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アンドレアス・エシュバッハ 『イエスのビデオ』 2003年05月01日
★今日の担当は目黒考二さんです。

アンドレアス・エシュバッハ 『イエスのビデオ』
(早川書房のハヤカワ文庫NV)上・下 各800円


★エシュバッハはドイツのSF作家だが、これはむしろ冒険小説。
考古学アドベンチャーに、タイムトラベルもののSFと神学ミステリーの要素を加味した壮大なエンターテインメント。

★映画の「インディ・ジョーンズ」シリーズの雰囲気に近い。

★主人公の学生・スティーブン(ベンチャービジネスに長けたアメリカ人の冒険野郎)が、イスラエルの遺跡発掘現場で2000年前の人骨を発見するのが発端。

★2000年前のもののはずのその人骨には、なぜか現代医学の治療痕があり(これが第一の謎)、しかも副葬品の袋の中にはソニーのビデオの取り扱い説明書が入っていた(これが第二の謎)。

★ビデオメーカーに問い合わせると、そのビデオは3年後に発売の予定で、まだ完成していないとの返事。

★ということは、、、? 3年後に発売されたビデオを持って、2000年前にタイムトラベルし、そこで死んだ男がいるという仮説を持ってくるしかない。

★そして、2000年前にビデオを持って行ったのなら、その目的は一つしかない。つまり、イエス・キリストを撮りに行ったのだ。ということは、そのビデオを探せば、イエスが映っている!?

★このビデオをめぐって壮絶な争奪戦が展開される。主人公スティーブンの他、マードックを思わせる億万長者のメディア王がビデオを独占すべく私兵を投入、さらにはバチカンの秘密部隊まで加わって、3つ巴の争奪戦。

★そしてスティーブンは「嘆きの壁」に秘密が隠されていることを突き止める。そこには現世から完全に隔離された古い修道院があった。

★ここでビデオが守られて来たに違いない、、、ついにビデオが見られると期待に胸を膨らませるスティーブンだが、そこにはメディア王とバチカンの魔の手が迫っていた、、、。

★スタイル抜群のイスラエル人の格闘少女とのロマンスもあり、盛り沢山。

★謎解きに次ぐ謎解き、そして最後に残った謎の答えが現れるエンディングも印象的。

永江朗『ベストセラーだけが本である』(筑摩書房) 2003年04月24日
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★今朝の担当は書評家の岡崎武志さんです。

★永江朗『ベストセラーだけが本である』(筑摩書房)

★本の紹介の前にちょっと小話

★タイタニック号沈没についてこんなジョークがある。あの悲劇は、乗客数に対して決定的に救命ボートが不足していることから起こった。少ないボートには女性と子どもが優先された。残った男たちは冬の海に飛び込むしかない。それは死を意味した。

★乗員はいかに説得したか。そこにお国がらが表れるというジョークだ。
イギリス人には「あなたはジェントルマンだ」と言えばよかった。彼らはプライドを重んじて我れ先に海に飛び込んだ。
アメリカ人には「これであなたはヒーローになれます」、ドイツ人には「これがルールなのです」と告げた。いずれも納得して死を選んだ。

★いったい日本人にはどう言えばいい? これが傑作だ。こう言えばいい。「ほかの皆さんもそうなさってます」
ソフトバンクの孫正義さんの作と聞くが名作といっていい。なにより他人の思惑を気にして、横並びを旨とする日本人の体質をよく表わしている。隣の人が飛び込むの を見てから安心して自分も飛び込む……

★前置きが長くなったが、昨今のベストセラー事情はまさしく「ほかの皆さんも買ってらっしゃいます」状態なのだ。つまり、内容の良しあしではなく、まわりが買うか ら自分も買うだけ。五十万、百万人が買うのは「話題」ということになる。だから、彼らは読者ではなく「消費者」にすぎない、と詩人の荒川洋治さんは言う。

