——宮藤官九郎さんの脚本を最初に読んだときの感想からお聞かせください。
面白いなぁと思いました。声を出して笑えるところがいっぱいありましたし。宮藤さんの書かれた本で家族の話というのはワクワクしましたし。そこに自分が参加できることがまたうれしくもありましたね。
——江口さんが演じられる長田舞はどんなキャラクターですか?
最初に監督から言われたのは、遺産の問題でお金が好きそうに見えるんだけど、最終的には家族のことを考えている長女だ、と。私もそのように見せられるよう頑張ります。
——観山家はかなり濃いキャラクターが集まってますね。
私としては、濃いのはお兄ちゃんの寿一だけじゃないかって思っています。確かに、みなさんの会話は面白いんですけど、それぞれ職業も普通ですし。舞も塾講師ですからね。
——舞は観山家の三兄弟でいうと、どのような立ち位置だと思ってらっしゃいますか?
三兄弟の中では真ん中ですから、どこか屈折した思いも持っていると思います。それに女性ということで能を継げないということもありますし。舞が能に対して、どれだけの思いを持っているのか探り探り演じていますが、何かしら抱えているものはあるんじゃないかと思っています。
——25年ぶりに実家へ戻ってきた寿一のことに対し、舞はどのように思っているんでしょうか?
やっぱり、今さらのこのこ帰ってきて!という思いはあるんじゃないかな。最初に父の寿三郎が倒れたときには連絡がつかなかったわけですから。怒りみたいなものは持っていると思います。
——ホームドラマではありますが、介護もひとつのテーマとなっています。
確かにそうなんですよね。でも、演じている側としては、宮藤さんの面白い笑いのある脚本を、私が初見で読んで笑ったように、ドラマを観てくださる方にも笑ってもらえるようにしなきゃ!という思いの方が強いです。芝居のことだけを集中して考えてしまうというのが正直な感想ですね。
——では、実際に観山家でのシーンというのは難しいですか?
すごく難しいです。みなさん楽しい人たちばかりなので、とても面白いんですが、まだまだ家族には至ってないような気もしていて。だからこそ徐々にもっともっと面白くなっていきそうですし、家族の雰囲気も絶対にこれから増していくだろうなって確信もあります。
——中でも一番面白いのは、どなたでしょうか。
やっぱりお父さん、西田さんですね。セリフにないことをアドリブで繋いでいきますので。そうするとセリフのタイミングも変わっていきますし、さらに面白くなっていると感じます。
——舞の夫、O.S.Dを演じられる秋山竜次さんと共演した感想を教えてください。
とても楽しく、魅力的な方ですね。収録の合間、秋山さんが出演されている番組『ニッポン遊泳紀行 ロバート秋山の市民プール万歳』を見ていますって話をしました。秋山さんがプールに行って泳いで、その後、ご飯を食べる番組なんですが、私がとても好きで。そうしたら「それは珍しいですね。今まで10人も言われたことがない」とおっしゃられていました(笑)。
——息子の大州を演じているのは道枝駿佑くんです。
道枝くんとは顔が全然違うので、親子に見えるのかな?って不安はあります。舞的には母親として大州に宗家を継いで欲しいという思いは持っていそうですね。
——道枝さんとは、何か会話はされましたか?
道枝くんに昨年末、「サンタクロースは来た?」って聞いたら「来なかった」と言っていました。「もう18歳やもんなぁ」って言ったら「小学6年生以降、来ていません」って(笑)。そういえば羽村くんには私、よく話しかけてもらってます。
——寿一の息子、秀生役の羽村仁成くんですね。
はい。私は“ハムジン”って呼んでいるんですけど「僕、江口さんのことを何て呼べばいいですか?」と言うので「えぐっちゃんでいいよ」って言ったら、いつも「えぐっちゃん」って呼んでくれます(笑)。
——最後にドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いいたします。
男性にしか継げない能の家に生まれた舞の悔しさが、これから見えるかもしれません。そしてお兄ちゃんに対しての思い、お父さんへの愛情、介護や息子の問題も出てきて、見どころはたくさんあります。そう考えると問題がたくさんある!って今、気づきました(笑)。今後の展開は私も楽しみにしておりますので、ぜひご覧になってください!