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関川夏央 『おじさんはなぜ時代小説が好きか』
岩波書店 1785円
2006年03月09日
ブックナビ推薦本
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

関川夏央 『おじさんはなぜ時代小説が好きか』
岩波書店 1785円


★おもしろいタイトルですが、たしかにおじさんは時代小説が好き、です。古本屋さんに話を聞くと、いま時代小説の文庫は売れ筋で、市場でもけっこういい値で取引されているそうです。確実に売れる商品で、しかもほかの文庫は100円に値下げしても、時代小説の文庫は値下げしなくても売れる。半額ぐらいでちゃんと売れていくというからありがたい商品です。新刊書店でも、本は売れないのに、時代小説は売れる。この本のなかでも、司馬遼太郎の『燃えよ剣』の文庫が、八十九刷で帯に「三百九十万部と謳ってある」と著者が驚いています。 買うのはやはり圧倒的に中高老年の男性です。だから、ほんとはおじさんとおじいさんは時代小説が好き、と言ったほうが正しい。あんまり、女子高生でカバンの中にケータイと一緒に藤沢周平を入れている子はいませんね。

★この本は、これまでになかった視点で、司馬遼太郎、山本周五郎、吉川英治、藤沢周平、山田風太郎などの時代小説が読まれる背景を分析した本です。ふつう、司馬、藤沢に池波正太郎を入れて、時代小説御三家と言われますが、なぜか池波正太郎は入っていない。時代小説は現代小説の変種、というのが著者の時代小説観。近現代小説ではできないことを時代小説というかたちを借りて書く。

★司馬遼太郎『燃えよ剣』とそのドラマ化された番組が、その後の新撰組のイメージの原点となりますが、それは何かというと「新撰組が青春もの」だということです。だからドラマに関しては、当時の安保世代の学生に受けたといいます。同じく藤沢周平の『蝉しぐれ』、これもドラマ、映画になりましたが、本来なら、主人公の青年の素直さや、友情やはかない恋は、近代小説では書かれない約束だった。それから時代小説に出てくる「義理」と「人情」も、いまの小説で書くとなると気恥ずかしい。それも「時代小説」というかたちを読むと、すらすら読める。「セカチュー」に代表される、いま流行りの恋愛小説を、おじさんは読めないが、時代小説に出てくる恋ならわりと感情移入しやすい。おじさんが時代小説を読む理由の一つです。

★経済や政治など、社会科学的な視点で時代小説を読むのもこの著者の特徴。『蝉しぐれ』は、鶴岡藩をモデルにした海坂藩を舞台にした小説で、鶴岡藩は土壌と水に恵まれ、開田意欲も高い、経済的に裕福ではないが安定した。これをモデルとした海坂藩を著者は「経済成長なきユートピア」と表現する。時代小説がよく読まれるようになった昭和30年代、高度経済成長と進歩に追いまくれてサラリーマン生活を送った人達には、この日本の原風景が慰安となる。また、主人公文四郎の養父は、政権争いのなかで、切腹をする。腹を切ることで家名を守る。この古風な道徳も、「近代的自我」の束縛から自由という意味で、読者にはかえって「新しさ」として映ると言います。

★ほかにも時代小説について、おもしろい指摘がいくつもあります。例えば、「一般に大衆小説と呼ばれるジャンルでは意外にも美男につめたいのです」と著者はいう。例えば吉川英治の作ったヒーロー『宮本武蔵』は、野蛮な顔だちで、同じ村出身の又八は美男がゆえに災難を招き、自分を確立できない人間として描かれている。その宮本武蔵は、山本周五郎も「よじょう」という作品に登場させていますが、山本の書く武蔵は「最後の最後まで見栄っ張り」で、これは吉川英治の書いた武蔵への皮肉だと言うんです。

★山本周五郎も吉川英治も司馬遼太郎も藤沢周平も、みんな実社会での勤め人としての経験を持ち、よってサラリーマンをバカにしていない。これもサラリーマンが読んで好感を持つ点です。「彼の武家ものは時代を違えたサラリーマンものといえるでしょう。ただし、屈辱と策謀に対しては敢然と剣を抜き放つサラリーマンです」と藤沢周平について言います。剣を抜けない現代のサラリーマンはそこがすかっとするんでしょう。

★著者には司馬遼太郎についての著作はありますが、時代小説の専門家ではない。その分、見方が柔軟で、非常に新鮮に映ります。この本を読んでいると、おじさんたちが最近の芥川賞や直木賞作品に手を出さず、もう亡くなった著者たちの書いた時代小説を読むのもあたりまえかな、という気になってきます。
『ムンクを追え!』 エドワード・ドルニック 光文社 1785円 2006年03月02日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん
(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