★そこで永江朗さんが『ベストセラーだけが本である』という本をこのたび書下ろした。永江さんは元書店員。いま出版流通から書店事情の現場まで一番くわしい人物。

★第一章「ベストセラーは世間である」で挑発的なタイトルの真意がわかる。バブルがはじけてからのこの10年あまりを、「売れるものはとんでもなくたくさん売れるけれども、それ以外のものはぜんぜん売れないという時代」と要約する。言われればそのとおり。つまりベストセラー「ひとり勝ち」時代なのだ。

  ★なぜそんなことになったか。出版社は一つの本がヒットしはじめると、その売上をどんどん伸ばそうとする。書店も一つのヒット本だけに力を集中して売ろうとする。出版社も書店も一つに集中するのだから、読者(客)の側もそちらしか目を向けられない。

★その背景には、毎日200点、年間7万点の新刊が出ている本の洪水時代がある。そうは見えないのは、売れないものに冷淡になっているから。本の寿命は短くなった。

★新刊が店頭に並ぶのは平均一週間。確実に売れるものを大量に売るほうが効率がいい。そこに書店のメガ化、POSシステム、オンライン書店、オンデマンド出版、文庫・ 新書ブーム、新古本屋の進出など90年以降に顕著となった現象がある。著者は豊富なデータと、広範な取材経験を生かしながら、「ベストセラー」という切り口でそれ らを串刺しにする。

★九○年代、二○○○年代のベストセラーを個別に分析してみせた第二、第三章もじつに楽しい。『愛される理由』『マディソン郡の橋』『ソフィーの世界』『失楽園』 『五体不満足』『ハリー・ポッター』など、誰もが知っているメガヒット本を、もっぱらタイトル、書き出し、装丁などから売れた理由を分析していく。本が売れるのは「中身とはあまり関係ない」からだ。

★二○○○年代に絞って言えば、『だから、あなたも生きぬいて』『「捨てる!」技術』など、「どれもこれも恥ずかしい書名だ。人前で読むのはかなり抵抗感があるし、 もし家にあったら、来客があるときはこっそり隠したくなる。しかし、そういう本が売れる」は鋭いし可笑しい。

★ちなみに装丁は、趣味のよいものより「意図的に野暮っ たくしたり、品を悪くしたデザインの方」がよく売れることを証明したのが二○○○年だそうだ。白っぽい表紙が売れる、というデータもある。本文は漢字やカタカナの乱用を避け、平易に短くする、なんて指摘もある。

★ところで、この大量消費された本たちはどこへ行くか。大半は読まれないまま古本屋に流れる。売れている最中なら、けっこういい値で取引されるが、台風が過ぎ去っ た翌年に持ち込むと、すでに市場に大量にダブつき、古本屋のオヤジからは悪性の伝染病を見るような顔をされる。可哀想に元ベストセラーの行く先は本の墓場だ。

★ところが、大量廃棄されたベストセラーはそれゆえに、数十年後に読もうと思うと今度は入手困難となる。かつて某雑誌でベストセラー本の特集を企画したとき、過去のベストセラーを古本屋で集めたら意外に苦労したと聞く。

★いま古本業界では、一九七二年の大ベストセラー、田中角栄『日本列島改造論』(日刊工業新聞社)が探求書リストの上位に挙がるという。いま読もうと思っても読めないからだ。大量に売れ大量に抹殺されたおかげで、「歩」が「金」となった。なんだか角さんらしい話じゃないか。
梓澤要著『枝豆そら豆』(講談社) 2003年04月17日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さんです。

★梓澤要(あずさわ・かなめ)さんの『枝豆そら豆』講談社

★最近では珍しい「明朗時代小説」の傑作。

★「枝豆」と「そら豆」はそれぞれ2人のヒロインのあだな。

★「そら豆」は大店立田屋(紙屋)の一人娘おその。
おそのは大店の一人娘らしく、のんびりしている少女。
そら豆は「ふかふかの真綿のお布団にくるまれているみたい」なので、おそのそっくり。

