インタビュー

スペシャル座談会(3/4)

新垣
有川さんの作品に出てくる主人公というか、メインの男性は、恋愛に対して奥手なキャラクターが多いと聞いたんですが、それは本当ですか?
有川
そうですね (笑)
とくに今回、空井くんはかなりもどかしい感じです (笑)
綾野
鈍すぎですよね…
有川
鈍いですよね〜空井くんはね〜 (笑)
でも、恋愛に一生懸命で不器用な人は素敵だなと思っているので、私の作品の中には、スマートに恋愛できる人は、あまり書いていない感じがしますね。
私はいつもキャラクターの気持ちになって書くのですが、「ここで甘い口説き文句が出てきたらそりゃあ素敵だけど、この人僕のこと好きかな?という状態でこれは言えないよね〜」 となると、やはり “人間として” という言葉が先に出てきて、人として語りかけた言葉が結果的に恋愛にいずれ響いていく… ような、そういう男の人が多い気がします。
野木
有川作品は、「もどかしさを楽しむ!」 という (笑)、今度映画でやる 「図書館戦争」 もそうなんですが、「いや、おまえらお互い好きだろ!」 と周りがわかってるのに、進まない感じ。「うわ〜なんでそこで!」 というところを楽しむ作品なので、今回もやろうと思えば、超ラブストーリーな展開にすることもできるし、すったもんだすることも、わかりやすい三角関係にすることもできるんです!できるんだけど… それをやっちゃうと、この作品ではないなというところがあり、本当はやりたいところをおさえて (笑)、牛歩のように、日曜9時の番組ということもあり、少し爽やかな方が…
新垣
そうですね。
綾野
そんな意識しなくてもいいですよ (笑)。もっと書いてください。
野木
え!もうちょっと進んでほしいですか?? (笑)
新垣
とにかく、1話は爽やかでした。本当に。1話の最後のあたり、こういうシーンあるじゃないですか (空井の頭をナデナデ… とジェスチャー) リカが空井さんに寄り添うシーンがあるんですが、そこがどうなるのか… と正直思ったんです。1話目ということもあるし、出会いが最悪だったのが、そうやって寄り添うようになるのはどう見えるんだろう… と。けれど、非常に爽やかにみえました。土井さんマジックでもありますけど…。綾野さんは… もう子犬のようでした (笑)
全員
(爆笑)
有川
子犬か〜 綾野さんが子犬か〜 (笑)
でも、空井のイメージはそんな風に書いているので、ありがとうございます!
綾野
なんかやりづらいな (笑)
全員
(笑)
野木
原作では、尻尾をはちきれんばかりに振るような空井くんなんですよね?
有川
そうなんです!
新垣
どんどんそういう空井さんを見ていきたいですよね〜 現場で!
有川
脚本が進んでいくたびに、2人の関係に 「アレ?」 と感じるようなシーンがちょっとだけ入ってくるんです。「どこまで進むのかな〜」 って牛歩の歩みを楽しみにしています!
綾野
いや、あのシーン助かりました。
“例のコト” をされて… (1話前だったので、ナデナデを明かせなかった綾野さん)
全員
!! (爆笑)
新垣
“例のコト” ってあやしい (笑)
綾野
僕自身、10年以上されたことのない行為だったので、僕だったら 「なに?どしたの?」 ってなっちゃいますし、さっきまで正義とか言っていましたが、そういうのじゃなくて、思いやりっていいなって、そこなんだろうなって思えました。理屈で説明できないんですけど、実際に演じて嫌じゃなかったです。
有川
あら!イヤじゃなかったそうですよっ!
“例のコト” をされて (笑)
新垣
コレなんですよ… (こっそりジェスチャー)
お楽しみにっ!
綾野
この辺でもいいんじゃない? (綾野さんもジェスチャー)
新垣
いや、私はしゃがんでいるのでこの辺なんです。
全員
(笑)

