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井上章一『名古屋と金シャチ』NTT出版 1680円 2005年03月10日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

井上章一『名古屋と金シャチ』
NTT出版 1680円


★先日、テレビをつけましたら、たくさん人が集まっているなかで、法被を着た男性が「ご降お臨ーん!」と叫んで、太鼓がどんどん、笛がぴーひゃらと鳴った。いったい何が始まるのか、と思って見ていたら、名古屋城の天守閣にある金のシャチホコが地上へ降ろされるところだった。どうやら名古屋城博覧会に展示するため降ろされ、愛知万博へも開会式に大使として出席するらしい。天守閣から降ろされるのは21年ぶりのことだそうですね。3000人もの見物客が集まって、みんなカメラで撮っている。あまりの熱気にびっくりしました。見物客のひとりがインタビューに答えて「この目で拝めて、もういつ死んでもいいでよう」とか言ってる。説明不要かと思いますが、「金シャチ」とは天守閣の屋根の両脇にある、魚と竜が合体して逆立ちした飾りです。二つあるのはオスとメス。

★この名古屋人の金シャチに対する宗教的といっていい熱情は何なのか?それに答えてくれる本が『名古屋と金シャチ』です。まず、この本を読んで初めて知ったのですが、名古屋の街は要するに「シャチ」だらけ。

★東名高速の県境にある看板「これより愛知県」にはシャチの絵、料金所にもシャチの置き物があります。町中にはシャチのマークをつけたバスやタクシーが走っている。うどんときしめんの「若鯱屋」はじめ、数々の看板にシャチの絵が。路上にもシャチの絵、マンホール、消火栓のフタ、ガスメーターにもシャチ。名古屋大学の応援団旗にも大きくシャチ。サッカーチームの名古屋グランパスエイトの「グランパス」はシャチのことだそうです。

★名古屋の市役所の職員はシャチのバッチ、名古屋守山に司令部を置く陸上自衛隊第十師団の駐屯地の正門両側にある門柱の上にシャチ、それから戦車にもシャチの絵が描いてある。それからシャチをキャラクター化した商品、携帯ストラップなどは爆発的に売れて、キティちゃんとシャチを組み合わせた商品もあるでよう。おでりゃーただがね!

★名古屋城の金シャチは、かつては尾張徳川家の威光を示す、封建時代の象徴だった。それがいまやキティちゃんのキャラクター商品になるほど大衆化した。なぜか。著者の井上さんは、そこに博覧会との結びつきがあったという。明治維新の際、新政府の方針で名古屋城はいったん解体が決まる。名古屋城危機一髪。金シャチははずされ明治4年に東京へ移され、宮内省の管理となる。金として溶かされる予定だったんですね。金シャチ危機一髪。翌5年に東京湯島聖堂で日本最初の博覧会が開かれます。このとき博覧会担当者が、倉庫に眠る金シャチに目をつけ、会場に展示します。これが大人気となり、会場に多くの人がつめかける。博覧会の会期もそのため一カ月延長となる。以後、金シャチは全国の博覧会会場からひっぱりだこで、全国を巡業して回る。見世物となるわけです。ウィーン万博にまで行く。こうなるともう、溶かそうなどというものはない。

★金シャチが名古屋へ帰って来るのは明治7年の名古屋勧業博覧会で、12年にようやく名古屋城に戻される。このとき、金シャチの人気、動員力を名古屋人は初めて知る。これ以後、名古屋は何かあるたび、金シャチをシンボルにして前面に押し出していく。シャチだらけの街がこうして作られていく。今回の愛知万博に金シャチが来賓として招かれるのは当然なんですね。

