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佐藤多佳子 『一瞬の風になれ 第1部 イチニツイテ』 講談社 1470円 2006年08月31日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん
(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

佐藤多佳子
『一瞬の風になれ 第1部 イチニツイテ』
講談社 1470円

★こういうものは、本来なら完結してから紹介するべきなのかもしれない。全3部のうち、まだ第1部しか刊行されていないのだから、この段階で紹介するのは早すぎるだろう。と、わかってはいるのだが、しかししかし、そんなの我慢できない!

★高校の陸上部に入って短距離でインターハイを目指す少年たちの物語である。主人公の新二にはサッカーの天才である兄がいる。新ニも中学時代はサッカー部に所属していたが、天才の兄に比べれば、どうやってもサッカーで強豪校に入るのは無理だ。そこで、新ニは高校では陸上部に入ることにする。 「下半身に強烈なバネがあって、球技が苦手なタイプはスピード競技で大成する」と言う三輪先生は、「おまえは、100mを10秒台で走るスプリンターになれるよ」 と断言するが、本当にそうなれるのかどうか、新二にはわからない。サッカーを挫折したことの鬱屈が少し、彼には残っている。その感情が徐々にほぐれてくる。陸上部の仲間と会い、走ることの基礎を学び、風に向かっていくことの喜びを身につけていきながら。これは、そうやって自分だけのものを獲得していく少年の物語である。

★この物語は家族小説でもある。兄や両親のキャラがいい。兄はすごくいいやつなのだが、天才ゆえに出来ない人間の感覚がわからない。両親は熱狂的なサッカーファンで、新ニがサッカーを辞めて陸上部に入ったと知ったときはひどく落胆する。兄の試合は毎回応援に行く両親は、たまには新ニのレ!)スも観に行こうかと思っているが、新ニは「まだ来ないで」と止めている。暖かい家庭なのだが、やはり新ニには少し屈託がある。

★友情小説でもある。こちらはもう盛り沢山で、読みどころ満載。陸上部には幼馴染みの天才スプリンター、連もいる。連は優れた素質を持つ天性のスプリンターだが、管理されるのが嫌いで合宿をすっぽかしたりする。そんな連を新ニはいつもフォローしている。才能のある連と一緒に走れるのが新ニには嬉しいのだ。

★そしてもちろん優れたスポーツ小説でもある。私は短距離走など運動会でしか経験がないが、走る喜び、恍惚が伝わってくる。走ることは本当に楽しいと思わせる。

★緊迫感が最後まで持続し続けるのは、先に引いた挿話に見られるように、秀逸なディテールの積み重ねがあるからにほかならない。たとえば、新二が同じ新入部員の谷口若菜のことを考えるくだりがある。そこから引く。「こういう反応のトロさや走りの鈍さが、きびきびした短距離ランナーの中で馬鹿にされないといいけど。この子はただ適当な言葉を口にするのが嫌いなのだ−−って俺は思っている。無口でぼんやりしてるように見えるけれど、何かふさわしいきっちりした言葉を探しているうちに、世の中のほうが谷口の目の前をびゅんびゅん通り過ぎてしまうみたいだ」で、新二は幼稚園のころを思い出す。「好きな色何?」と尋ねたら、次の日になって「そら色」と答えに来たミサキちゃんのことを。みんなと一緒に遊ばないで、いつも変な形の折り紙ばっかり作っていた女の子のことを。

★こういう挿話が唸るほど、うまい。お断りしておくが、ミサキちゃんはこの回想に数行だけ登場する人物にすぎない。さすがは、佐藤多佳子だ。なにしろ、あの『黄色い目の魚』から四年ぶりの新作だから、それも嬉しい。8月に第一部、9月に第二部、そして10月に第三部が出て、この長編は完結する。つまり秋になれば、あさのあつこ『バッテリー』、森絵都『ダイブ』、そして本書と、三大スポーツ少年小説が出そろうということである。それを楽しみに待ちたい。いやはや、すごいぞ。読みはじめてすぐに傑作だと確信した。
服部文祥 『サバイバル登山家』 みすず書房 2520円 2006年08月24日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

服部文祥 『サバイバル登山家』
みすず書房 2520円


★うちは小学5年の娘がいまして、一人っ子ということもあって、ちょっと甘やかして育てたかな、という反省があるんですが、この夏、お盆前に3泊4日のキャップにでかけたんです。これは親は参加しない。あるサークルの企画で、ちゃんとアウトドアのベテランがついてはいるが、基本的に料理その他を、子どもたちに自分でやらせるという趣旨のキャンプなんです。はじめての体験で大変だったみたいですけど、キャンプから帰ってくると、少し行動も敏捷で凛々しくなったようでした。そのあと、すぐにもとの姿に戻ってしまいましたが。しかし便利なものに囲まれて、なんでもかんでも親がやってくれる生活から離れて、自分でやってみるというのはいい体験になったと思います。