『ムンクを追え!』エドワード・ドルニック
光文社 1785円


★ロンドン警視庁の美術特捜班が、1994年にオスロのノルウェー美術館から盗まれた名画、「ムンクの『叫び』」を奪還するまでを描いたノンフィクション。今まで知らなかった美術犯罪の驚くべき実態が克明に描かれ、個性的な捜査官が盗まれた絵画を奪還するテクニックにも驚かされる。

★まず驚くのは美術品の盗難の多さ。同じ名画が何度も盗まれる例も珍しくない。盗難美術品の闇取引で動く金額は年間40億ドルから60億ドルにも上るという。これは国際的な違法取引のなかでは、麻薬、武器についで第3位の規模。毎年それで美術館が一軒建つのではないかと思えるほど、多数の美術品が盗まれているという。

★なぜそれほど多くの美術品が盗まれるのか?一言で言えば「簡単だから」。ムンクの『叫び』が盗まれたとき、美術館に残された絵葉書には「手薄な警備に感謝する」とのメッセージが。美術館関係者の犯罪に対する意識はあまりにナイーブで、予算も足りない。また、銀行の金庫と違って「展示」しなければならないため、無防備になりがち。

★税金で運営する公立美術館では、予算の関係から名画であっても保険をかけられないことが多いという。また、美術館の多くは都心ではなく郊外にあり、警報が鳴っても警備員の到着までに時間がかかる。

★名画泥棒と聞くと、怪盗ルパンのような華麗なイメージがあるかもしれないが、警備が手薄なので盗難の手口はあっけないほど単純。ムンクの『叫び』も梯子に登って窓を叩き割って侵入するという簡単なもの。

★むしろ興味深いのは盗まれた絵画を取り戻すテクニック。ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の美術特捜班のおとり捜査官、チャーリー・ヒルこそが本書の主人公的な存在だが、ヒルの手口はほとんど詐欺師さながら。盗難絵画を取り戻すために、捜査官自らが闇市場に通じた画商や美術館員、あるいは石油成金に成りすまして犯人からのコンタクトを待つ。風変わりで職人気質のヒルは、「そこまでしなくても…」と思うほどに徹底して役になりきる。同じ英語でもイギリス人、アメリカ人、カナダ人のイントネーションを使いわける。『叫び』の捜査にあたっては、潤沢な資金を持つロサンゼルスのゲディ美術館の職員になりすまし、ゲディ美術館が『叫び』を欲しがっているという情報を闇市場に流す...。

★『叫び』だけにとどまらず、本書ではこれまでに起きた沢山の美術犯罪の 事例が次々と紹介される。「こんな事実があったのか!」という驚きと、あえて困難な捜査に挑む職人気質の捜査官のキャラクター性、犯人グループを欺くスリリングな捜査過程が面白い。
エリック・アンダーソン著 小林淳子訳 『宇宙旅行ハンドブック』
文藝春秋 1850円
2006年02月23日
ブックナビ推薦本
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

エリック・アンダーソン著
『宇宙旅行ハンドブック』
文藝春秋 1850円


★最近、電車のなかで中高年女性が海外旅行の話をしているのを何度も聞きました。それもあちこちひんぱんに行っているようです。いかに海外旅行が身近になったか、という証拠ですね。まるで一泊で国内温泉にでかけるかんじで海外へでかけている。「トリスを飲んでハワイへ行こう!」と、ウイスキー会社がキャンペーンを打ったのが1961年。海外旅行が自由化になるのが64年4月。まだまだ40年前には、海外旅行は高嶺の花、夢でした。

★しかし、これからは、「今度の連休はどこへ行くの?」と聞いたら、「ちょっと宇宙へ」という時代が来るかも知れません。昨年十一月に、JTBが世界初の民間宇宙旅行会社と提携して、ソユーズに乗って月の裏側を通って地球に帰ってくる宇宙旅行を売り出しました。早ければ2008年には打ち上げられ、2名の民間旅行者の搭乗が可能。費用は1億ドル。日本円にして約110億円。はたして安いか、高いか。

★その民間宇宙会社「スペースアドベンチャー」の社長が、「予算」「コースの選び方」「無重力の歩き方」「所持品」から「トイレの使い方」まで、実際に宇宙旅行をするための具体的な方法をガイドしたのがこの本です。宇宙旅行という途方もないことを、まるで初めてハワイ旅行する人のために書いたガイドブックのように、真正面から細かくアドバイスしている点がミソ。スケールが大きいことを細かく書いているので、ちょっとホラ話のように読めてとにかく楽しいんです。

