インタビュー

vol8.いしだ壱成さん(白鳥久人)

このドラマへの出演が決まったときのお気持ちというと?

僕は野島さんに育てられたような部分もありますので、言葉では表現しづらいところなのですが、何か大きな愛を感じました。また、原作は中学生の頃に何度も読んだほど好きな本だったので、そんな作品を野島さんが手がけるということを、とても楽しみにしていました。
それと、主演を務められる山下さんですが、本当に大好きな俳優さんだったので、台本をもらうたびに、山下さんはこれをどう演じるのだろう? と毎回楽しみで仕方がありませんでした。
野島さんと同じく、監督の吉田健さんも僕の育ての親、そして恩師だと思っています。最後にお仕事させていただいてから10年以上は経っていますが、“健さん節”とでもいいますか、撮影現場では吉田さん独特の演出方法はもちろん、新たな部分もたくさん勉強させていただきました。

今回演じられる白鳥久人を演じる上で気をつけているポイントというと?

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まず、撮影初日に吉田監督から言われたのが「スレスレを行ってくれ」ということでした。とても抽象的な言い方ですが、具体的にいうと、野島さんのビジョンの中に「久人自身も世の中の歯車にどこか上手く噛み合わない人物」ということがあったようなんです。そこで、吉田監督から「聖者の行進の永遠君をやってくれとは言わないけど、ほんの数ミリ、そんな部分を匂わすように…」という話があり、「健さん、いきなりハードルを上げてきたな」と思いながらやらせていただきました。
僕はどちらかというと、いつも不安を感じながら演技をしている方なのですが、この久人を演じていて周りの方から「咲人のお父さんの役が、いしださんで本当に良かった」という声をいただいているので、それがなによりだと感じています。

主演を務める山下さんの印象というと?

山下さんはとてもストイックな方だと思います。本当に大好きなのですが、今回は山下さん演じる咲人の父親役ということもあり、勝手に親心に近い愛情みたいなものも感じています。
山下さんの世代的に「未成年」や「聖者の行進」といった野島さんの作品を見て育ったと伺っていましたが、難しい役柄ということもあって、普段は役に入り込まれてらっしゃるので不用意に話しかけないようにしていました。ただし、心と心で繋がっているという気持ちは常に感じていて毎日応援していましたし、それこそ山下さんのことを想うと、自然と涙が流れてくるほどです。ある日、咲人と二人だけのシーンを撮影したときのことですが、台本には「涙を流す」とは書いてはいないのに、涙が溢れてきて鼻もズルズルになってしまい思わずNGを出してしまいました(笑)。
僕が偉そうに言えることではありませんが、彼は台本をものすごく読み込んで、そこにいろいろなメソッドを交えながら努力をされてきたのだと思います。そこに今回、感覚的なものが次々に足されているような感じがしていて、山下さんにとってこのドラマが大きなターニングポイントになったのではと想像しています。彼はドンドン、ドンドン階段を昇って行っている気がしていて、一体これからどこまで行ってしまうのか、この先がとても楽しみで仕方ありません。

最後にこのドラマの見どころというと?

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とてもたくさんあると思いますが、まずは何といっても、山下さんの素晴らしいお芝居ではないでしょうか。全身全霊で役と向き合う山下さんの姿は、本当に素晴らしいの一言に尽きると思います。
脇を固める役者さんも、とても素晴らしい方ばかりですし、ここに集まったスタッフの皆さんも、一切の妥協がなく、一つひとつ丁寧に画作りされていて、そんなチームの熱量は画面を通してでも、ドラマをご覧の皆さんに伝わっているかと思います。
それと、僕個人的なところですが、野島さんのお家芸とでも言いますか、“起承転結”の“結”のさせ方がものすごく大好きなんですね。一つとして無駄なシーン、無駄なセリフがないのですが、そこでこの『アルジャーノンに花束を』という物語はどう着地して、話を結ぶのか? 最終回の台本を読ませていただいて、あっ、そうきたか! と思わず唸りました。ここではお話できませんので、ぜひ最後までご覧いただきたいです。
最後にもう一つ言わせていただくなら、チーフ監督を務めた吉田監督の“健さん節”でしょうか。作品のそこかしこに“健さん節”がさく裂していると思います。あるシーンの撮影をするとき、とても悩んだことがありまして、そのとき自分自身に悔しさを感じながらも困ってしまい吉田監督に相談したんです。そうしたら、一瞬ニヤッとして「好きにやれ」の一言だけでした(笑)。その言葉の裏側には、「自分で考えろ」ということもありますが、あえて僕を不安にさせたままカメラを回すということだったんですね。
吉田監督の場合、目でものを言うというか、ほんの一言の中にも3つも4つも別の意味が込められていて、そんな“健さん節”はこの作品を観る度にいろんな発見があると思います。僕の周りでも、このドラマを何回もリピートして観ているという方が多いのですが、それこそ、噛めば噛むほど味の出るスルメイカという感じでしょうか。
また、観る方の状態やコンディションにもよるところだと思いますが、山下さんのお芝居も、いろいろと違って見えるんですよね。ご本人が計算されているのかわかりませんが、同じシーンでも見るときによって表情が違って見えるところがあり、それはすごいことだと思います。
見れば見るほど、より深い楽しみが感じられる作品だと思うので、より多くの方に見ていただければ嬉しいです。

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