【ゆ】湯に浸かるは一時、沸かすは一昼夜
由美かおるさんがお湯に浸かるシーンは、すっかり『水戸黄門』名物のひとつになった。
撮影所には、丸や四角、いろいろな形やサイズの風呂桶があるから、背景のセットを工夫して毎回違うお風呂場を作っている。
でもまぁ入浴シーンが毎回出てきても不自然やし、かといってしばらくやらんと「寂しい」ちゅう声があちこちから出てくる。難しいとこやね。
けど、もっと大変なのは湯を沸かす作業。
お娟(かつてはお銀役)は、宿のお風呂に入ることもあれば、露天風呂に入ることもある。
これが、大きな露天風呂だと沸かすのに20時間もかかる。電気で沸かしてるからね。
撮影の前の日から、水を張った桶に大きな電熱の棒を入れて、下からジワジワとあっためていくんです。
あの気持ちよさそうな短いシーンも、そうやって準備に手間かけて撮ってるんです。
もちろん露天風呂自体、スタッフの手作り。
京都周辺でロケに使える温泉なんて、なかなかありませんから。
湯加減は、長く浸かってものぼせてしまわんよう、ふつうよりも少しぬるめ。
実際の由美さんはカラスの行水らしいけど、撮影でいつも長く浸かってるからかもわからんなぁ。
そういえば、かつて西村黄門様とお銀が露天風呂で混浴するってシーンもありましたな。