インタビュー

vol9.萩原聖人さん(竹部順一郎)

このドラマへの出演が決まったときのお気持ちというと?

原作はずいぶん昔に読んでいましたが、世界的な名作を野島さんが手がけられるということで、とても興味をそそられました。ある意味、現実離れした設定の原作を、現代の日本にどう置き換え、またそこにリアリティーと説得力をどう付けていくのか? もしかすると、視聴者のみなさんに付いてきてもらえないかもしれないという一抹の不安と、フィクションとして上手くハマればおもしろいものになるだろうという期待が入り混じったような気持ちでした。
それと、誤解を怖れずに自分の考えをお話させていただくと、咲人のように知的障がいがあっても心はピュアで、人として大切なものを持ち続けられているという主人公の背景=フィクションの部分と、その逆に、大事な部分を忘れてしまいがちな現代人と対比することで、なにか皮肉めいたものを根底に感じる物語だと思います。どちらかというと、僕自身も後者の方だと思うので、いろいろと考えるところがありました。

今回演じられる竹部順一郎とはどんな人物だと思われますか?

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第9話の中で竹部のバックボーン的な部分が語られるので、今ここで詳しくお話するのは控えておきますが、まずは人間が好きで、周りに関わっている人たちに対して、とても深い愛情を持って接している男です。それは、自分自身の過去に何か傷を持っているということが、竹部の生き様に強く影響しているからだと思います。
竹部自身、いろんな恩を感じて生きてきたのだと思うのですが、その恩を、今度は自分の周りの人たちにどう還元していくか? 物理的な部分も含めて、私益云々と言わずに無償で返していくということは、自分が生を全うするときに財産になるものだと思いますし、きっと竹部はそういう生き方をしているのだろうと思います。
ちょっと話がズレてしまうかもしれませんが、竹部の会社の従業員たちは皆“スネに傷持つ”“叩けばホコリが出る”という連中ばかりですが、悪いところなんて、多かれ少なかれ誰でも持っているし抱えていると思うんです。そこで大切なのは、本人がそういった部分としっかり向き合うということ。竹部は従業員の連中に対して、自分がしてきた悪い部分としっかり向き合ってほしい、そのままでいてほしくないと考えていると思うんです。
それは、老婆心というか竹部のおせっかいな部分ですが、世の中、おせっかいがなくなってしまうと、とても希薄な人間関係になってしまうと思うんです。「そんなの古い考えだ!」と言われてしまうかもしれませんが、こと人間関係において“おせっかい”に関しては古いも新しいもないと思いますし、古い考えだと一蹴してしまうことに対して、僕は違和感を覚えます。
時代に即して人間関係も変わってくるのは仕方のないことかもしれませんし、もちろん変わっていくことも必要かもしれませんが、変える必要のないところはそのままで良いと思います。そのバランスが、いちばん大切なのかもしれませんね。

そんな竹部を演じる上で気をつけているポイントというと?

まず、監督から「オヤジっぽく…」ということをリクエストされまして、ハイと返事をしておきながらもあまり気にすることなく(笑)、台本から読み取れる印象を軸として、竹部の人となり考えました。それと、若者たちの中にいる人物なので、オヤジと呼ばれる年齢ですが、若者と同じ目線に立てる人間という感覚は意識していました。

主演を務める山下さんの印象というと?

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以前『クロサギ』というTBSのドラマで対決(笑)してから、この作品で2回目の共演です。今回の役はとても難しいですし、また咲人という役柄を演じる上でその答えがあるわけではないので、撮影当初はとても苦しんでいるという印象がありました。
しかし、撮影が進むにつれてドンドン彼なりの正解を見つけていったというか、苦しみながらも咲人を自分のものにしていく姿、その過程を遠巻きながら見ていて、とてもすばらしい姿勢だと感心しました。この咲人という役に愛情を持って、しっかりと向き合った結果だと思います。

最後にこのドラマの見どころというと?

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こうして今まで話をさせていただいた中で、あらためて思ったことなのですが、ハンデキャップがあるが故に心の中にある大切なことを忘れずにいる人間と、五体満足で生活をしているのに、その大事なことを忘れていってしまう僕ら…という対比とでも言いますか、そんなところから見えてくる“何か”を、ほんの少しでも感じ取っていただけたらと考えています。
それこそ、よくあることだと思いますが、つい自分のことは棚に上げて他人のことを見て生きている人が多い中、突然、自分の立ち位置や局面が変わったとき、自分はどんな判断どんな見方ができるのか? 僕自身もそうですが、本当に相手の立場に立って、その人の痛みを感じることは、なかなか出来ないことかもしれませんし、それこそ自分が生きることで精一杯というのも事実だと思います。でも、そんな中で、何か心に引っかかる部分を感じたのなら、それを忘れないでいてほしいですし、この作品を通してそんなことを想っていただければ幸いです。

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