東出昌大さん (以下、東出) 山田太一先生の本ということで、台本を受け取る前から楽しみでした。読んで最初の印象は説明台詞があまりなくて日常会話のように読めたので、会話劇になりそうだなって。こんなに1つのシーンが長いのは今まで経験したことがありませんが、やってみて面白いですし達成感もあります。また言葉の裏や行間にメッセージがあるので、やっていて難しい一方楽しいし、そこがこのドラマの魅力でもあると思います。
渡辺謙さん (以下、渡辺) 山田先生の本は何本かやらせていただいてますが、東芝日曜劇場の原点みたいな、一時間の単発ものを山田先生が書くということで本当に楽しみにしていました。山田先生の作品は割りと社会派なものが続いて、スパイスの効いたドラマが多かったんですが、今回はすごく角が取れていて、だけどそれが最後パカっと割れて面白いものが出てくる玉手箱のようなすごくキュートな本だったので、最初僕は笑ってしまいましたね。本当に良質な短編集のようでした。
一方であまりのシーン数の少なさに驚きました。シリーズ10作品の中で一番シーン数が少ないそうで、ま、何でも一番はいいなと。ただ、その分負担は全部僕ら役者にかかってくるわけですけれど (笑)
全部の本を読んだわけではありませんが、多分一番ホンワカと、そしてニヤッとできる話になるんじゃないかなと思いますし、素晴らしいお話を頂いたので、泣きながら頑張っているところです (笑)