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あさのあつこ『バッテリー』角川文庫 514円 2004年03月18日
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今日の担当は、本の雑誌社顧問の目黒考二さん(文芸評論家の北上次郎さん)です。

★あさのあつこ『バッテリー』角川文庫 514円

★野球小説かつ少年小説。児童文学の名作が昨年12月に文庫化されたもの。野間児童文芸賞受賞作品で、帯には「あの名作がついに文庫化!」とある。ハードカバーではすでに5巻まで出ているが、文庫版は6月に2巻が出る予定。

★寡聞にして今まで知らなかった作家だが、知らなかったことが恥ずかしくなるほど才能のある作家。この作品も児童文学の枠を超えており、一般の文庫に入れた編集者の判断は正しい。子供だけに読ませていたらもったいない。

★主人公の巧は少年野球で活躍する天才投手。巧は自分の才能に絶対的な自信を持ち、他人の痛みのわからない少年。協調性がなく自己本位。頑な、自信過剰、生意気。主人公が嫌なヤツというのがまず凄い。ただし、野球にはひたむき。一方、巧の弟、青波は実にかわいい男の子。病弱で、母親からは外で遊んではいけないと言われているが、野球が上手い兄に憧れている。兄は来るなといってもついてくる弟を少々鬱陶しく思っている。また、兄にとっては弟は病弱なため母親の愛情を独り占めしているかのように思える。だからこそ、自分には野球さえあればいいのだとますます野球にのめり込む兄。この微妙な兄弟関係にリアリティがある。

★物語は兄・巧が小学校を卒業した春に、一家が都会を離れ、田舎に引っ越すところから始まる。引っ越した先の中学校で、巧はキャッチャーの永倉豪に出会う。豪は身体が大きく、巧の剛速球を受け止めることが出来た。巧は初めて自分の球を生かせるキャッチャーに出会い喜び、二人は中学校の野球部でバッテリーを組むことになる。

★巧と豪を中心に大会を目指す野球小説としての面白さとともに、巧と青波、そして両親が加わる家族小説としても醍醐味もある。少年野球小説の傑作としては、川上健一の『翼はいつまでも』(集英社)があるが、本作は家族というファクターを加えたところが新鮮。

★昨今の文学界は、純文学とエンターテインメントといったジャンルの壁が崩れ、どんどんボーダーレス化が進んでいる。そんな中で唯一残っているのが児童文学と一般文学の壁。すでに、児童文学の世界からは森絵都、佐藤高子らの優れた才能が出てきている。あさのあつこもそれらに続く逸材なのは間違いない。

★2巻以降がこれから刊行されていくので、当分楽しめそう。新作だけでなく旧作にも宝が眠っていることを改めて認識した。
白幡洋三郎『花見と桜』PHP新書 660円
小川和佑『桜の文学史』文春新書 820円
2004年03月11日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

★白幡洋三郎『花見と桜』PHP新書 660円
小川和佑『桜の文学史』文春新書 820円


★温かくなってくるとそろそろ花見のシーズンですね。カンヒザクラ系など早咲きの桜は、もう開花が始まっているようです。しかしなんといっても桜はソメイヨシノ。開花は4月ごろですかね。上野公園では、毎年ピークには20数万人の花見客でにぎわうといわれる。すごいですねえ。みんなビニールシート敷いて、飲めや歌えやでどんちゃん、どんちゃん。花見と言いながら、花なんか見てない。で、あの桜の下で集団で飲み食いする宴会、これを「花見」といってるわけですが、どうも日本だけのことらしい。

★世界各国を調査した白幡さんは『花見と桜』のなかで断言している。あれは日本だけの風習だと。桜の名所はワシントンのポトマックにもありますが、その下でアメリカ人が酒飲んで騒いでいるのは見たことない。パレードはあるらしいですが。

★そもそもなぜ「桜」なのか。春咲く花はほかにもたくさんあるのに。よく知られているように、花イコール桜となったのは平安中期以降で、それまでは「梅」ですね。これは中国の影響でしょう。小川和佑さんの『桜の文学史』によれば、『万葉集』(奈良時代)に出てくる植物でいちばん頻度が多いのは萩、次いで梅です。桜は八番目。これが平安時代の『古今和歌集』になると、がぜん桜がトップに立つ。「ひさかたの光りのどけき春の日に しず心なく花の散るらむ」(紀友則)が代表歌。このとき貴族の間で花見の宴が催されていたようです。ただしカラオケはない。かわりに和歌を詠むんですね。優雅ですねえ。花見の宴は貴族のものだった。

