鎌田敏夫さんといえば 『金曜日の妻たちへ』 や 『男女7人夏物語』 などを書いてこられた方で、イメージが貧困だと思われちゃうかもしれませんが (笑)、僕はオシャレな父と娘の話ができ上がってくると思っていたんです。そうしたらまったく真逆で、30すぎの男と70近い男がぶつかり合い生き方を問う骨太な作品を書いてくださいました。そういった意味では新鮮でしたね。「え?この手できたのか」 と。一流というのはそういうことなんでしょうね。
「父親役は渡瀬恒彦さんで書きたい」 と鎌田さんがおっしゃったので、では息子役は中村勘九郎くんで、と僕が提案しました。僕はお父様の勘三郎さんともお付き合いがあったので、「親ってなんだ、家族ってなんだ」 という台詞では、現実とドラマがシンクロしてジーンと思うところがありましたね。
本当に素敵な脚本ですが、これが素敵な俳優さんが読むと2倍3倍にも脚本が生きてくるんですよね。演じる方は、脚本がいいとつまんなかった場合には役者の責任になってしまいますから、結構ハードルが高い。でも今回、他の作品に関しても皆さん脚本を読んで快諾してくださっています。やっぱりいいドラマに出たいというのが役者の本能ですよね。それが豪華なキャスティングに繋がっているんじゃないかな。
また、景色のきれいないい季節での秩父ロケで撮影しましたので、その背景も楽しんでいただければと思います。