ドリマ署橋本班 “ハシ”チョウ日記 シリーズ5

vol.19

2012年6月28日(木)

橋本です。

「ハンチョウ〜警視庁安積班」、
最後までご覧いただき、
本当にありがとうございました。
春一番が吹き荒れる味の素スタジアムで第1話のクランクインを迎え、
同じスタジアムで台風の直撃を受けながら最終回のロケを撮り終えました。

撮影期間、108日。
終わってしまえば、あっという間の3か月半でした。
出演者のみなさん、
スタッフのみなさん、
支えてくれた関係者のみなさん、
そして何より、番組を見ていただいた視聴者のみなさん、
本当に、本当にありがとうございました。

「異動先は敵地(アウェイ)。」
というポスターのコピーの通り、
この3か月半の道のりは、決して順風満帆ではなく、
むしろアウェイなことの方が多かったような気がしますが、
みなさんの熱い気持ちに支えられて、
なんとかゴールすることができました。
感謝の言葉しかありません。

去年の秋、
シリーズ5をこのような形で展開すると決めた時、
私が胸に刻んでいたのは、
「進化論」で有名なダーウィンの、次の言葉でした。

「生物の世界では、最も強い者が生き残るとは限らない。
最も賢い者が生き延びるとも限らない。
たったひとつ生き残るものがあるとすれば、
それは、変化に対応できる者である。」
(『種の起源』 チャールズ・ダーウィン)

もちろん、「変わらないこと」も対応のひとつだと思うし、
さまざまな選択肢がある中での、
悩みに悩んだ末の決断でした。

変化に対応できたのかどうかは、
もっと先にならないとわからないことですが、
1つの可能性を示すことはできたのではないか、
と今は思っています。

全てが計算どおり行くわけではないし、
いくら事前にストーリーラインを組み立てていても、
結局まったく違う方向に行ってしまったりする。
つくづく、連ドラというのは生き物だなあ……、
と毎回思うのですが、
シリーズ5を振り返ってみると、
「うれしい計算違い」が多かった気がします。

結城、尾崎、小池のキャラクターも、
最初の設定からどんどんはみ出していって、
中盤からは、それぞれが勝手に動き始めて、
ストーリーをぐいぐい引っ張っていったし、
鑑識の二人も、終盤あんなに活躍するとは思わなかった。
なんか、登場人物たちが作り手の思惑を超えて、
「ハンチョウ」という世界の中で、
それぞれの人生を色鮮やかに生き始めた、
という感じです。

音楽も、最終回までの流れとか決める前に、
作曲家の遠藤浩二さんがシリーズ5用に、
「IN MISERY」という曲を作ってくれたんですが、
最終回にその曲が流れた時、
思わず鳥肌が立ちました。

安積さんが、死のうとしている三神に語りかけるシーンに、
「IN MISERY」が流れます。
この曲を歌ってくれているのは、シンガーの麻衣さんなんですが、
崩れ落ちた三神を安積が抱きとめた瞬間、
麻衣さんが歌っていたのはこんな歌詞でした。

「あなたは覚えてる?
お先真っ暗のこの私に
一筋の光をもたらしてくれたのはあなただった
そして絶対に諦めるなと
ただじっと良くなる時を待つのだと
しっかり周りをみて
運命ならば背を向けてはならない
明るい明日(将来)は必ず来る
近いかまだ先かは私にはわからない
だけど待っていて
道が開けるその時が来るまで」

まるで、最初から最終回のこのシーンを、
想定していたかのような……。
こういうことがあるから、
ドラマ作りは面白いんですね。

クランクアップの時、
福士君はちょっとおどけながら、
小澤さんはまっすぐ素直に、
そして比嘉ちゃんは涙ぐみながら、
みんな異口同音に言いました。

「この役をやらせていただいて、
本当によかったです。
ありがとうございました」

その後、
蔵さんもスタッフもほとんど寝ていないまま、
打ち上げに突入し、
メチャメチャ飲んで、笑って、
そのまま二次会のカラオケに行き、
福士君がAKBを歌い踊り、
小澤さんがサザンを歌い、
比嘉ちゃんが沖縄の歌を歌い、
蔵さんがマッチを歌い、
そして、明け方、解散しました。

「解散じゃなくて、卒業よ!」
比嘉ちゃんのセリフに、
みんなで大声で笑いました。

先のことは、
正直、私にもわかりません。
プロデューサーと言っても、
組織の一員であることに変わりはないので、
組織の決定に従うのみです。

「オレたちは組織の人間だ。
辞令が出ればそれに従う。
ただ、それだけのことだ」
(第1話 安積のセリフより)

シリーズ5、ご覧いただき、
本当にありがとうございました。
また、いつか会える日を信じて……。