ありがとう『カルテット』
心に残るドラマでした。「神は細部に宿り給う」という言葉がふさわしい、すみずみまで吟味された作品を楽しませていただきました。
2017年の冬は、軽井沢の冬景色と弦楽の音色、名セリフの数々、役者さんたちのさまざまな表情と、「おとなの掟」のゴージャスな映像・音楽とともに思い出すことになるでしょう。
29日の肉の日に、デパートの特売のお肉を見ながら、ここで着ぐるみを来たQDHが演奏したら、けっこう非日常的で盛り上がったんじゃないかと想像しました。低レベルな仕事として拒否するより、着ぐるみで演奏して通りすがりの人を振り向かせる方がかっこよかった。
みんな、不可逆な時間を生きる、自分の人生の奏者=走者。好むと好まざるとに関わらず、「前に進むだけ」なんですね。限りある命を、人を査定したり三流と呼んだり、「煙」とののしったりすることに費やすのはむなしい。
カルテットの4人は「みんな違ってみんないい」を超えて、「欠点でつながっている」。お互いを丸ごと受け止め合える仲間が見つかれば、生きづらさもやわらぐことでしょう。
「僕は皆さんのちゃんとしてない所が好きなんです。」別府さんの境地に自分が達する日が来るかどうかわかりませんが、人のことを表面的に見て決めつけることの浅はかさ、愚かさを、改めて考えさせられたドラマでもありました。
キャストとスタッフの皆様、極上の時間をありがとうございました。無料で見たのがかたじけないので、DVDを買おうと思います。