8月4日開幕

寺田的世陸別視点

第16回2017.08.07

今日はここに注目! Day4 8月7日
女子ハンマー投のヴォダルチクに世界記録の期待

女子1500mで金メダリスト、世界記録保持者、800m金メダリストが激突

◇◇◇◇◇出場日本人選手◇◇◇◇◇
▼男子200m予選 18:30(8日2:30)
サニブラウン(東京陸協)
飯塚翔太(ミズノ)
▼男子三段跳予選 18:35(8日2:35)
山本凌雅(順大)
▼男子400mH準決勝 20:20(8日4:20)
安部孝駿(デサントTC)

世界記録が期待できる女子ハンマー投。その種目の金メダリストと他種目の金メダリスト、さらには世界記録保持者が登場する女子1500m。そしてサニブラウン(東京陸協)と飯塚翔太(ミズノ)の“金メダリスト”2人が出場する男子200m予選と、見どころ満載の1日となる
リオ五輪金メダリストのアニタ・ヴォダルチク(ポーランド)に、今大会初の世界記録が期待できる。
2009年の77m96を皮切りに世界記録を6回更新。世界でただ1人の80mスローワーであり、7試合で80mを投げる安定感も抜群の選手だ。気温が低めの天候が続いているロンドンだが、5日の予選終了後に「どんなコンディションでも対応する準備ができている」とコメントしている。
今季は世界記録更新こそないものの、7月に80m79、82m87をマークした。
82m98の世界記録を更新し、5つめの金メダルを手にする可能性が高い。
予選でヴォダルチクが喜んだのは、自身も含めポーランド3選手全員が決勝に駒を進めたこと。特に、22歳のマルウィナ・コプロンが74m97と予選全体でトップ通過。決勝ではポーランドのワンツーフィニッシュがなるかどうかにも注目したい。

女子1500mにはリオ五輪800m金メダリストのカスター・セメンヤ(南アフリカ)が参戦。
この種目のリオ五輪金メダリストのフェイス・キピエゴン(ケニア)、世界記録保持者のゲンゼベ・ディババ(エチオピア)と激突する。
セメンヤは本職の800mで、一昨年の9月から18連勝と圧倒的な強さを誇っているが、400mでも昨年9月に50秒40と、メダル圏内のタイムで走っていた。1500mも昨年7月に4分01秒99と、同じくメダルを望めるタイムをマーク。世界陸上ロンドンでどちらの種目に出場するか、ぎりぎりまで考えた末に1500mを選択した。
一方のキピエゴンも800mで1分58秒02の記録は持つものの、1500m専門のランナー。2011年の世界ユース(U18世界陸上)、13年の世界ジュニア(U20世界陸上)と世代別の世界大会を制すと、昨年のリオ五輪も22歳で制した。世界陸上を取れば陸上競技のグランドスラム達成となる。
ディババは2年前に世界記録を更新。ロングスパートが勝ちパターンで、北京世界陸上にも1500mで優勝した。今季は、姉のティルネシュ・ディババが持つ5000mの世界記録更新に挑戦している。1500mでどんな影響が出るだろうか。
3人の他にも、キピエゴンに今年のダイヤモンドリーグ・パリ大会で勝ったシファン・ハッサン(オランダ)、地元の期待を集めるローラ・ミューア(英国)らも金メダル候補。女子1500mはオールスター的に豪華メンバーとなる。

男子200mは予選が行われる。
一番の注目はサニブラウンで、100m予選で見せた走りから、この種目でも決勝進出が期待できる。
ただ、今季は日本選手権に20秒32の自己新で優勝しているとはいえ、100m向きのピッチの速い走りになっていた。最後まで持てばすごい記録が出る可能性があるが、持たなければゴール前で失速する可能性も。
飯塚は2010年の世界ジュニア金メダリストで、サニブラウンは15年世界ユース金メダリスト。世界のファイナルに挑戦しても、誰も驚かない。

寺田 辰朗(てらだ たつお)プロフィール

陸上競技専門のフリーライター。
陸上競技マガジン編集部に12年4カ月勤務後に独立。
専門誌出身の特徴を生かし、陸上競技の詳しい情報を紹介することをライフワークとする。
一見、数字の羅列に見えるデータから、その中に潜む人間ドラマを見つけだすことは当代随一。
地道な資料整理など、泥臭い仕事が自身のバックボーンだと言う。
選手、指導者たちからの信頼も厚い。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。

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