★例えば、第一章の「出発」。宇宙旅行はすぐ行けるわけではなく訓練の期間もあるし、直前の一週間から二週間、隔離されます。その「隔離」の時間にするといいことが書かれてある。

○毎日2時間運動しましょう。こうすればぐっすり眠れますし、いらいらや不安を最小限に抑えることができます。

○一緒に旅をするクルーたちと、「なぜ宇宙旅行をしたいと思ったのか」、「旅行中にどんな気分になると思うか」「地球に帰還したあとはなにをしたいか」について話しましょう。

○友人や家族に向けて手紙を書き、出発後に送ってもらいましょうなどと書かれてある。これではや、ゲラゲラです。どうでもいいようなことが真面目に書かれてあるので、なんだかおかしい。所持品のなかに、下着は毎日とりかえるから、 下着の替えを、というのもまあそうなんでしょうけど、馬鹿馬鹿しい。

★船内では無重力になりますよね。その際のマナーも書かれてある。「クルー(船員ですね)があまり近くに寄ってきたら、軽く押しかえしてやりましょう。押しかえされても怒らないように! 浮遊状態のマナーを守りましょう」なんて書いてある。たしかにそうなんでしょうが、もっと、大事なことあるだろう、と突っ込みたくなる。

★それから大気圏突入など高重力のときの注意事項、なんてのもある。高重力のときは、胸が圧迫されて喋りにくいそうです。だから「短く一気に」とあります。これは、「ひと息で言いたいことを的確に伝えましょう。『すみません(息つぎ)。ちょっといいですか(息つぎ)。いつこの状態が終わるのか教えてもらえますか』などと言おうとはせず、ただ「あとどれくらい?」と尋ねましょう、とアドバイスしてある。

★まあ、いまのところ、宇宙旅行を予定されている民間人は、世界でせいぜい数名ですから、われわれには、この本に書かれていることは、まったくムダな知識ですが、しかし、宇宙を舞台にした映画にも出てこない、非常にリアルで、手で触れるような具体感をもって宇宙旅行のすべてがわかりやすく書かれてあります。だから退屈しない。おもしろい。「月訪問の際には母国の旗を忘れずに用意しましょう」なんて、まあ、生きているあいだに、自分が月の上に立つことはないでしょうけど、考えるとなんだか楽しい。ぼくはこの本、ほんとうにニヤニヤ笑いながら読みました。宇宙のことを 書いた本でニヤニヤ笑って楽しく読めるというだけで、この本が傑作であることがわかります。
有川浩 『図書館戦争』 メディアワークス 1680円 2006年02月16日
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今日の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん
(=文芸評論家の北上次郎さん)です。

有川浩(ありかわひろ) 『図書館戦争』
メディアワークス 1680円


★公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律、「メディア良化法」が 成立、施行された日本を舞台とした近未来SF。この世界ではメディア良化法の成立により、出版物への規制・検閲が行われ、従わない者に対してはメディア良化委員会が厳しい弾圧を加えていた。これに対し、出版物の自由を守るために立ち上がったのが「図書館」。「図書館の自由に関する宣言」に基づいて図書館法を制定、本を守るため独自の防衛隊を組織して良化委員会との戦いを繰り広げていた。まさしく図書館が国の機関を相手に戦争をしている世界。

★ヒロインは、防衛隊志望の新人図書館職員・笠原郁。がっしりした体格と抜群の運動神経を持ち、内面は意外と乙女チックな女の子。高校生の頃に読みたい本を目の前でメディア良化委員会に検閲され、本を奪われそうになったところを図書館の防衛隊員に救われた経験があり、そのときに抱いた「本を守りたい」という思いと、助けてくれた図書館員への憧れを胸に訓練に勤しんでいる。

★作品のテーマとしては「表現の自由」「出版の自由」というリアルな問題がある。「図書館の自由に関する宣言」(・図書館は資料収集の自由を有する。 ・図書館は資料提供の自由を有する。・図書館は利用者の秘密を守る。 ・図書館はすべての不当な検閲に反対する。〜図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまでも自由を守る)は実在する宣言だし、小説の中で伝説的な戦闘が行われた図書館としてその名が語られる「日野図書館」も東京都日野市に実在する図書館。それまでの「所蔵するだけの図書館」を打破し、市民のために奉仕する図書館を標榜して「移動図書館ひまわり号」など画期的なアイディアを実現していった。