★さてこの本、『サバイバル登山家』とは聞き慣れない言葉ですね。普通の登山は食糧や道具などしっかりした装備で山へ上るわけですが、このサバイバル登山は、極力装備を持たず、衣食住のできるかぎりを、山の恵みからまかなう、生存ぎりぎりを追い求める登山なんです。著者は現在36歳。山岳雑誌を出す出版者に勤務し、妻と三人の子どもがいます。経歴を見ますと大学時代からワンダーフォーゲル部に所属し、卒業してからも冬の登山を始め、スキー、ロッククライミング、沢登りとありとあらゆることをやっています。1996年にはカラコルム・K2(8611メートル)登頂も果たしている。

★そのうえでたどりついたのが、サバイバル登山というわけです。きっかけは93年に一人で知床半島全山を縦走していたときに、寝ているあいだにキタキツネに食糧を食べられてしまい、10日間をわずかな食糧を食いつないで生き抜いた体験があったからです。春とは言え、雪山の中で吹雪きに襲われ、遭難寸前までいく。雪の中を穴を掘って3日間閉じ込められたなかで、この著者の中で何かが目覚める。はっきりとは書いてませんが、人間のなかの「野性」のようなものでしょうか。

★そして1999年からは、さきほども申しましたように、食糧はお米と調味料、お茶。装備は時計をはじめ、電池を使うものはもたず、コンロや燃料、テントも持たないで、道なき道を行く登山が始まります。イワナを釣り、山菜やキノコ、それにカエルを食べる。火はいちいち自分で起こし焚火をする。夜は草を敷いてその上に寝る。この本のカバー写真に、著者がイワナの皮を口で引き裂いているところが写っていますが、ちょっとクマみたいに見える。火を起こす以外は、やっていることはたしかにケモノに近い。山のなかで途中、登山者や釣り人に会ったとき、著者は身を隠し、逃げようとする。それだけ野性に近づいている。

★著者は山のなかでいろんなものを口にしますが、そうしたなかから「食べられるものは旨い。食べられないものはまずい。舌をそんなシンプルな道具として使いうることは生命体のよろこびである」「サバイバル登山とは自分の体が隠しもている能力に出会う機会でもある」と本のなかで書いています。とうぜん、危険なことや不快なことに次々見舞われるわけですが、「そうすることでゲストからケモノへ近づける」とも書いています。

★まあ私はとても真似しようとはおもいませんが、この本のなかで著者が体験したことは、便利なものに慣れ切ったわれわれへ問いかけている。なにもしないでいると死んでしまう。体を動かして、五感を働かし、自分の能力のせいいっぱいを使って生きる。太陽の高さで時間を知り、雲の動きで天気を予想し、岩魚を釣り上げると「命を奪った」と思う。

★おもしろかったのが、最初のサバイバル登山の時だったか、無事に終えて下界へおりてきて、公衆電話で家に電話するんですが、呼びだし音を聞きながら「今、わが家とつながっているこの電話機のからくりはいったいどうなっているのだろう」と思う。この本を読んで、著者の体験を一緒に文章で追っているうちに、こっちも少し野生化していて、たしかに電話機って不思議だな、と思ってしまう。

★もう一つ、感想は、これは家に残されて帰りを待つ、奥さんと子どもさんは大変だなあ、と思いました。
ロレンツォ・リカルツィ 『きみがくれたぼくの星空』
河出書房新社 1680円
2006年08月17日
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(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

ロレンツォ・リカルツィ
『きみがくれたぼくの星空』
河出書房新社 1680円


★この放送で「今年のベストワン」という言葉を2回も使ってしまっているが(『鴨川ホルモー』、『アイの物語』)、困ったことにまたまた年間ベスト級の作品が登場してしまった。少なくとも50歳以上の人が読めば、堪らない気持ちになるだろう。

★主人公トンマーゾはかつて名の知られた物理学者だった。しかし、82歳の現在は脳血栓を患い、半身不随となって老人ホームにいる。車椅子に乗り、介護士の 手を借りなければ食事も満足に出来ない。彼の体には不満が充満している。彼のこれまでの経歴とはかかわりなく、介護士たちにまるで幼い子どもか重い荷物のように扱われるからである。