★「枝豆」はその大店に住み込み奉公している少女、お菜津。

お菜津はおそのとは反対に活発な少女。「狭い長屋で兄弟姉妹ぎっしり肩寄せ合って、すくすく育ったんだろ。まるで枝豆じゃないか。弾けんばかりに元気いっぱい」というわけで「枝豆」。

★この二人が仲良く育っていく。山王祭のことや友達とのいさかいなど、様々なエピソードが語られる。このエピソードが巧みでこれだけでも十分読ませる。

★しかし、もちろんそれだけではない。ヒロインたちの恋模様が語られる辺りから激しく物語が動き始める。

★立田屋がおその(そら豆)の婿にと考えていた男とお菜津(枝豆)が恋仲になってしまう。怒った立田屋はお菜津に暇を出す。しかし、その男にも事情があって、お菜津は捨てられてしまう。お菜津にはもう行き場がない、、、。

★というところで、上巻の3分の1。ここから先の展開は絶対に予想できない。思いもしないとんでもない展開が待ち構えている。

★普通に考えれば、お菜津の苦労話が語られて、紆余曲折あって「おその」と和解するというような話になりそうなところだが、、、。

★この先の展開は、ネタばらしになってしまうので詳しくはお話できないのだが、下巻の帯にはこう書いてある。

★「浪静かなる東海道、箱根から浜松へ。若殿の危機、お家の危急を救うべく、二人の女の愛と友情が光り輝く!」

★なぜ道中記になるのか?若殿の危機とは何なのか?
それは読んでのお楽しみ。

★意表をつく展開に驚くが、この道中記がなんとも楽しい。

★『桃太郎侍』の山手樹一郎など、かつては人気のあった明朗時代小説だが軽く見られて、最近ではめっきり少なくなってしまった。

★重厚でニヒルな小説が多い中、『夏雲あがれ』(集英社)の宮本昌孝など、明朗時代小説にもわずかながら、復活の兆しが。

★暗いご時世にこそ明朗時代小説を読んでみてはいかが?

『1/41 同級生を巡る旅』菅野ぱんだ(情報センター出版局) 2003年04月10日
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★今日の担当は岡崎武志さんです。

★菅野ぱんだ 『1/41 同級生を巡る旅』(情報センター出版局)

書店散歩といって、よくぼくは本屋のなかをうろつくんです。これがけっこうな歩数になる。この本はある日、そうして見つけた。

著者名を最初見て、ちかごろの若い人にも困ったものだ、と思いました。ぱんだ、って……本名なわけないから、もっと自分の名前を大切にしろよ、と。

表紙の『41分の1』という大きな文字もなんのことかわからない。ところが、「同級生を巡る旅」という副題、「あなたの同級生はいま、どこで、何をしていますか?」という帯のコピーを見て、びびびと電流が走った。

これは三十代半ばの女性カメラマンが、故郷福島の美術館のイベントのために、小学生時代のクラスの同級生全員を訪問し、写真を撮る過程をルポした本なのだ。

彼女は1966年福島県伊達郡霊山(りょうぜん)町生まれ。通った小学校、山間の大石小学校は、1学年ひとクラスしかなく、41人がそのまま6年間持ち上がった。濃いつながりで結ばれたわすれがたい41人。その全員と再会する。同級生全員がいまどうしてるか。誰しもぼんやりとは思うが、実行できることではない。同窓会という手はあるが、全員が集まるわけではない。

同級生を思い出すのはどんなときか、やはり少し心が弱っているときではないか。いろんなことがうまくいかなくなったとき、屈託なく無心で遊び喋れた小学生時代を思う。あのころに帰りたいと思う。なつかしい友の顔が浮かぶ。

著者の菅野さんもそうだった。紆余曲折を経てカメラマンとして独立、1966年に荒木賞を受賞するなど、仕事は順調だったが、自分の作品に自信がもてない。ニューヨークに留学した。なにかを変えたいと思ったからだ。しかし、なにも変えられなかった。

