——オファーを受けたときの心境から教えてください。
『タイガー&ドラゴン』や『うぬぼれ刑事』でも長瀬くんが主役で宮藤さんが脚本という作品に出演させていただきましたが、オファーがあったとき“これはやらせてもらいたい!”と思いました。そして期待通りの脚本が出来上がってきました。出演が解禁になると、友人たちからLINEやメールで“楽しみにしているから頑張って!”というエールをたくさんいただきましたし。あっ、僕、スタンプもばりばり使っちゃうぐらい“LINEボーイ”なんです(笑)。ハートもいっぱい使ってます(笑)。
——長瀬さんの魅力は?
俳優としてのポテンシャルは限りなく高いものがあると思っています。本人も頑張っていますし、表現者として素晴らしい役者だな、と。以前、共演した2作より今回は一段と大きくなり、気合いも入っているようにと思いました。
——長瀬さんとの共演は『うぬぼれ刑事』以来、約10年ぶり!
『うぬぼれ刑事』から、もうそれぐらいたったのかぁ…。お互いシャイだから撮影の最初のときは積もる話もあったのに、なかなか言葉に出せなくて。でも目と目が合っただけで自然と親子になれましたし、きっと長瀬くんも同じように感じてくれていたんじゃないかな。努力も何もしなくても普通に親子になれる、長瀬くんとはそういう間柄だと僕は思っています。
——これまで寿三郎を演じてきての感想をお願いいたします。
宮藤さんの中で寿三郎をどのようにとらえているか分かりませんが、表現者として何か伝えたいことがあったんじゃないかと思います。そんな寿三郎が最終回を迎えるとき、どんなオヤジになっているのか。どういう生き様を示すのか。伝統芸能に生きてきても、どこかで伝統芸能から解放されたい、自由になりたい、って気持ちは持っていたんじゃないでしょうか。いいオヤジでいたい、可愛らしいオヤジになりたい、でもなかなかできない。そういう葛藤が寿三郎の心の中にはあると思いながら演じてきました。
——寿一と寿三郎のお風呂のシーンもとても印象に残っています。
寿一に体を洗ってもらうんですけど、大事なところをどういうふうに洗ってもらうかは、個人的に僕の見せ場のひとつになっているんじゃないかな、と(笑)。視聴者の方には、こういう楽しい介護の仕方もある、ということをちょっとでも提示できればいいなと思っています。そう思うことによって、暗い心が少しだけでも晴れる介護生活を送れるんじゃないかと撮影中は考えています。
——劇中で寿三郎は、電動の車椅子を使用していました。
おかげでかなり卓越した運転技術を身につけることができました(笑)。もう車庫入れも万全です!撮影以外もスタジオ内の移動は、この電動車椅子を使っています。ホントに楽しいんですよ。撮影が終わった後、この車椅子が欲しいなって思うぐらい(笑)。
——稽古場でも寿三郎はいろいろな表情を見せてくれました。
スタジオをめいっぱい使った稽古場のセットは本当にすばらしいです。あまりのリアルさに稽古場にくると、自然と背筋が伸びます。『タイガー&ドラゴン』のときも寄席のセットを作っていただきましたが、それに勝るとも劣らない素晴らしいセットで。しかも長瀬くんのプロレス姿と能のふたつの姿を楽しめて、本当に贅沢なドラマだと思います。
——また観山家といえば、やっぱり家族での食事シーン。
稽古場に比べて居間はものすごく狭いので(笑)、撮影は家族がぎゅっと詰められたような状態になります。カメラ位置を調整したりとスタッフさんは苦労されており、待ち時間もあります。でも、その待ち時間での雑談がみんな楽しみになってきて。僕はなるべく現場からは離れないようにしています。
——最後にドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いいたします。
これまでどこにもなかった稀有なホームドラマとなっています。ぜひ最後までご覧ください。見なかったらきっと後悔しますから(笑)。