もう一度君に、プロポーズ「あらすじ完全版」

第1話

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(写真) 宮本波留は、車やバイクの整備士をしている。波留の勤めるミズシマオートは、小規模ながら物を大切にするメンバーが集まっており、みんな家族のように温かい雰囲気の職場だ。
妻の可南子は、図書館に勤めている。結婚4年目、めずらしく波留を映画に誘ってみたものの、波留は可南子との約束より、ラジコンの修理を依頼してきた少年を優先し、ドタキャンしてしまう。波留はなんともないことのように考えているが、可南子にとっては、いつもと違うことをしてみようという試みだったため、不満が残る。
翌朝、可南子はいつもは作らないお弁当を作って波留に手渡し、映画の埋め合わせにと約束を取り付ける。お弁当に驚いたものの、波留は何気なく受け取り、急いでいる可南子を図書館までバイクで送っていく。その日可南子は、勤めている図書館で子どもたちへの朗読会を行う日で、準備に追われていたのだ。
朗読会の最中、可南子は突然の頭痛に襲われる。救急搬送された病院の診断は「くも膜下出血」。連絡を受けてかけつけた波留は、年をとってもハワイでバイクに乗ろうと約束をして、可南子を手術室へと見送った。
無事に手術は終わり、かけつけた可南子の母・万里子と弟の裕樹とともに可南子の様子を見守る波留。しかし、目覚めた可南子は波留と出会ってからの5年間の記憶を失っていた。 
家に帰っても、応えてくれる可南子はいない。玄関先には、あわただしく出てしまった波留の荷物を、後輩の吉城 桂が届けてくれていた。中には「たまには」と言って、可南子が作ってくれたお弁当が入っていた。言葉もなく、そのお弁当を食べる波留…

(写真)

翌日、変わらずに出社した波留を見て、可南子の状態も心配なさそうだとお見舞いを申し出る社長たち。しかし、本当のことを言えない波留の、お見舞いを断る様子を見て、桂は何かあるのではと気になってしまう。

波留と結婚していたと聞かされても、可南子にはその部分の記憶がないため、どうしても事実だと受け入れることができない。そんなところに波留の父・太助がお見舞いにやってきた。波留はあわてて外に連れ出すが、可南子の記憶のことを聞いても、さして驚く様子も見せず、あきらめることなく向かっていくようにと、大ファンである広島の江夏のエピソードを持ち出して波留に話すのだった。

記憶のない可南子は、実家で暮らしたほうがいいのではないかと裕樹は言うが、万里子はどこ吹く風だ。波留のことだけ忘れてしまったという可南子を、裕樹は二人がうまくいっていなかったのではないかと訝っているのだ。そのことを告げる裕樹に、波留は何も言えなくなってしまう。

(写真)退院し家に戻っても、可南子にとって波留とくらした家は、知らない人の家だ。落ち着いたら心療内科に行って見るという可南子に、あせることはないと波留は笑顔で応え、きっかけになればとアルバムを見せる。しかし可南子には「ない」時間だ。ベッドとソファに別れて眠る波留と可南子は、まんじりと眠れない夜を過ごす…
波留が出勤したあと、可南子はひとりアルバムをめくる。知らない場所、知らない笑顔…記憶ではなく、波留を好きだという気持ちを思い出せない可南子は、波留と暮らした家ではなく、実家に帰ることにしたと波留に告げる。

ひとり家に帰ってきた波留は、ふと可南子の本棚に目をやる。そこには、背表紙に何も書かれていない冊子が数冊あり、中を開くとそれは可南子の日記帳だった。思いついたときにだけ書かれているそれは、日常のたわいもないことから、波留としたちょっとした喧嘩のこと…知っているようで知らなかった可南子の想いが綴られていた。最後のページは、波留が映画をドタキャンしてしまった日。幸せな毎日のために、これまでと違うことをしてみようとしていた可南子。波留の頭には映画に誘ってきたり、お弁当を作ってくれたときの可南子の笑顔がよぎる。そしてその日記の最後には「記念日を祝う」という一文が―――

(写真) 記憶をなくす前に約束したその日、波留は可南子を迎えに行く。向かった先は、可南子の勤める図書館前の公園。5年前の今日、そこで二人は出会い、恋に落ちたのだ。桜の花が散る中、波留の髪についた花びらを取ろうと無意識に伸ばされた可南子の手をとっさに握り、5年前に全く同じことをした可南子の姿がオーバーラップする。同じ場所で同じ桜を同じように見上げ、可南子への同じ気持ちを思い出した波留。立ち去る可南子の後姿を見ながら、波留はもう一度、可南子に恋をするところから始めようと決めたのだった。