★じゃあ、花見が貴族のものから、いつ大衆化したのか。いまみたいに集団で騒ぐようになったのか。どうも一つは豊臣秀吉の醍醐の花見。これが約400年前の話で、秀吉はこのイベントのため、桜のなかった醍醐寺周辺に700本の桜をよそから運んでこさせた。急に桜の山になった。そこへ5000人もの武将が参加する。すごいですねえ。壮観だったと思います。大会社の社員全員が花見に参加した、みたいな話です。

★次が江戸時代。享保年間、つまり約300年前に、徳川将軍吉宗が隅田川沿いの向島、それから飛鳥山、御殿山に花見のために計画的に桜を植える。これが花見の名所として定着していく。花見の名所はあばれん坊将軍がつくった。それでみんな桜を見るとあばれるんでしょうか。とにかくこのとき江戸の庶民はこぞって開花時期に連れ持ってでかけるようになる。花の名所には茶店や露店が出て、にぎわうようになる。落語で「花見酒」「長屋の花見」がありますが、どうもこのころの花見の形態がいまに続いているみたいなんです。ちなみに上野は当時、徳川家の菩提寺で鳴りものは御法度で、にぎやかに楽しむというわけにはいかなかったと『花見と桜』に書いてある。

★しかし、花見は盛んになるが、文学では一時期、桜や花見が描かれなくなります。というのも、本居宣長の「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花」という歌により、これが武士道と結びついて、桜は大和魂の象徴と化し、イデオロギーに染まっていく。「同期の桜」なんて歌はその一例。桜は文学史で受難のときを迎える。唯一、戦中から戦後にかけて、京都の花見をみごとに文学にしたのが谷崎潤一郎の『細雪』ですね。美しい姉妹三人が、京都の平安神宮へ花見にいくシーンが有名。これが花見をえがいた最高の文学作品と『桜の文学史』『花見と桜』ともに意見が一致している。

★さあ、なぜ花見が日本人の習俗として愛され、こんなに時代を越えて長続きしているのか、ですが。ひとつは開花時期が4月とあって新入学、新入社の時期と重なっているということがある。出会いと別れを、咲いてすぐ散る桜が演出する。新人を迎える儀式として花見はある。場所取りに新入社員が借り出される。これは敵地に乗り込む斥候で、あとから本部隊が出陣していく。これは赤瀬川原平さんの説。新人も上司も同じ物を食べ、飲むことで心を一つにする。団結するための儀式である。このときだけは無礼講。一種の村が都会の桜の下で生まれる、とこれは『花見と桜』にある説です。しかも自分たちの小集団のまわりに大集団がある。これが一種の盛り上げ効果となる。だから今年も桜の季節には花も見ずに、どんちゃんやるわけです。 とまあ、今年の花見では、話の合間に、ちょっとこんな花見と日本人の関係について述べてみてはどうでしょうか。秀吉の醍醐の桜はね、という具合に。岡ちゃん、学あるなあ、なんて株が上がるかもしれない。逆にぐだぐだ言ってんじゃないよ、とはり飛ばされるかもしれませんが。
飯嶋和一『黄金旅風』 小学館 1900円 2004年03月04日
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今朝の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん(文芸評論家の北上次郎さん)です。

★飯嶋和一『黄金旅風』 小学館 1900円

★いやはや、すごい。読み始めたらやめられない。『雷電本記』『始祖鳥記』の飯嶋和一、3年ぶりの新作にして最高傑作。飯嶋和一の小説がいつもそうであるように、今回も物語は最後まで緊密度を保ったまま進行していくから、途中で巻を置くことは絶対にできない。

★時は江戸初期、寛永年間。まず最初に語られるのは、長崎の外町を支配する代官であり、朱印船貿易家でもある末次平蔵が派遣した軍勢と、オランダ軍が立てこもるゼーランジャ城の攻防である。それでは台湾をめぐる話なのかと思っていると、次は長崎の町から次々に人が失踪して行方不明になる事件が語られていく。

★ここに登場するのは、内町火消組の頭、平尾才介で、長崎に多数住み暮らしている唐人や高麗人から不思議な人気があるものの、幼いころからの暴れ者。

★ところが、この男が主人公かと思うとそうでもない。真の主人公はゆっくりと登場する。それが末次平蔵の息子で、平尾才介の幼なじみ。のちの長崎代官、末次平左衛門茂貞である。平左衛門茂貞は、酒色に溺れたあげく勘当された「放蕩息子」として、江戸表の幕閣や平蔵と平戸のオランダ人にまで知れ渡っていた。反面、長崎での評判は、父とは違って悪いものばかりではなかった。火事騒ぎのたび、焼け出された者たちを率先して受け入れ、食糧や衣類の面倒までも気を配り、恩着せがましいところがなかった。