★そのほか、昭和11年に金シャチのウロコが盗まれた時、ときの名古屋市長が命じて、市職員全員が丸坊主になったとか、金シャチと名古屋美人の関係とか、おもしろい話がたくさん出てきます。名古屋って、やっぱりちょっと変というか、おもしろい街ですねえ。ぼく自身は正直言って、愛知万博、あんまり興味はないんですが、この本を読んで、今後、金シャチだけは、ちょっと注目していこうかな、と思っています。 
三雲岳斗『カーマロカ 将門異聞』(双葉社1700円) 2005年03月03日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

三雲岳斗『カーマロカ 将門異聞』(双葉社1700円)

★いやはや、すごいぞ。ぶっ飛ぶぞ。「カーマロカ」とはキリスト教の煉獄(地獄)のことだが、意外にも平安時代の日本を舞台にした伝奇歴史小説。

★タイトルの通り、主人公は平将門。東国に兵を挙げ、朝廷に叛き新皇と称しながら、38歳で戦死した将門の生涯は、これまでも数々の歴史小説の題材となってきた。しかし、この小説は史実に沿って将門の生涯を描いたものではない。坂東の地で夢破れ、死んだはずの平将門が生きていて、甲斐の国にいる、というところからこの物語の幕は開く。

★甲斐の国に将門を追ってくるのは朝廷の命を受けた者だけでない。坂東の地で将門を倒したのは実は呪術師。当然呪い殺したはずの呪術師集団としては将門に生きていられたら困る。そのほか甲賀者、僧兵やらなんやら、いろいろ入り乱れ、しかも舞台は朝廷の支配が及ばぬ甲斐の国で、そこは維摩の末裔が治めている。この一族もなにやらわけありだから、もういったいどうなるの。一方、将門と行動をともにするのは異国風の妖しい絶世の美女と、菅原道真の末裔。陰謀と思惑を背景にして、迫力満点の闘いが始まるのだ。

★呪術や忍法を駆使した壮絶な魔戦が展開するのだが、奇妙な現象に対していちいち理屈をつけて説明している。超常現象ということでは片付けず、一応合理的な説明がつけられているあたり、山田風太郎の風太郎忍法帳を彷彿させるのも嬉しい。これがこの作品の魅力のまず第一点。

★次は、凛々しいこと。この手の小説の最大のポイントは、実は戦闘描写ではなく人物造形なのだが、これが群を抜いている。たとえば将門が甲斐の国を通るのは能登に向かっているからだと途中でようやく判明するのだが、能登に行ってどうするのか、何が目的なのか誰にもわからない。それがラスト近くで明らかになるくだりに留意。この動機だけで本書は屹立しているといってもいい。その壮大さと美しさに胸打たれる。伝奇小説の動機にこんなものを持ってくるかと胸が熱くなる。この手の小説は、ストーリーが面白いだけでは残れない。こういう強い芯が必要なのだ。本書にはその物語の芯というべきものがある。

★もうひとつ、お楽しみが用意されている。この作品には近年、マンガや映画でブームになった陰陽師・安倍晴明が登場する。正確に言えば、後に安倍晴明になる人物が登場する。「えっ?!こいつが安倍晴明になるの?」と驚くことになるだろう。

★著者略歴を見ると、三雲岳斗は、一九九八年に『コールド・ゲヘナ』で 電撃ゲーム小説大賞銀賞を受賞してデビューとある。翌年には『M. G.H』でSF大賞新人賞受賞とあるから、ライトノベル&SFの作家らしいが(すみません、気がつくのが遅すぎて)、今後はぜひともこちらの路線で書いていただきたい。安倍晴明篇なんてぜひ読みたい。

★以前紹介した高橋克彦『火怨』、あるいは北方謙三『揚家将』に興奮した人なら絶対に面白いはずだ。
山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学』 光文社新書 735円 2005年02月24日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学』 光文社新書 735円

★ちょうどいま、確定申告の時期。数字とにらめっこで頭の痛い季節です。僕は、昔から数字とナマコは見るのはイヤ、という人間で、確定申告の一切は妻にまかせっきり。毎年、この時期、確定申告の用紙を前に悪戦苦闘している妻の横を、お邪魔にならないようになるべく息を潜めて生活する毎日です。ましてや「会計学」なんて、月より遠い場所にある言葉。たぶん「会計学」と口に出したのはこれが生まれて初めて。

