——まずは脚本を読まれた感想からお願いします。
宮藤さんらしい作品だなと思いました。王道のホームドラマという空気をまといつつ、オリジナリティもあって、とても楽しく読ませていただきました。僕はデビューに程近い頃から宮藤さんの作品に関わらせていただいているので、まさに“ホッとする故郷の味”。それをまた味わえることにとても感謝しています。
——遅かりし反抗期を迎えてしまった寿限無ですが、もともとはどのようなキャラクターですか?
とっても物腰が柔らかくて真面目な男です。観山家に恩義を感じているので、少しでも役に立ちたいと頑張っています。寿限無の生い立ちが公になった後、どう感じて、どう思って、どう行動していくのか、とても興味深く、探りながら演じました。それでも何より能が好きという芯の強いキャラクターは変わっていないと思っています。
——能の練習はいかがですか?
実は撮影前、世阿弥が最後に流されたといわれる佐渡島へ一人旅にも行ってきました。そこで世阿弥が過ごしたという寺も訪問し、世阿弥が実際に使ったとされる面(おもて)も拝見させていただきました。世阿弥のルーツを知り、能に対する感覚が広がった気がします。能の稽古は、今まで出したことのないような声を出さなければならないので難しいですね。単純に大きな声を出すということでもなく、響かせて遠くまで声を届けるようにする。この作品で新しい扉を開かせてもらったという感覚があります。
——観山家の居間では、ほぼ毎回、家族のシーンが描かれています。
そこが宮藤さんマジックなんだと思います。それぞれが個性的で、本当にこういう家族がいそうだなと思っていただけるホームドラマになっています。重さや悲しさもあるのに笑えて可笑しい。それに加え、キャストのみなさんの言い回しや演技次第で、全体の空気も変わってくるという。とてもすごい現場だなと思います。
——長瀬さんとは久しぶりの共演となります。
僕にとって長瀬くんは頼れて気の置けない人。共演回数が多いということもありますが、長瀬くんとは一緒にいることに違和感がないというか、普通でいられて、しかも楽しい気分になる。人としても僕は長瀬くんのことをリスペクトしていますし、大好きな役者です。
——西田さんとも共演歴は長いとうかがっています。
僕の映画デビューのときに西田さんとご一緒させていただいたので、かれこれ18年ぐらいのお付き合いとなります。そのときから西田さんのステキな部分は何も変わっていません。ほかの方たちへの気づかいも素晴らしいですし、とにかく現場のみなさんを楽しませてくれる方なんです。普通、あれほどの大御所の方なら沈黙していてもいいと思うんです(笑)。でも西田さんはエキストラさんや僕たちを盛り上げてくれる。そこは18年前から変わっていません。本当に学ぶべきこと、見習うべきことが多い大先輩です。デビュー当時、無名の僕をご飯に連れていってくださり、いろんな話をしてくださいました。僕にとってはかけがえのない存在ですね。
——最後にドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いいたします。
『俺の家の話』は本当に面白い作品になっていると自負しております。寿限無はこれからどうなっていくのか。そして物語としてもハラハラしたり、温かい気持ちになったり、うれしくなったりする作品になっていると思いますので、ぜひご覧になってください!