脚本・三谷幸喜さん (以下、三谷) 僕、TBS のドラマは初めてなんですよ。だからすごく気合が入りましたし、そうそうたる作家陣のトリを務めることになったのでこれは力を入れなきゃいけないなと、久々に本気を出しました (笑)。まあ、トリになったのは、スケジュールの関係で、たまたまなんですけどね。
三谷 「1時間のドラマって何なんだろう?」 と考えて、やっぱり1時間のものでしかできないこともあるはずだから、それが何なのか探る旅は長かったですね。決して連続ドラマの第1話でもないし、2時間ドラマとも違う。もちろん舞台でも映画でもないし、1時間… 厳密には45分間で起承転結を作って見せるドラマ。単純に短いだけではいけなくて、その中でできる一番効果的な物語はどんなものなんだろう、と考えた結果、生まれた作品です。それはどういうことかは、見て頂いたら分かるはず。
それから僕は喜劇作家なので、今回も基本的にはコメディですが、なんといっても TBS の日曜劇場ですからね、「ただただ笑えて楽しかったねえ」 ではなく、笑えてちょっと切なくて胸に迫る、みたいなお話に、あえてしてみました。
小林隆さん (以下、小林) 三谷さんの作品は今までもテレビに限らず、舞台、映画、たくさん出演させていただいていますが、テレビドラマでこれだけたくさん出させてもらい、しかも 「おやじの背中」 のおやじ役ということで、かつて経験したことのないほどの非常なるプレッシャーと非常なる緊張感を感じております。しかし、本当に笑えて泣けるいい作品を書いてくださったので、プレッシャーを力に代えて、命を懸けて取り組みたいと思っています。