★だから「身近な疑問からはじめる会計学」と副題のついたこの本も、こっちがタイトルなら手にとってない。あくまで「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」というタイトルに目が行って手にとった。いや、ずっと不思議に思ってたんです。町中を「たけやー、さおだけー」とアナウンスして車で販売しているさおだけ屋。「ちょっと、さおだけ屋さん」「毎度ありい」って、人が呼び止めて買っているところを見たことがない。

★どう考えても利益が出ているように思えないんですね。だいたい、同じ流しの商売である焼き芋屋や豆腐屋のように、「やきいもー」と聞いて食べたい、と思うような商品じゃない。さおだけは。だいたい一度買えば相当長く持ちます。売るのがさおだけ、っていうのも変。いっしょにハンガーや洗濯バサミを売ってるふうでもない。つまり商売の基本であるニーズもメリットもない。ひょっとしてあれは趣味か。

★この本は、そんな日常の身の回りにある疑問から「会計学」の本質を考えた本です。ほか、飲み会のワリカンでわかる「キャッシュ・フロー」、住宅街の高級フランス料理店でわかる「連結経営」などの章がある。「会計学」といっても、難しい話じゃない。基本は日々の現金の出入り、損得の判断、将来設計に会計の考え方が取り入れられていると著者はいう。実社会で役立つ「会計学」を教えてくれる。ちなみに著者は大阪大学文学部を卒業した文系人間で、数学に強いわけではない。微分積分なんてちんぷんかんぷん。できるのは足し算引き算くらいで、それも計算は電卓のお世話になっているといいます。ちょっと安心します。

★さて、そのさおだけ屋の謎ですが、著者は会計学の見地からさおだけ屋が商売として成り立つ仮説をたてる。一つは、さおだけ屋は仕入れの費用が低い。二つ目は逆にさおだけ屋はじつは売り上げが高い、というものです。

★一で言えば、あれはさおだけ屋という専業の商売ではないんです。金物屋さんが店でさおだけを買ってくれた客の家へ、車で配送する。その行き帰りに、ついでにさおだけを出張販売している、というわけです。それだけで一日中、町中をまわってるわけじゃない。売れなくてもともとなんです。だから会計学でいうと「初期投資のかからない副業」なので、「費用はほとんどゼロで、売れた分がそのまま儲け」という「おいしい商売」だった。

★また、二つ目の仮説の「売り上げが高い」の方ですが、まれに「さおだけ屋」に詐欺商法まがいのやり方があって、「2本で1000円」と言いながら、「1本5000円を2本で8000円にしておく、孫の代まで持つと薦められて買わされるケースが実際にあったそうです。もちろん、これはごくごく一部の話、と著者は断っていますが、商品のニーズがなくても、単価を高くすれば高い利益が上がる、とこれも会計学にすると有効なやり方なんです。

★数字嫌いでも数字のセンスを磨け、という提言もある。 例えば「50人にひとりが無料」になるキャッシュバック・キャンペーン、と広告がある。数字のセンスのない人は、この「無料」にとらわれる。しかしこれは言い換えれば「2%割引」というのと同じ。たいして得じゃないことを別の表現で言っているに過ぎない、ことがわかる。これが数字のセンス。

★逆に、何ごとも「数字を使って話をする」くせをつけるといい。あいまいにせず、数字で具体的に表現する。「『エイリアン2』はとてもいい映画です」と言われるより「『エイリアン2』は74回観ました」といわれたほうが、相手によく伝わる。「根拠がたいしてなくても、とにかく数字を使って話をすれば主張を受け入れてもらいやすくなる」と著者はいう。これも会計学の考え方です。

