インタビュー

原作・有川浩先生

この題材を扱った理由。

とあるパーティでお会いしたのが空幕 (航空幕僚監部) 広報室の鷺坂さん (鷺坂さんのモデルになった方。ここではあえて鷺坂さんと呼ばせていただきます)。でなければ、この作品は出来ていなかったと思います。
実は、わたしが最初に取材でお会いしたのは当時、海幕 (海上幕僚監部) 広報室の室長をされていた一佐で、別の小説でもモデルにさせていただいた方なのですが、その方がものすごく優秀で。普通は自分のところに取材が来たら、そこで終わるところを、「 ついでだから、空と陸も行きましょうか。」 と、鷺坂さんを紹介してくれました。その後、パーティで会った鷺坂さんに、私が以前から興味のあった F-15 の体験搭乗をさせてくださいとお願いして。当初鷺坂さんは、「 体験搭乗というのは自衛隊にとって、乗っていただいたことで国民のみなさまにご理解いただけるような方じゃないと難しいので、すぐにはお答えできません。」 と丁寧に説明してくれました。その後、私も自分の著作を鷺坂さんにお送りして。しばらくしたら 「 イーグル (F-15) の体験搭乗にまだ興味がおありですか?もしよろしかったら、空幕を取材して、小説を一本お書きになりませんか。書く上で必要であれば、体験搭乗のセッティングも可能になるかもしれません。」 とお話がきました。今思えば、そのときから鷺坂イズムがバンバンでていましたね(笑)。 実は、お送りした書籍は自衛隊3部作 『塩の街』 (2003年)、『空の中』 (2004年)、『海の底』 (2005年) や自衛隊ラブコメシリーズ 『クジラの彼』 (2007年)、『ラブコメ今昔』 (2008年) なのですが、中でも自衛隊ラブコメシリーズが響いたようです (笑)。海幕の広報室長も 「 ラブコメ!いいですね〜。隊員たちの普通の姿を書いてやっていただきたい。」 と言っていただいたので、おそらく鷺坂さんも作戦や展開、組織、軍事ではなくて、自衛官の生の姿 “気持ち” の部分を書いたところを気に入ってくださったのではないかなと思っています。
小説の話をいただいてからは、航空自衛隊のいろいろなお話を聞かせてもらいました。けれど、私にとって一番おもしろかったのは、やはり鷺坂さんがいる広報室でした。なので 「 いろいろご説明いただき申し訳ないですが、あなたがたをネタに書きたいです。」 と伝えたら、私が小説で書いた鷺坂とまったく同じセリフの 「 我々は裏方なので、出来れば現場を書いていただきたいのです。」 と返されました (笑)。もちろん広報室を書いていく上でその他の現場も書いていくことになるとは思いますが、その時点で私は 「 とにかく広報室を書きたい!」 と思っていたので、鷺坂さんを口説き落としてからは、ずっと広報室に張り付いていろいろなものを見て、書かせていただいたそういった経緯ですね。

モデルになった広報室のみなさん。

「 空飛ぶ広報室 」 のドラマ撮影現場は、リアルとフィクションがぐっちゃぐっちゃに入り混じっていてとてもおもしろいです (笑)。ムロツヨシさんが比嘉役でお芝居をされている一方で比嘉のモデルになった実際の広報官が撮影現場でパタパタ走り回っていたりしていて。比嘉のモデルになった空幕広報官の方をここではあえて“比嘉さん”と呼ばせていただきますが、比嘉さんは実はもう広報室にはいない方なのですが、私の作品で大きな映像化が立て続けに動くこの状況で、「 比嘉がいないとどうにもならん!」 と、広報室長たちが臨時でいいからと、期間限定で、別の基地から空幕広報室に引っ張り寄せてきてくださいました。
私としては空自 (航空自衛隊) の彼らのことを勝手に友人だと思っているのですが (笑)、空自に撮影隊をお預けするというのは、友人がいるところに撮影隊をお預けすることと同じなので、比嘉さんがいて、鷺坂さんが信頼している今の室長がいて、広報室のメンバーがいる撮影現場では、なんの心配もなく撮影が出来ています。

