大の見せ場になっている。

「ラブ・アクチュアリー」「この世の外へ　クラブ進駐軍」

2004年02月03日

ラブ・アクチュアリー2/7(土)公開

ヒュー・グラント、エマ・トンプソン、リーアム・ニーソン、アラン・リックマンなどイギリスのそうそうたる演技派が勢ぞろい
約２０名のキャラクターでさまざまな愛の形を描いたロマンティックコメディー。
監督はこれがデビュー作となるリチャード・カーティス。もともと脚本家で「ノッティングヒルの恋人」や「ブリジット・ジョーンズの日記」などのヒット作がある。
独立したエピソードの数々がそれぞれ微妙につながっているというスタイルになっている。
テロなど暗い事件が多い世の中だが、実際は愛に溢れているというメッセージ。
ただエピソードが盛りだくさんで、ちょっと欲張りすぎの印象を残す。

この世の外へ　クラブ進駐軍 2/7(土)公開

阪本順治監督の新作で、敗戦後の東京が舞台。
進駐軍の慰安施設のクラブで演奏するジャズバンドの若者たち５人を中心とする物語。
萩原聖人がジャズボーカルを披露するのだが、これは見物。
試写会の挨拶で阪本監督が「これは「どついたるねん」以来、最もわかりやすい映画です」と挨拶していた

「ニューオリンズ・トライアル」「みんなのうた」

2004年01月27日

ニューオリンズ・トライアル 1/31(土)公開

ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンが初共演のサスペンスドラマ。
原作はジョン・グリシャムのベストセラー小説「陪審評決」
見所は陪審員コンサルタントという存在。日本の裁判にはない陪審員制度を巡って暗躍するもので、被告側に有利になるように陪審員選びを裏で操作する様子がリアルに描かれている。
ＣＩＡ顔負けのハイテク機器を活用した調査力のすごさが見物。
ホフマンとハックマンは共にアカデミー賞を２度も受賞している大ベテランだが、なんと共演するのはこれが初めて。
監督はゲイリー・フレダー（「コレクター」の監督、サスペンスミステリーでお馴染み）

みんなのうた 1/31(土)公開

６０年代に一世を風靡したフォークソングブームの生き残りのシンガー達が、三十数年ぶりにステージに上がるまでをコミカルに綴った作品。
伝説的なプロモーターのため追悼記念コンサートが開かれることになり、３組のグループが登場する。
監督は俳優としても知られるクリストファー・ゲストで、「ドッグ・ショウ！」という前作で犬の品評会を巡る人間模様をドキュメンタリータッチで描き評判になった。
劇中で演奏される歌の数々は全てスタッフとキャストによるオリジナル。
どこから見ても本物のドキュメンタリーとしか見えないが、実は全てが作り物というところが見所。

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