★たとえば、幼い息子がすっ飛んできて腕に飛び込み、くるくるとまわしてもらいたがった日のことを思い出すくだりがある。出かけるときはすぐに彼の手を握った幼い息子ダヴィドのことを、彼は時折そうして思い出す。あるいは、カレンと知り合ったときのこと、大学の前の小さなパブで、彼女のテーブルに近づいて、何か飲みますかと声をかけたときの胸の鼓動を、彼は思い出す。これらの回想が哀しいのは、ダヴィドは四歳のときに交通事故で死んでしまったからだ。妻のカレンは六十五歳で癌で亡くなってしまったからだ。

★で、こんなふうに述懐する。「老いぼれて、しょぼくれて、ひとりぼっちのいま、来し方をふり返ってみると、ぼくの人生はまるで他人の人生のように見える。ぼくの愛した人たちはもう誰もいなくなった。ひとりまたひとりと、年月に呑みこまれてしまった。ぼくに残っているのは思い出だけ。でもその思い出だってぼやけてしまって、ぼくの記憶力では、かつてのように鮮やかには浮かんでこない」

★しかし、ここから恋物語が始まっていく。彼はその老人ホームで七八歳のエレナと知り合うのだ。彼と同室の老人にはまだばりばり現役の元気な爺さまがいるけれど、彼はそうではないから、究極のプラトニック・ラブだ。しかしこの恋が胸に残るのは、彼を変えていくことだ。気難しくて、自殺まで考えて、生きる意欲を失っている彼を、この恋が変えていくのである。その変貌が素晴らしい。

★グレン・サヴァン『ぼくの美しい人だから』の解説で、片岡義男が書いていたことを思い出す。恋愛が当事者の意識を変革していく過程があるからスリリングなのだと片岡義男は書いていた。逆に言えば男と女が出会うだけの恋愛小説はつまらない。『きみがくれたぼくの星空』が素晴らしいのは、エレナとの恋の行方を眼目にするのではなく、この恋がトンマーゾ・の意識を変えていく姿を描いているからだ。その意味でここにあるのは、究極の恋物語といっていい。

★だから元気が出てくる。年老いて、もう何にもないとうなだれている自分を、叱咤激励する声が聞こえてくる。過ぎ去った日々を思うしかないというのは哀しいけれど、しかしまだ終わったわけではないのだ。

★老人ホームに住むさまざまな老人たちの描写もなかなかよく(エレナの崇拝者ファルディ老人と彼の関係を見られたい)、介護士の視点での後日譚がラストに入ると、それまでの風景が途端に違って見えてくるという構成もいい。回想の挿入も効果的。やはり年間ベスト級の優れた小説だ。
小松左京 『SF魂』 新潮新書 714円 2006年08月10日
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小松左京 『SF魂』
新潮新書 714円

★日本SF界の巨匠、小松左京さんの自伝です。いま1973年の大ベストセラー「日本沈没」の第二弾が出て、映画版「日本沈没」のリメイクも上映中で、小松左京さんの名前を何度も眼にする今日この頃です。 「日本沈没」って、上下合わせて400万部売れたそうですね。地殻変動が起きて、日本列島が沈没するSF大作で、その発想に当時みんな度胆を抜かれました。この本の帯にも、「私が日本を沈没させました。」と書かれてある。日本を沈没させるんだから、とにかく並の人じゃない。で、この本を読んだら、たしかに日本を沈没させるくらいは朝飯前のすごい人でした。

★小松左京さんは本名は小松実、1931年大阪生れです。京都大学文学部卒業。しかし、作家デビューは31歳と意外に遅い。そのあいだ、何をやっていたか。これがいろんなことをやってるんですね。まず大学生のとき、モリ・ミノルとうペンネームで漫画の単行本を3冊出している。これは2002年に小学館から復刻されて、ぼくも買いましたが、手塚治虫ばりのSF漫画です。手塚治虫も阪大医学専門部時代に漫画の本を出していますから、同じ関西人でエリート大学生が漫画を描くという共通点がある。

★神戸一中時代はジャズバンドを組んで、メンバーに高島忠夫さんがいた。大学時代は 同人誌仲間に高橋和巳がいて、大学を卒業してからも経済誌の記者をやりながら劇団で脚本と演出をしたり、お金のために「いとし・こいしの新聞展望」というラジオ番組の漫才台本を書いたり、とにかく忙しい。そして、なんでもできてしまう。どの道に進んでも、たぶん成功を収めただろうというぐらい多才な人です。しかしその才能を持て余して、どこへ向うかわからない。

★そんなとき、1959年に「SFマガジン」という、いまでも出ているSF雑誌が創刊される。まだ「SF」という言葉自体、市民権を得ていない時代に、小松左京のとめどもない才能が、このSF小説という分野にみごとにハマる。SFというのは、まあ言ってみれば、どんな途方もない話でも自由に書くことができる。小松左京さんにぴったりのジャンルだったんですね。 最初の短編集『地には平和を』のあとがきで、小松さんは「SFという形式には、他の小説形式にはない表現の自由と、たのしさと、未来への可能性がふくまれている」と書いています。そしてSF小説を書きまくりまして、「SF界のブルドーザー」と呼ばれるようになる。そんななか生まれたのが『日本沈没』です。