脚本を担当する野木亜紀子さんについて…

野木さんが脚本を担当してくださるのであれば、何にも心配いらないなと思いました。
脚本を読ませていただいたとき、すべてのオリジナルエピソードとオリジナルキャラクターが原作で書かれていてもまったくおかしくない馴染み方でした。
原作をものすごく正しく読み解いて、その上できちんと取捨選択をやってくださっています。実は、先ほど野木さんの第一志望が、脚本家ではなかったと聞いてびっくりしました。こんな能力のある人が最初から脚本家志望じゃなかったなんて!と (笑)。

キャスティングについて…

まず、稲葉リカを演じる新垣結衣さんは、本当に可愛らしくて知性のある女優さん。それはもう望んでも得られないようなところがきた!と思い、すごく嬉しかったです。
空井大祐を演じる綾野剛さんは、「空井や自衛官のマインドを共有できるような人をお話した上で選びました。」 とプロデューサーからお話はあったので、絶対大丈夫だと思っていました。
撮影が進むにつれて、どんどん2人がリカと空井になっていき、今ではリカと空井がこの2人でなかったらありえない!と思っています。空井に関しては、現場の自衛官からも大評判で 「 彼は本気で自衛官になろうとしていますよ。本当にわずかな時間でも僕らに話を聞こうとしています。」 と教えてもらいました。特にお辞儀が大変自衛官らしいと大評判です (笑)。自衛官というのは背筋と首筋をまっすぐ伸ばしてお辞儀をするのですが、綾野さんは空井を演じている間は常に正確なお辞儀をされるので素晴らしいなと思いました。また、会見のときのフォトセッションで無帽のとき、敬礼をするようにお願いされたことがあったみたいなのですが、自衛官というのは無帽で敬礼はしません。綾野さんはそれを知っていらっしゃるから 「 これはおかしいと思う!」 と言っていました (笑)。綾野さんは、役者さんとして役に誠実に当たることが出来る方だと思います。全力で自衛官になろうとしてくださっています。空自の友人のために空井を演じるのが綾野さんでよかったと、本当に感謝しています。
とにかく、「 ここまで豪華でいいのか !? 」 と唖然としたキャスティングでした。要潤さんが片山でいいの !? と (笑)。片山はかなり “出来ない男” として書いたので、本当にいいの?!と思いました。高橋努さん演じる槙という役は、水野美紀さん演じる柚木とのラブストーリーを担う役なので、女の子受けのするルックスの人を連れてくることも出来るところを、敢えて渋い方をキャスティングするところが 「 うまいっ!」 というか (笑)、大変私好みのキャスティングでした。
鷺坂を演じてくださっている柴田恭兵さんは、私、中学生時代 “あぶない刑事” を見ていて、ユージ派だったので (笑)、単純に嬉しくて仕方がなかったです!
ちなみに柚木演じる水野美紀さんも “ガメラ〜レギオン襲来〜” のときからステキと思っていたので嬉しかったです!

ドラマ化するにあたり…

第1話でイーグル (F-15) が旋回して飛んでいるところの映像は、実際に自衛官の方が訓練中に撮ってきた映像を使わせていただきました。
百里基地の飛行隊長が 「うちが撮ってくるよ!」 と、言ってくださいました。実際に一般のカメラマンを乗せて撮影ということになったら、チャンバー訓練 (低圧訓練) を受けたり、外部から持ってきた機材のやりとりが複雑になるのですが、普段訓練している隊員がカメラを搭載するには問題がないのでそう言ってくださって、まさに原作でいうところの 「 ヘリは飛ばせないが、飛んでいるところにカメラをいれることは可能だ。」 を地でやっていただきました。
ドラマを見てから原作を読んだ方は 「あれ?なんで藤枝でてこないの?」 と、それくらい野木さんの脚本が原作にとても馴染んでいます。今後も、映像化されていくのが楽しみです。
この 「 日曜劇場 空飛ぶ広報室 」 は、もうひとつの 「 空飛ぶ広報室 」 パラレルワールドになっているのではないかなと思います。


日曜劇場『空飛ぶ広報室』公式Twitter

@soratobu_tbs(Twittter社のサイトへ移動します。)