★社会派のテーマと現実の問題が背景にはあるのだが、それだけでは重苦しいつまらない小説になっていたかもしれない。しかし、あくまでも前面で展開するのは純情かつ武闘派の新米図書館員、笠原郁の成長と恋愛を描いた青春小説なのである。脇役も魅力的なキャラクターが揃っている。だからこそ、面白くて爽やかな小説になった。まだ2月だが、今年のベストテン入りは確実。「本を自由に読めるって素晴らしいなあ」としみじみと思える作品。

★ちなみに有川浩は、浩と書いて「ひろ」と読む女性SF作家。デビュー作『塩の街』で電撃ゲーム大賞を受賞したライトノベル系の作家で、まだこの作品で4作目。前々作を読んだときは、少し小説としての弱さも感じられたが、この作品は実にうまい。これまでと比べてこの作品での成長は著しい。これからも楽しみな小説家。
青山光二『吾妹子哀し』(わぎもこかなし)新潮文庫 460円 2006年02月09日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

青山光二 『吾妹子哀し』
新潮文庫 460円


★2015年には六十五歳以上が人口の四分の一、二○世紀半ばには三分の一になると言われています。いうまでもなく、日本は超高齢化社会を迎える。これまで日本の文学ではずっと青春文学が重んじられてきたような気がするんですね。日本の近代文学自体が若かったから、仕方がない部分もありますが、西洋の文学にくらべるとちょっと幼稚な感じがするのも否めなかった。それが、今後、老人文学こそが日本の文学を支えていくことになるのじゃないか、という気がするんですね。

★その先駆けとして、将来的にも、振り返ったときに重要な作品になると思われるのが、今回紹介する『吾妹子哀し』です。「わぎもこ」の「わぎも」は吾が妹、と書きますが、恋人や妻のことを指す古語で、万葉集などに用例があります。表題作の短編「吾妹子哀し」は、アルツハイマー型認知症により頭脳の混乱をきたし、失禁、徘徊を繰り返す妻・杏子を介護し、支える夫・杉圭介の姿を描いています。圭介は八十歳をとっくに過ぎた老齢の作家で、著者自身のことです。著者は一九一三年生れの現役作家で、最近、織田作之助、太宰治、坂口安吾ら無頼派作家との交遊を回想した『文士風狂録』(筑摩書房)という本が出ました。九十を過ぎて現役作家というのも珍しいし、主人公が八十代、というのも珍しい。

★「吾妹子哀し」は、かつて心より強く愛して結ばれた妻が、食器棚に靴やスリッパを詰め込み、便器の外に脱糞し、朝起きると「どこですか、ここ」と問う。そんな壊れてしまった妻を、冷静に見つめて描いています。しかし重たいテーマながら、あまり悲惨な感じがしない。著者の描き方がユーモラスで、苦労しているふうをまったく見せないせいか、ある種の透明感がある。その点が、あたらしい老人文学の可能性を感じさせます。

★例えば、便器の外に杏子が脱糞(朝から尾籠な話で恐縮ですが)したのを見つけるシーン。圭介はトイレの床に「チョコレート色の軟質の、大きめのボタ餅のようなもの」があるのを気づいて、腕組みをして、しゃがんでじっくり眺めます。(これが女房の、アレか)と呟く。汚いという感じがふしぎになく、段ボールをちぎって処理します。また、朝起きた時「どこですか、ここ」と、自分がどこに住んでいるかわからなくなった妻を可愛いと思い、唇を重ねる。これは、日本文学のラブシーンの中でも上位に入る名シーンではないでしょうか。

★「吾妹子哀し」が、介護小説ながら、暗くならないのは、冷静な著者の作家の目が働いていることと、主人公の杉の脳裏に、ときおり若いときの二人の想い出が甦るからです。喫茶店で偶然流れた「スーヴニール」という甘美なメロディから、戦前の西銀座でビルの中から流れてきたこのメロディに誘われて入った酒場で、妻の杏子と出会ったことが回想される。若く美しい妻と、ある意味、認知症になった幼女のようになったいまの妻とが重なる。しかも八十をとっくに過ぎた圭介は杏子と交わり、その快感を「若い頃の安直なそれに、どうかすると優るものがあるのだった」と表現する。

★老いという厳しい現実を描きながら、「吾妹子哀し」から受ける感動は、青春文学と同質のものと言えます。青春文学がグラニュー糖の甘さだとしたら、「吾妹子哀し」には和讃盆という上等な砂糖の持つ甘味がある。よくぞ厳しい現実をこれだけ美しく書けたなあ、と感心させられました。

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