寺田的世陸別視点
今日はここに注目! Day8 8月11日
男子走高跳の衛藤に予選突破の期待
女子3000m障害に世界新記録の可能性
◇◇◇◇◇出場日本人選手◇◇◇◇◇
▼男子十種競技 前半5種目
右代啓祐(スズキ浜松AC)
中村明彦(スズキ浜松AC)
▼男子走高跳予選11:15(19:15)
衛藤 昂(AGF)
▼女子100mH予選 10:45(18:45)
木村文子(エディオン)
紫村仁美(東邦銀行)
ここまで入賞がないフィールド種目最後の牙城として、衛藤昂が男子走高跳予選に出場する。
今季は4月に2m30の自己新で標準記録をクリアすると、5月のゴールデングランプリ川崎でも2m30の自己タイ。代表入りを確実にできたため、もう一度冬期練習を行ったという。
5月に、筋力トレーニングを追い込んでいる最中でも2m27を跳び、6月の日本選手権は確実に勝って代表を決めると、7月の世界陸上前最後の試合でも2m27をクリア。2m32の高さも惜しい跳躍だった。
「調子が良くて踏み切りが弾けていました。世界陸上では2m32を跳んで入賞したい」
そのためには予選を確実に通らなければいけない。2m31が通過記録だが、今季は走高跳全体が低調なので、決勝の枠の12人は埋まらないだろう。2m29を1回目に跳んだ選手まで予選を通りそうだ。
ダイヤモンドリーグでも「臆せず戦えるようになった」という今季の衛藤なら、予選通過はそれほど高い壁ではない。
女子100mHの日本2選手は標準記録こそ破っていないが、13秒0台を出していたため、国際陸連のインビテーションで追加代表入りが決まった。12年ロンドン五輪で木村が、13年モスクワ世界陸上で紫村が代表入りしているが、2人揃っての出場は初めて。
木村は2014年以降、冬期練習は米国アリゾナ州フェニックスで行っている。紫村も今年は2カ月間、米国ロサンゼルスでトレーニング積み「脇が開いて横に振っていた腕振りを、縦に振れるようになって力が逃げなくなった」という。
2人とも日本人初の12秒台も期待したいが、13秒0台を出せば予選突破が確実になる。
男子十種競技には右代啓祐と中村明彦のスズキ浜松ACコンビが出場し、前半5種目(100m・走幅跳・砲丸投・走高跳・400m)を行う。ロンドンは右代が48年ぶりの日本人五輪出場を果たした場所。中村は400mH代表として出場していたが、右代が戦う姿を見て、十種競技で五輪&世界陸上を目指す意を強くした。
海外日本人最高は仁川アジア大会で右代がマークした8088点。そのときの初日終了時の得点は4073点で、右代はその得点を上回りたい。前半型の中村は4200点くらいを取りたい。
決勝が行われるのは女子走幅跳、男子ハンマー投、女子3000m障害、女子200mの4種目。
記録的に期待が高いのは女子3000m障害。世界記録保持者のルス・ジェベト(バーレーン)だけでなく、世界歴代2位のセルフィン・チェプソル(ケニア)、世界歴代4位のハイビン・ジェプケモイ(ケニア)が出場する。
少し前までは五輪&世界陸上の中・長距離種目で世界記録が出ることは考えにくかったが、ロンドン五輪男子800mや、リオ五輪女子1万mで世界記録が更新されている。ペース次第ではジェベトの世界記録(8分52秒78)の更新もありそうだ。
女子200mには超人BIG7の1人、ショウナ・ミラー(バハマ)が出場する。
リオ五輪を制した本職の400mでは、大きくリードを奪いながらフィニッシュ直前に痙攣を起こして失速。4位でメダルを逃した。
200m準決勝は2組1位で、タイムは22秒49と全体でトップタイ。1組1位のダフネ・シパーズ(オランダ)や、100m2位のマリー・ジョゼ・タルー(コートジボワール)と、本職以外の種目で金メダル争いを演じる。
寺田 辰朗(てらだ たつお)プロフィール
陸上競技専門のフリーライター。
陸上競技マガジン編集部に12年4カ月勤務後に独立。
専門誌出身の特徴を生かし、陸上競技の詳しい情報を紹介することをライフワークとする。
一見、数字の羅列に見えるデータから、その中に潜む人間ドラマを見つけだすことは当代随一。
地道な資料整理など、泥臭い仕事が自身のバックボーンだと言う。
選手、指導者たちからの信頼も厚い。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。
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