有川
上官として鷺坂室長はいかがですか?
綾野
柴田さんだからということもあると思うんですが、とてもチャーミングな方です。かつ、理想の上司を鷺坂さんというキャラクターを通して柴田さんご自身が見せてくださっている感じがします。チャーミングさやいろいろなものを含めて、ある瞬間近寄りやすく感じるんですが、急に 「どーん」 と背中を押されるので、「あ、やんなきゃ…」 と気づかされるんですね。感情を作為じゃなく、きちんと使いわけてくださっています。
普段一緒にいるときも自衛官の制服を着ているので、鷺坂さんに接するような感じでいられます。なにか一言ヒントをくれたり… けど、そのあと何もなかったかのように笑ったりだとか、そういうことを普段からしてくださっているので、僕はすごく助かっています。
有川
撮影現場で細やかな方だなあ〜 と思ったお話があって、広報官の松田さんが教えてくださったんですけど、空井の旧友の自衛官・峰永を演じている阿部丈二さんが被っている帽子が傾きがちだったんです。そしたら柴田さんは松田さんのところにそっと来られて 「彼は帽子が傾きやすいみたいだから気をつけてあげて。」 とおっしゃったそうで… 本当に物語を守ることにすごく細やかな方なんだなあと、そのお話を聞いてすごい感動をしました。ちなみにリカさんは撮影でだいぶ鷺坂さんにイジられているようですが…
新垣
新垣結衣としては、鷺坂さんのような人になりたいって思いますし、鷺坂さんみたいな上司が世の中の会社で一人絶対いればいいのになぁ… と思いました (笑)。鷺坂さんは本当にすごく絶妙なんです。セリフが絶妙なのかもしれませんし… 柴田さんが肉づけされた部分かもしれませし、使っている言葉なのか、単純に 「あ。そっか!」 と思える言葉がいっぱいあります。誰かに何かを教えてもらったり、意見が合わなかったりしても、鷺坂さんに 「こういうことなんだ!」 と言われたらスっと入ってくる… 自分がそうとは違うと思っていても 「ああ、そういうこともあるな」 と思うことができるというか…
野木
原作の鷺坂室長の言葉はとても説得力がありますよね。
有川
ありがとうございます…
野木
どこからこういうのを持ってくるのだろうという…
有川
それはですね、私の手柄ではなく、実際にモデルとなった、私に売り込みをかけてきたリアル鷺坂さんのおかげです。彼の言葉を聞いて、全部覚えて帰ったみたいな状態なので (笑)、本人は自分の役に柴田恭兵さんがキャスティングされて、周りから 「ちょっと。おまえ良すぎるんじゃない?」 とすごく言われているみたいですよ (笑)
全員
(笑)
野木
第1話を拝見したら鷺坂室長は、柴田さんが演じられていることによって、さらに説得力がありますよね。
有川
そうですよね!先日演じられている姿を初めて拝見したんですが、あれだけ軽やかに、軽快に演じられているのに、このどっしりとした土台はなんだろうと。空井たちはさぞかし頼もしいだろうなと…
綾野
素敵ですよ。これは空井を通してですが、鷺坂さんは 「これはこうなんだ!」 という説得力ではなくて、こっちに 「なるほど精神」 を持たせるような言葉ばかり。こっちにはこっちの考えはあるんですが、そこに一理入れてくれるんです。そういった説得力はあると思います。相手のことを考えて思いやって、こういう言い方が正しいのではないかと思いながらグっと押してくれる感じが素敵だな…と。本当に柴田さんご自身がそうなんでしょうね。役と共存している感じがしますよね。