★「会計学」と言うと、なにやら難しいですが、数字のセンスを磨いて、得をすると言われれば、ちょっと興味がわいてきますね。なにより「会計学」がどんな学問なのか、大筋のところがつかめる、それがこの本のもっともいい点だと思いました。会計学の本なのに、数字があんまり出てこない。出て来ても単純な加減乗除だけ。ぼくと同じような文系の数字嫌いの人におすすめしたい本ですね。  
ジョン・スコット・シェパード『ヘンリーの悪行リスト』新潮文庫 860円 2005年02月17日
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ジョン・スコット・シェパード『ヘンリーの悪行リスト』

新潮文庫 860円

今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

★映画の脚本家である著者の小説家デビュー作。この作品もすでに映画化が決定している。

★主人公ヘンリー・チェイスは、「暗殺者」とあだ名される血も涙もない 極悪非道のスーパーエリート。高校卒業以来、人を裏切り、蹴落とし、踏み台にして、ひたすら金と名誉と成功を追い求め、ウォールストリートの企業乗っ取り会社の重役に収まっている。

★ヘンリーはなぜそんな男になったのか?物語はそのきっかけとなった高校時代のエピソードから始まる。カンザス州の田舎町でさえない高校生活を送っていたヘンリーに、裕福で美しい恋人(エリザベス)ができる。誰もが憧れるエリザベスとの関係に天にも上る気持ちになったヘンリーだが、突然エリザベスに拒絶されてしまう。ヘンリーは本気で愛していたのだが、、、。心優しい少年だったヘンリーは自分を捨てたエリザベスを見返すために、成功だけを追い求めるようになった。

★多くの人を犠牲にしながら成功を手にしたヘンリーは、その姿を見せつけるために故郷に向かう。しかし、そこでヘンリーは衝撃の事実を知る。なんとエリザベスは別れて1年後に亡くなっていた、、、。心臓に疾患を持っていた彼女は自分の死期を悟って、あえてヘンリーに別れを告げたのだった。

★エリザベスを見返すために生きてきた自分の人生はなんだったのか、、、?絶望感に包まれてホテルのバルコニーへと歩を進めるヘンリー、、、とその背にメイドの声。「すべてにきっちり片をつければいいのよ」。メイドは心理学を専攻する大学院生のソフィー。ソフィーに促され、ヘンリーは自分がやった悪行をリストにして、深く傷つけた相手たちに償いをすることを決意する。

★ソフィーをアドバイザーに迎えて奇妙な贖罪の旅に出るヘンリー。ひどいことをした相手だけに、ただ謝れば許してくれるというはずもなく、行く先々で様々な難題を出される。このあたりのドタバタぶりは軽妙でユーモアたっぷり。

★そして感涙のラスト。このラストシーンには泣かされる。やや類型的な人物造形と、ご都合主義的な物語展開が気になるものの、それもこの手の小説の場合、致し方ない。それよりも、ヘンリーが故郷に帰るラストでこみ上げる感銘のほうを私は取る。
五木寛之『養生の実技 つよいカラダでなく』角川Oneテーマ21 720円 2005年02月10日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

★五木寛之『養生の実技 つよいカラダでなく』角川Oneテーマ21 720円

★ここ数年、『大河の一滴』をはじめ、バンバンベストセラーを出している五木寛之さんが、カラダについての本を書きました。五木さん、今年73歳になるんですね。73と言えばいい年ですよ。髪の毛は白くなりましたが、若々しいイメージで、現役バリバリという感じです。最近は、全国のお寺を巡ったり、元気です。山形の立石寺では、1000段以上の石段を往復したというからすごい。