★この平左衛門を軸に、物語は進行していく。背景にあるのは、権力の中心が大御所秀忠から家光に移りつつある時代の流れであり、オランダやイスパニア、そして中国の政治情勢。大きな歴史の転換点のなかで、国内外の脅威から長崎に住む人々の暮らし向きを守ろうと、巨大な権力と戦う代官とその親友の苦闘を描いていくのが本書。深みのある歴史小説。

★物語は複雑な構造を持っているが、それが平易に迫ってくるのは、巧みな挿話と鮮やかな人物造形のためにほかならない。細部が、飯嶋和一はいつも群を抜くほどうまい。

★話がまっすぐには進まないのもこの作者の特徴で、たとえば第三章は、鋳物師の平田真三郎の挿話。真三郎が実は長崎のセミナリオ(神学校)で、平左や才介たちと同期だったことが語られて、彼のドラマが始まっていく。

★この真三郎が死んだ幼子の像を作る挿話もいい。物語とは直接関係のないわき筋までもが、鮮やかに描かれる。こうしてすべてが渾然一体となって、長崎の町をめぐる歴史のひとこまが鮮烈に描出される。普通の時代小説と違うのはその人間が生きていた時代全体を描いていること。全体小説的の雰囲気がある。飯嶋和一の力技といっていい。

★ストーリー、プロット、描写、すべてが揃っている。小説を読むことの醍醐味、そして喜びが、ここにはぎっしりとつまっているのだ。本当にすごいぞ。年間ベスト3入りは確実。
河内紀『ラジオの学校〜生きるためのことば』
筑摩書房 1600円
2004年02月26日
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今日の担当は書評家の岡崎武志さんです。

★河内紀(かわち・かなめ)『ラジオの学校〜生きるためのことば』
筑摩書房 1600円


★著者は1940年生まれ、テレビ制作会社でドキュメンタリーを作っているディレクターです。鈴木清順監督『ツィゴイネルワイゼン』の音楽監督をつとめるなど音楽にもくわしい多彩な方です。

★いまから約40年前、1962年に東京放送に入社します。すなわちTBSですね。このころ、テレビの急速な普及で「ラジオ」離れが起こっている。そのラジオ部門に配属される。しかし、「ラジオが聞かれなくなってきた」切迫感のため、生き残りのためラジオにしかできない魅力的な番組づくりを考えるようになる。ラジオはかえっておもしろいメディアとなるんです。そんな空気のなかで河内青年はたちまちこの「音の世界」の深さ、面白さの虜になります。当時は効果音担当にもいわゆる職人と呼ばれる人がいて、階段を上るときと降りるときの音の違いを教えてくれたりする。

★以来、1974年に退社するまでの10数年、さまざまなラジオ番組を制作しながら得たすばらしい体験を一冊にまとめたのが『ラジオの学校』です。河内さんはラジオを通じて「生きるためのことば」を学んだといいます。だから「学校」です。

★ひとことで言うと、ラジオにおいて「沈黙もまたことば」だ。「ひとはそれを聞き取る力がそなわっている」ことを河内さんはラジオから学ぶ。

★例えば、入社3年目に担当した朝のラジオ・ドラマ「妻の季節」。長門裕之、市原悦子の若夫婦のドラマです。そこに一通のハガキの投書が来ます。見ると一瞬真っ白なんです。しかし、よく見ると小さな点が盛り上がっている。点字で書かれたハガキなんですね。翻訳してもらうと、番組の感想のあと、最後に「台所のドアはなぜ変えたのですか?」と書かれてあった。

★これ、ラジオドラマの効果音の話です。ドラマで夫婦が住む部屋の台所が、いつのまにか効果音が引き戸からスイングドアに変わっていた。それに効果音担当も河内さんも気づかなかった。投書をした眼の見えない聴視者にはそれがわかった。河内さんは衝撃をうけます。自分が作っている番組、電波に乗せた「音とことば」が「誰でもない誰かではなく、誰かに聞かれていることを」そのはがきが教えてくれた。河内さんはすばらしい人で、以後、作った番組をスタジオの明かりを全部消して、真っ暗やみで試聴するようになります。

★それから三年、今度は「ことばの交差点」という、毎週一回、十五分の番組を担当します。それまで大学の先生が話すような番組だったのを内容を変え、スタジオを飛び出し、インタビューする番組にする。最初は新人というテーマで、バスガイド、ラーメン屋、美容師、電話交換手の卵などの話を聞く。そこでラーメン屋さんに聞いた話がそのままこの本に再現されている。番組のテープなどは残っていない。なぜそんなことができたかというと、河内さんは、取材テープを自分で文字に一度起こしていたんですね。その資料が残っていた。

★札幌の中学を出て、東京郊外の小さなラーメン屋で働く二十歳の若者の話。「まあ、ここで、高校なんかダテに行ってね、して、将来何の為になるったら、またひとつ疑問だったからね。ま、腕に身につくやつはないかつうので、ま、はじめコックをね、募集したんですよね」なんて喋る。整理されない、うまくない喋りがおもしろい。河内さんは「目の前に現れた人間のすべてを味わいつくすこと」に関心があったといいます。

