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出演者インタビュー

氷崎清太郎役 井上真樹夫

原作・台本を読んだ印象はいかがでしたか?

率直に申しまして、とにかく長い小説ですから、3ヶ月のドラマにするのは非常に難しいだろうと思いました。ただ台本を受け取って感じたことは、原作者の天童先生とお話し合いをする中で変更している部分も多く、あくまでもテレビ版『家族狩り』という形を狙ってらっしゃるんだなと。植田プロデューサーや脚本の大石さん、泉澤さんのお力がうんと入っていると感じました。大石さんにしても泉澤さんにしても、天童先生の原作を残しつつも創作意欲をかき立てられたんじゃないかと、素人ながらに思いました。

『家族狩り』をドラマ化する魅力はどこだと思いますか?

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今一番問題なのは、人と人の関わり方。特に家族関係は、非常に大きな問題ですよね。古今東西大昔からそういう問題は横たわっていたんだろうけど、今の日本においても家族の問題はなくなることはない。そういう作品をドラマにすることは大事なことだと思います。非常に難しいとは思いますが、そこは天童先生が焦点を絞っているというか、単なるホームドラマじゃなくミステリーの要素を加えて描いてらっしゃるので、「ホームドラマ+ミステリー」という新しい視点がとても面白いです。演じていてもワクワクするような毎日でございます。今、テレビ番組はお笑いがたくさんあって楽しいんだけども、笑ってばかりじゃなく笑わないドラマもあっていいし、こういう深刻な問題に真正面から取り組むテレビドラマも必要だなと感じています。だから皆さんにはぜひ最後まで見ていただきたいというのが本音です。

幼児虐待、介護など様々な問題が出てきますが、身近に感じられる事はありますか?

私自身が、演じている氷崎清太郎と年齢的にも近いですから、ボケが近いかもしれないし、介護も近いかもしれないので、明日は我が身というか……。他人事じゃなく切実な問題を演じているんだなぁと感じます。だから清太郎と同じ立場の人がね、アルツハイマーという大変な病と闘っている方や介護している方が希望を持てるような未来が見えるといいなと思います。

演じる氷崎清太郎はどのような人物ですか?

元区役所の職員で昼夜なく働き、退職後にアルツハイマー型認知症を発症した男です。妻・民子(浅田美代子)と娘・游子(松雪泰子)と暮らしています。
原作とは少し違う面もあるんだろうけども、私的に清太郎は間合いを生きている気がします。ちょっと生意気なようだけど、一遍上人(いっぺんしょうにん)っていう方がいて。この方は、「捨て聖(すてひじり)」と尊称されているんです。捨てて捨てて捨て抜いてなんぼだという考えが、清太郎に投影してきちゃったというか、病を抱えているけれど、どこか哲学的で深い一面があるんですよね。セリフでいうと、娘の游子に向かって「お前は俺を捨てて自由に生きろ」って言うんですよね。これはまさに「捨て聖」ですよね。“自分は妻と娘を捨てることになる。だからお前達も俺を捨てて生きなさい”とお互いに捨て合うことが幸せだという考え方を清太郎は持っているので、僕は「聖」的な人だなと思っています。

演じられていて清太郎の変化は難しいですか?

難しいですね。本当に捉えどころがないですし、ここはボケていなくて、ここからはボケている……という変化は自分だけでは決められないので、植田プロデューサーや監督のみなさんと相談しながら演じています。見てくださっている視聴者のみなさんがどういう風に感じてくださるか、ご判断を待ちたいと思います。

松雪泰子さんの印象はいかがですか?

まともに目を見て芝居が出来ないくらい美しい方ですね。ジイさんのくせに照れちゃうんですよ(笑)。だから目線が下に落ちちゃって、本番だけは一生懸命目を見なきゃって自分を励ましながら演じています(笑)。スクリーンを通しても美しいけれど、実際に見るとよりお美しいですから、そういう点で『家族狩り』は、松雪さんの美しさも見所だと思います。

氷崎家は浚介や渓徳など色々な方が集まる場所に変化していきますね。

そうですね。ひょんなことから浚介がうちに遊びに来て、そのうち清太郎の面倒を見てくれるようになり、その後とても仲良くなっていきますね。今は近所の人がやってきて集まるということは余りないかもしれませんが、昔は普通だったんですよね。おばあちゃやおじちゃんがいて、縁側で将棋をさしていて、近所の子供たちが次から次へと遊びにきて、路地裏があって、それが日本の原型なんですけど、もうそういう時代じゃなくなっちゃったから寂しいよね。だから、出来るだけそういう日本の良さも忘れたくないなぁと僕なんかは思っていて……歳かな?(笑)。今はどこか殺伐としているから、もうちょっといい日本になってくれればなぁと思います。

今後、『家族狩り』がどのようなドラマになって欲しいですか?

それは原作者の天童さん、植田プロデューサー、脚本の大石さんと泉澤さんが良い作品にしようと一生懸命台本を作ってくださっていますから、私が口出しするような事じゃないんだけど、問題を抱えている家族がたくさん出てきます。その「家族」たちが、最終的にはどこか光の見える結末になってくれるといいなぁと思うけれども、そんな安易なものじゃないんじゃないかとも思うしね。家庭内暴力、幼児虐待、介護、一家心中と非常に血なまぐさい所も描きつつ、最後には人間としての希望が見たいなぁ、光が見たいなぁと私は思います。

井上さんにとって「家族」とは?

う〜ん難しいね!「愛」かな?
家族というのは何世代も積み重なっていく血のつながりですが、血のつながりのない男女が結婚して、新しい家族という郭(かく)を作る。人が帰る場所の原点は家庭ですから、その家庭が歪んでしまったり、不幸な状況になったりするというのは悲しい事ですよね。ですから、この作品を通して、「愛」というものをもう一度考えていただけたらなと。私もいい年だから説教がましいことを言い始めると長くなりますが、愛し合える家族であり、愛し合える社会であり、愛し合える日本人であり、世界全体、地球を愛せたら一番いいんだけど、理想と現実はあまりにもかけ離れていてね……。ですから、小さい力かもしれないけど、出来るだけ多くのみなさんの心の中に触れられるような作品を届けたいと思っています。そして、じっくり見ていただいて、少しでも考える暇(いとま)があれば、心で感じて、目で見て、目撃して頂きたいです。人生の色んな面が展開されますから、視聴者の皆さんに見て欲しいというよりは、目撃していただきたいです。

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