帰国直前に、この話が持ち込まれ、帰国と同時に動き出した。同窓会で顔をすでに会わせた人もいるが、20数年ぶりの人もいる。彼らのその後の人生、運命を話に聞く。結婚して子どもがいて、父親、母親になっている者もいる。しかし、彼らの顔の中に、むかし一緒にクラスで喋った同じ顔を発見する。

またDのように、再会を最初拒否した男性も、会って話すうちに印象が変わってくる。「もしあのとき、もう一度彼に会いにいかなkれば、彼のまじめで人を気遣うやさし い性格を私は一生知ることはなかったろう。見知った同級生との再会ではあったが、それはまた、全く新しい出会いのようでもあった」と、著者は書く。

死んでしまった友人もいる。17歳と19歳で逝った男の友人2人。彼らの墓に参る。そこには祖父も眠っている。祖父との思い出もまたその墓にある。そこで著者は思う。「『このまま終わりたくない』生きたくて生きられなかった人たちを前にそうつぶやく」

また母親になった同級生からは「強さ」を感じた。「それは『かけがえのないもの』である我が子に対して、自分の役割を果そうと日々身を削りながら生きている母とし ての強さだった」と気づく。それは自分にない強さである。

そんなふうに、同級生のいまと再会しながら、著者はいま自分になにが必要かを確認していく。昔どおり「ジュン(彼女の本名)」と呼び捨てされるのもうれしかった。
そして、つまずいたところから、この本を書くことで再生していく。感動のルポ。

読み終わったあと、無性に同級生に会いたくなる。不思議なことだが、この本を読んだ夜、夢に同級生が出てきた。数週間後、思いがけなく中学時代の同級生から電話が あった。
10年ぶりに同窓会をしようというのである。こういうことって、あるんだなあ。
ユニークなハードボイルド『鉤爪プレイバック』 2003年04月03日
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★2ヶ月ほど前に出た本ですが、文句なしに面白いので、、、。

ソニー・マガジンズのヴィレッジ・ブックスという文庫シリーズから出た
エリック・ガルシア 『鉤爪プレイバック』

★一昨年に話題になった『さらば、愛しの鉤爪』の続編。というか前日譚。

★ロサンゼルスに事務所を構える私立探偵ヴィンセント・ルビオが主人公のハードボイルド・ミステリー。この主人公の設定がとんでもなくユニーク。なんと主人公の正体は「恐竜」。

★普段は、人間の皮をかぶって人間に紛れて暮らしている。人口の5%は実は、人間のフリをした恐竜の生き残りという設定。

★恐竜が主人公なんていうと、子供だましのキワモノ小説のように思うかもしれないが、、、とんでもない。小説として本当に面白い。

★タイトルからもわかる通り、ハードボイルドの巨匠レイモンド・チャンドラーのパロディなのだが(それぞれ『さらば、愛しき人よ』、『プレイバック』)、パロディとしてだけでなく、ハードボイルドそのものとして成功している。

★設定が奇抜すぎると、面白いのは設定だけと言うことになりかねないが、主人公が恐竜という設定自体が伏線になっていて、物語の展開にうまく生かされている。

★現実には絶対にあり得ない設定のはずなのに、描写が巧みなのでだんだん恐竜がいても不思議じゃない気がしてくる。町を歩いていて、ふと、この人も恐竜なんじゃないか、、、なんて思ったりして。

★ハードボイルド小説にとって、今は難しい時代。ハードボイルドの重苦しい雰囲気がなかなか受け入れられない。この「鉤爪シリーズ」はユニークな設定でその点をクリアしている。希有な成功例。

★前作に比べて、よりエンターテインメント性が高い。後半はインディ・ジョーンズばりの痛快アクション。ギャグも秀逸。

★とにかく面白いので、普段本を読まない方も騙されたと思って読んでみて。

★その他、最近の翻訳ミステリの収穫として、、、
ジョー・R・ランズデール『ダークライン』(早川書房) 一九五〇年代のアメリカを舞台にした家族小説の傑作です
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