野木
遠くから、質問が投げかけられています (笑) (カンペ)
新垣
なんですか? (笑)
野木
みなさんが人生の壁にぶちあたったとき、どうやって乗り越えるか。
今までどうしてこられたか。
有川
難しい質問ですね〜…
野木
思いついた人から!
有川
じゃ、じゃあ私から… 前座として言ってみましょうか? (笑)
全員
(笑)
有川
実は私は作家になりたかったけれど、一度は諦めたことがある人間なんです。
「もうちょっと頑張ればいけたかもしれないな〜。でも、就職もしなきゃいけないし!」 と、“頑張ればなれたかもしれない” という小賢しいところで諦めようとしたんですが、結局思いがフリきれなかったんです。
なので、私は人生の壁にぶちあたったら、いっそ砕けたいですね。砕けないと次に行けないというか、再スタートもできないので、夢が砕けるとき壁にぶつかるときはいっそ壊れたいと… 常日頃思っています。
新垣
そうやってフリ切れない気持ちに気付いて、もう一度そっちに向かって行くことになったきっかけは何かあったんですか?それともご自身で自然と気付かれたんですか?
有川
やはり、友人や家族の存在でしたね。私が書くものが好きと言ってくれて、「いつか君はプロになるよ。」 とまで言ってくれた家族がいて。もう一度書ける時間ができるようになったというのもあり、「じゃあ全力で書いて、これでダメだったら今度こそ才能がなかったと思い知ってあきらめよう!そのかわり、この1本は全力で書こう!」 と思いました。だから、もしデビューできなかったとしても、それでそのときの自分は諦めることができただろうなと思います。
一度就職して、自分が不甲斐なかったこと、了見がなってなかったことを知った上で書けましたし…。
やはり、一番みっともないのは、できない自分をごまかすこと。かつての自分がそうだったので、今はすごくわかります。間違うことは今でももちろんありますが、そこをごまかすのではなくて 「私は間違ったな。」 と、思える人間になりたいですね。
野木
すごく良いお話でした。そういえば、有川さんがいつも色紙に書かれるあの言葉がかっこいいですよね。
有川
いつも 「倒れるときは前のめり」 って言葉を書いています (笑)
新垣・綾野
(笑)
有川
昔、小賢しく諦めようとした自戒からなんですけど (笑)
新垣
有川さんの今の言葉、私が今度 「うわ〜っ!」 ってなったとき動く切っ掛けになると思います。
有川
光栄です!
新垣
… すみません。目を見ずに… 言ってしまって。恥ずかしくて目が見れなかった (笑)
有川
みてくださいよ (笑)
綾野
越えるとか砕けるとかありましたけど、僕はそれができなかったんです。壁を楽しんで認めることしかできなかった。壁を自分の中で取って置くんです。そうすると壁がいっぱいできて、壁のおかげでどんどん違う方向に行くことができて 「そうか、こっち行けないならあっち行ってみよう!」 と、違う知恵を持って、違う方角へ行くことが面白くて、いつかその壁を壊さなくても乗り越えなくても、いつの間にか自分のうしろに壁がある状態になってたりすることが多いです。なので僕は壁を認めていることが多いかもしれない。さっき有川さんが 「倒れるときは前のめり」 という話をしていましたが、いいなぁと思いました。僕もどう転ぶかよりもどう立ち上がるかを意識しているので、響きました。
有川
壁をものすごく前向きに捉えていらっしゃるんですね。
壁があることで別の道が見える… というその感覚、考え方がすごく素敵。
私、いま目からうろこが2〜3枚ぽろぽろ落ちています (笑)
綾野
いやいや。
新垣
壁があったと思ったら、あったってわかっているからあまり転ばないってことですよね?転ばずに違う道に行くんですか?
綾野
いや、転んだときに目の前にある。転んでから壁に気付くの。だからどう立ち上がるかっていう方向転換になる。
新垣
ああ!
有川
壁をしっかり見据えている感じですね。
新垣
うん。冷静な感じがします。
面白い!人それぞれですね…。
野木
新垣さんはいかがですか??
新垣
私はいろんなところで言い続けているんですが、本当に出会い運がよくて、支えてくれる人や引っ張ってくれる人、押し上げてくれる人が周りにたくさんいるんです。皆さんに助けられて生きています!どうしようもなくネガティブになって、周りが見えなくなるときも、こういう考えがあるじゃないとか、自分にはなかった考えを提示してくれたり、話を聞き入れて、スッて包んでくれる大事な友達がたくさんいて、すごく楽になります。それだけで、「私ここにいて大丈夫!」 って思えます。
有川
そうですよね。1人でなんとかするんじゃなくて、人とのご縁でクリアしていくのは新垣さんの御人徳あってのことだと思うのですごく素敵なことですよ。
新垣
最終的には自分で決めることなんですけど、話を聞いてもらったり、背中押してもらったりしてもらわなかったら、自分だけではこういう決断をすることがでできなかっただろうなぁと、背中を押してもらうたび思いながら… 生きています。
有川
私も周りの人にたくさん助けてもらっているので、すごくお気持ちがわかります。
野木
すごいわかります。ドラマも1人では作れないじゃないですか。脚本も本当に皆さんの力を借りて総合的に作るので、「人の力をかりてもいいだろう!」 と思います (笑)
いや、頼ってはダメなんですよ。頼るのと借りるのは全然違いますし、借りた力を今度は返すというか…
新垣
みせればいい…
野木
脚本も、プロデューサーの磯山さんや土井さんと本打ち (台本の打ち合わせ) をして、お力を借りまくって (笑)、最終的にできたもので、皆さんの尽力に応えられれば…。素晴らしい原作もお借りしているわけですし…。
有川
土台は何をしても壊れないものにしたつもりなので…。あとはもうみなさんに暴れていただいて…
新垣
そのセリフ本当にかっこいいんです!顔合わせのとき、1人1人スタッフ・キャストがあいさつしたとき、力強いお声でそうおっしゃったので、自然と 「おおお!」 と声がでました!
綾野
うん。
新垣
そういうふうに言える人に私もなりたいなあ〜
野木
潔くてかっこいいですよね。
有川
いやいや全然…。自分はもう門外漢なので、みなさんにお預けするしかないんです。
お預けしながら、すごく楽しみにさせてもらっているので。私がこのドラマで一番得をさせてもらっていますよ (笑)
新垣
終わるころにもそう言っていただけるように頑張ります…
有川
もちろんです!

日曜劇場『空飛ぶ広報室』公式Twitter

@soratobu_tbs(Twittter社のサイトへ移動します。)