伝説の音楽番組「ザ・ベストテン」制作秘話~作家・寺坂が聞いたミラーゲートの裏側~

TBSチャンネル2で再放送中「ザ・ベストテン」を100倍楽しむ為の連載がスタート!

[第6回] 当時のお茶の間を虜にしたジュリーが、セーラー服で圧巻のパフォーマンス披露!

2021年9月3日

「ジュリー!」と興奮してテレビの前で叫びたくなる回である…。

「ザ・ベストテン」神回の再放送。今回、9月18日(土) CS放送TBSチャンネル2で放送されるのは、1978年6月29日に放送された回だ。

何といっても1位の沢田研二は圧巻!セーラー服を着て「ダーリング」を熱唱する、あの伝説のシーンである。
歌の前には大量のリクエストはがきが紹介される。演出やトークのネタとするだけでなく、送った人の名前を「ジュリー」こと沢田研二が、自ら読み上げ紹介していく。そこに視聴者を大事にするザ・ベストテンの誠実さが伝わる。
ステージではスピードスケートを取り入れたようなダンス。当時のお茶の間の歓声が聞こえてきそうな程のパフォーマンスだ。まさにプロ!プロ中のプロのエンターテインメントを体感させられる。

第1位「ダーリング」沢田研二さん 写真 第1位「ダーリング」沢田研二さん

プロといえば9位「リップスティック」を歌う桜田淳子。当人がハワイへ旅立つ直前という事で、ベストテンのお家芸ともいえる中継先での歌唱となるのだが…まさかの中継場所が、成田空港のサテライトの屋上なのだ!おっかけウーマンで、当時新人の吉川美代子アナウンサーが「この下は日本じゃないんです」と説明する。空港のターミナルビルなら、まだしも、サテライトの上とは…
旅客機がいくつか駐機している中での新曲披露。「ジーーーーッ」と、エンジン音がかなりうるさい。にもかかわらず、イヤモニ無しで歌うのである。曲の音源なんて聞こえないと思う。今ならば考えられない。アイドルとしてのプロ魂を感じる中継である。

第9位「リップスティック」桜田淳子さん 写真 第9位「リップスティック」桜田淳子さん

番組中盤のスポットライトでは、当時最先端のクラブ「ツバキハウス」からアン・ルイスが歌唱する。この新宿にあったツバキハウスは、大ブームのディスコであった。
あえて、アン・ルイスの至近距離にカメラを置かず、遠い場所から撮影した映像で、ディスコの中に溶け込んだように見せる演出が印象的である。
踊り狂う70年代の若者の中で、アン・ルイスが歌う「女はそれを我慢できない」。歌のカッコよさだけではなく、当時のカルチャーを紹介したいというベストテンの粋が伝わってくる。
歌終わりで司会の黒柳徹子が「わたし、ここ行った事あるんです!」という告白をする。徹子さんは当時ディスコに行っていたのか…という驚きも含めて見逃せないシーンである。

「女はそれを我慢できない」アン・ルイスさん 写真 「女はそれを我慢できない」アン・ルイスさん

当時の生放送らしさも豊富で、冒頭では、その日報道されたニュースを伝える時間がある。
今回は、手塚プロダクションに泥棒が入った話題である。なんと1546枚のセル原画が盗まれたとか。
その他、サーカス「Mr.サマータイム」、渡辺真知子「かもめが翔んだ日」、西城秀樹「炎」の生パフォーマンスも必見である。

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