★ぼくが興味深かったのが、『日本沈没』を書く背景に、著者の戦争体験がある、ということです。「政府も軍部も国民も、『一億玉砕』と言って、本当に日本国民がみんな死んでもいいと思っていたのか。日本という国がなくなってもいいと思っていたのか。だったら一度やってみたらどうだ」と思っていた。そこから日本がなくなるという設定を考えたのだといいます。

★その後、阪神大震災を始めあちこちで大きな地震があったり、大島の噴火があったり、異常気象が続くなど、『日本沈没』は、じつは30数年後もいま読むととてもリアルな小説だと思います。谷甲州さんとの共著『日本沈没 第二部』では、日本列島が沈んだあと、世界に散らばった8000万人の日本人がいかに生きるかを書いてありますが、ぜひ『日本沈没』 第一部とこの『SF魂』を合わせて読んでほしい。じつは『日本沈没』には第三部の構想があって、地球を捨てて宇宙へ飛び出すらしい。ぜひ小松左京さんには長生きしていただいて、そこまで書いてほしいと思います。
山本弘 『アイの物語』 角川書店 1995円 2006年08月03日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん
(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

山本弘 『アイの物語』
角川書店 1995円


★人工知能のコンピュータが世界を支配している数百年後の未来が舞台。地球は機械たちのものになり、駆逐された人類の人口は全世界で2000万人にまで激減。生き残った人間は機械(マシン)の手が届かない山奥に逃れて、各地で小さなコロニーを作って細々と暮らしている。

★山奥のコロニーは物資が乏しく、人間は機械たちの輸送列車を襲撃して、物資を奪ってなんとか生きている。コロニーの長老たちは子供たちに、過去に起きた人間とマシンの戦争の歴史を語り、マシンに対する復讐心を煽って いつか雪辱を期すことを夢見ている。(映画『ターミネーター』のような設定)

★そんな生き残りの人間の青年が主人公。主人公はあるとき食糧を手に入れるために忍び込んだ新宿で、マシンとの戦闘になり、負傷して捕らえられる。主人公は、連れて行かれた先で拷問されるんじゃないか、殺されるのではないかと怯えるが、現れたのは美しい少女の姿をしたアンドロイドだった。

★アイビスと名乗る美少女型アンドロイドは、主人公の少年に物語を語りだす。青年は「マシンのプロパガンダなんか聞きたくない!」と反抗するのだが、アイビスは「とにかく聞きなさい」と毎日1つずつ、合計7つの物語を聞かせていく。7つの物語はそれぞれ、異なる時代を生きた女性を主人公にしている。あくまでもフィクションだというが、物語を聞いていくうちにだんだん本当の世界の状況や、人間とマシンの関係の本当の歴史が明らかになっていく。そして長老たちに聞かされた人間とマシンの戦争があったというストーリーが事実とは異なっていることに気付かされていく、という巧みな構成。★アイビスが語る7つ物語はそれぞれ独立していて、連作短編の形になっている。各短編の間には少年とアイビスの会話を描くインターミッションがはさまれ、全体で大きな物語が浮かび上がる仕組み。まるで『千夜一夜物語』のような構成になっている。

★各短編の出来がよいのだが、特にお気に入りなのが第6話「詩音が来た日」。この短編の主人公は女性型アンドロイドの詩音。看護婦として老人ホームに派遣され、気難しい老人と出会う。反発しながらも心を通わせていく様子が実に感動的。

★最後の第7話は、フィクションではなく(という設定)、語り手のアイビス自身の物語。ネタばらしになるので詳しくはいえないが、これまた感動的なラスト。戦争や環境破壊をやめることができない人類はどうしようなない存在だが、それでも未来はそんなに悪いものではないと、ある種の希望が湧いてくる。今年度ベスト3入りは確実、以前紹介した『鴨川ホルモー』と ベストワンを争う凄い小説。

★最近のSFは設定が凝っていて、SFを読みなれていない私のような人間には理解できないものが多い。SF独特の特殊な状況設定が理解できないと、何が起きているのかさっぱりわからない、敷居の高いものになっている。しかし、山本弘さんの作品は特殊な状況設定がすべてという作品になっていない。今作でもわりとありがちな状況設定でありながら、そこで語られる物語は斬新。シンプルなストーリーでありながら深い感動を呼ぶ。
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