★「作家のことば」では有名な作家の話も聞く。野坂昭如さんは「聞いていると引き込まれるのだが、編集しようとすると文脈がどうにもつながらくなってしまうことば」と書かれている。感じはわかりますね。また、筑豊炭坑まで出張して、焼酎をのみながら炭坑で働く人のことばを録音したりする。

★そうした「生きたことば」とつきあうなかで、放送するさい、録音したテープを編集するわけですが、河内さんは自分で規則を作ります。「口ごもる『間』をカットするナカレ、矛盾したことばを整理するナカレ。まわりくどい言い回しをわかりやすくするナカレ」というものです。ふつうはまっ先に編集されてしまう部分ですよね。しかし河内さんは、それこそ「ラジオのことば」だといわけです。そうした生きている人間の息づかいをラジオは伝える。また聞いている人も、情報というより、沈黙や、矛盾したことばから何かを感じ取る。ラジオはそういうメディアだといいます。

★たぶん、いまでもラジオはそういう聴き方をされていると思うんです。もちろん、イラク派遣について、こんなことを喋っていた、今日の天気はどうかということも重要ですが、森本さんがちょっと声がかすれていると、森本さん風邪をひいたんじゃないかなんて、たぶん心配されると思うですね。音で目には見えないものを察知する。それはテレビとは違うコミュニケーションのありかただなあ、と思います。

★ラジオの素晴らしさを再認識する、そして60年代、70年代のTBSのラジオ番組がこんなふうに作られていたのか、ということがわかる本です。
アラン・グリン『ブレイン・ドラッグ』文春文庫 819円 2004年02月19日
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今朝の担当は本の雑誌社・顧問の目黒考二さん(文芸評論家の北上次郎さん)です。

★アラン・グリン『ブレイン・ドラッグ』文春文庫 819円

★イギリス推理作家協会新人賞候補。期待の新人作家の登場。

★舞台はNY。主人公エディは30代の売れないフリーライター。根気も集中力もなく、部屋は散らかり放題。人生の負け組男。

★そんなエディはある日、町で偶然、別れた妻の兄つまり義兄に会う。

義兄はコカインの売人をやっているような怪しい男。一緒に飲みに行くと、「最近は仕事の調子はどうだ?」と聞いてくる。エディが「仕事に行き詰まっている」と答えると、義兄は「そんな人にぴったりの薬がある。臨床試験 を通ったばかりの新薬だが、買えば1錠500ドルはする」と言いながら、1錠の薬をエディに手渡す。

★自分の部屋に戻ったエディは薬を、気楽な気持ちで飲み干してしまう。すると薬の劇的な効果が、、、。これまで気にもしなかった部屋の乱雑さが 気になり始め、パソコンの向かってみると、次から次へと原稿のアイディアが湧いて来る。2週間も進まなかった仕事が一晩で出来てしまった。

★これはいいと大喜びのエディは、もっと薬を手に入れようと義兄の家を訪ねるが、家に行くと義兄は何者か殺されている。エディは部屋の中を探し、義兄がくれた新薬MDTが500錠ほど見つけて持ち帰る。

★新薬MDTは、言わば「頭のバイアグラ」。脳細胞は通常、ほとんどの部分が使われないまま眠っている。MDTは眠っている脳細胞を活性化し、人間の脳の力を最大限に発揮させる薬。もし自分がエディの立場になったら、、、何をする?と考えると楽しい。

★MDTを飲んで夜な夜なパーティに行くと、政治・経済・芸術、、、どんな分野の話題の議論になってもエディの意見は冴え渡る。気の利いた発言でエディは尊敬され、女性にもモテまくる。

★調子に乗って50錠ほど飲んだところで、エディはハッと気づく。「このままじゃ500錠飲み尽くしてお終いだ。今のうちに何か一生食えるような大儲けをしなくては、、、、何をすれば?」「株だよ、マヌケ!」というわけで、エディは冴え渡る頭脳を武器に株の世界に乗り込む。

★株の世界の描き方が実にディテール豊か。ビジネスマンが読んでも面白い。個人的には株の世界は良く知らないが、大博打の連続でスリルがある。

★ここから先はネタバレになるので詳しくは言えないが、エディの運命の 行方はどうなるのか?薬の秘密は?義兄を殺した犯人は?といったサスペンスが絡むストーリーは非常にうまい。まさに「洒落た都会小説の風合いを持つホワイトカラー・サスペンス」。
サラリーマンにお薦めのホワイトカラー・サスペンスとしては、ダグラス・ケネディ
『仕事くれ。』(新潮文庫)も。
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