★さて、その五木さんですが、この本を書いた72歳まで健康診断とか定期検診を一回も受けたことがない、と言います。それどころか、歯医者以外は病院に行ったこともない、と言うんです。これ、珍しいんじゃないでしょうか。かといって、五木さん、そんなに健康というわけでもないんです。小さいときはすぐ扁桃腺をはらす虚弱体質の子どもで、大人になってからも偏頭痛に悩まされ、流行作家として締めきりに追われることでストレスを抱え、腱鞘炎と腰痛にまでかかっている。それでも医者にかからない。なぜか?その答えがこの『養生の実技』にあるわけです。五木さん独自の養生術。

★五木さんは病気というものは治らない、という。「病気に完治なし」という。そのかわりに「養生」ということばを使います。「ゆっくり養生して元気に」の「養生」ですね。治療はいらない。自分で自分の体調をチェックして、異変があると対処する。それで十分だ、というんです。それで70年やってきた。

★例えば、これ、有名な話ですが、五木さんは髪の毛を洗わない。皮脂や歯垢にもそれなりの役目がある、というのが持論。いや、まったく洗わないわけではない。新人作家のころは、年に二回。それが年とともに春夏秋冬の四回になり、最近は二カ月に一回くらい洗うらしい。そう言うと増えたみたいですが、それでも二カ月に一回ですから、聞いているだけでかゆくなってきますが、五木さんに言わせるとかゆくなるのは最初だけで、あとはフケも出なくなる。若いのに髪の毛が薄くなるのは、シャンプーで洗いすぎだ、という。清潔にしすぎると免疫力が落ちるともいう。まあ、一理あるかもしれない。しかし、ねえ。

★あと、食べない。まず夜型だから朝は食べない。昼はうどんかサンドイッチ。夕食は深夜だが、料亭で会食の席についても三分の一くらいしか手をつけない。つまり、一日、ほとんど一・五か二食、ってかんじでしょうか。少食のすすめ、ですね。野菜なんてほとんど採らない。四十代で腹八分、五十代で腹七分、六十代で腹六分、七十代で腹五分、八十代で腹四分、九十代からはカスミを喰え、と。

★つまり、世に言われている健康法なんかとは、まったく違う、かなり異色な養生法なんですね。でもぼくは、正直言って五木さんの養生法に感激して、マネしようと思ったわけじゃない。悪いところがあれば病院へ行ったほうがいいし、髪の毛だって、せめて一週間に一度くらいは洗ったほうがいい。野菜だって、ちゃんと食べたほうがいい。そう思います。ただ、いまあんまり健康ブームが行き渡りすぎて、食べるものなどでも毎食12品目を食べ、これはビタミンBがどうだとか、血液サラサラの成分だとか、サプリメントにハマっている、水を一日に2リットル飲めとか言いますよね。なんか、食った気がしないんですよね。食べ物食べているというより、栄養食を採っている、という感じで、うるさい、黙っといてくれ!と言いたくなる。

★そんななかで、この五木さんの本を読むと、なんか痛快で清々しい気分になる。医学的見地からすればちょっと……なんでしょうが、本人がこれでいい、と思って70年無事に生き続けてきたんだから、言うことない。立派なもんです。もちろん、役にたつ話もいっぱい出てきます。ストレスの話で、ストレスのない生活が提唱され、癒しなんて言葉が流行しますが、五木さんはストレスをなくすなんて無理だ、という。それにストレスは悪いばかりでなく、人間を強くもする。ストレスをよい刺戟として受け止めるよう勧めている。それはポジティブ・シンキングということではなく、「人生とは苦しみの連続だ、人生とはこういうものだ」とはっきり覚悟する。そう居直るところからエネルギーがうまれると言います。これは、ほんとうにそうだな、と思いました。

★「一日に何回か大きなため息をつく」なんて楽しいアドバイスもあれば、「こんな時代に毎日、明るく爽やかに生きていける人は、病気である」には笑いました。

★ああしなくちゃ、これもしなくちゃと健康法に振り回されるより、なまけものにもできる養生法というのがいい。ぼくなんか、身体にいいことは一切やってませんから、ぴったり。
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