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ドリマ署 橋本班“ハシ”チョウ日記

『ハンチョウ〜神南署安積班〜』の橋本プロデューサーが、シリーズ4のウラ話や自身の本音を、徒然なるままに書き綴る日記コーナー!

vol.20
2011.07.21

橋本です。

一ヶ月ぶりに日本へ帰って来ました。
時差ボケの頭のまま、皆さんからのメッセージを全部読ませていただきました。
「ハンチョウ」のメッセージ欄は、本当に温かい気持ちがあふれているなあ・・・・・・。

5時の日の出とともに起き、
一日中野山を駆け回り、
11時の日の入りとともに寝る、
という原始的な生活をずっと続けていたせいか、
心の中までシンプルになっていて、
皆さんの愛のこもったメッセージが、
すーっと胸に染みました。

辛口のご意見も、「ハンチョウ」に対する愛があるからこそ、
という気持ちが伝わってきて、
素直に肯いてしまいました。
まさに私が、「ここが弱いよなあ」とか「ここは目をつぶって行っちゃえ!」
とか思ったポイントが的確に指摘されていて、
やっぱり、もっともっと粘らなくちゃいけなかったなあ、
と反省いたしました。

最後まで「ハンチョウ」をご覧いただき、
また、メッセージまでお寄せいただき、
本当にありがとうございました。
あらためて、皆さまに感謝いたします。

次シリーズに対する熱い想いも、
きちんと受け止めさせていただきました。

が、今日時点で発表できることは、
残念ながら、まだありません。
このホームページがいつまで更新されるかわかりませんが、
なにか発表できるようなニュースが発生したら、
必ず真っ先にここで発表させていただきますので、
それまで気長にお待ちください。
どうか、よろしくお願いいたします。

帰国する機内で、
今野先生の『最前線〜東京湾臨海署安積班』を読み返していました。
『最前線』は6篇の短編からなる連作集なのですが、
その最終話に「夕映え」という作品があります。

応援のために赴いた品川署の捜査本部で、
安積は刑事としての生き様を教えてくれた大先輩・三国に再会します。
三国は、安積が刑事としてスタートした時に最初に組んだ相手でした。
三国は間もなく定年を迎えるのですが、
警部補の昇進試験を受ける暇もなく捜査に没頭したために、
いまだに巡査部長のままです。

巻末の末國善己さんの解説を引用します。
「須田の何気ない助言を信じた安積は、
 三国と二人でその線を追い犯人を追い詰めていく。
 安積より階級が下のまま定年を迎えるのに、
 現場一筋に生きた人生を悔いていない清冽な三国、
 その三国のように生きたいと考える安積の想いは、
 魂を浄化してくれるほど清々しい。」

作品の最後のシーンを読んでいるうちに、
いつしか私は泣いていました。

引用させていただきます。
事件が終わり、安積が自分の席に戻ってきた夕暮れのシーンです。

『気づくと、日が暮れかかっていた。
 窓の外が赤い。
 夕日が見たくなり、非常階段に出てみることにした。
 署の連中が外階段と呼んでいる、鉄板と鉄のパイプでできている粗末な階段だ。
 見事な夕映えだった。
 駐車場から誰かが声をかけてきた。
 見ると速水だった。やつは、階段を昇ってきた。
 「何してるんだ、ハンチョウ」
 「別に・・・・・・。外の空気を吸いたくいてな」
 「帳場、明けたんだってな」
 「ああ」
 「昔の師匠と何か話をしたのか?」
 「捜査本部は同窓会じゃない」
 速水はにやりと笑った。
 「そうか?村雨が言ってたぞ。ハンチョウが妙なことを言ってたって」
 あいつめ・・・・・・。
 「なんでもない。ただ、昔世話になった人が、来年定年になる。
 それで、ちょっとしんみりした気分になっただけだ」
 「定年か。おまえより階級が下のままでか?」
 「そうだ」
 「そうか」
 速水はそれ以上何も言わなかった。
 安積は、ずっと西の空を見つめていた。
 日が沈む。
 だが、沈む直前に太陽は、ありとあらゆるものを赤々と美しく染め上げている。
 雲も、遠くのビルも、人口の森も、茜色に映えていた。
 静かに、温かく、夕日は周囲を照らし、沈んでいった。
 私も定年を迎える時は、そうありたい。
 安積は思った。
 三国がそうであり、夕映えがそうであるように。』


最終回の台本打ち合わせの時に、
蔵之介さんがどうしても、これだけは言いたい、
と言ったセリフを思い出しました。

「滝本警部、警察官ひとりひとりの胸にある、
 その矜持こそが、警察そのものなんです」

金儲けのためでなく、
名誉や成功のためでもなく、
ただ「使命」と「誇り」のために、
働き続ける刑事たち・・・・・・・・・。

そんな刑事たちをもっともっと描いていきたい。

上空1万メートルの機内の窓に広がる夕映えを見つめながら、
そんなことを思っていました。