危険なビーナス

インタビュー 手島 伯朗 役 妻夫木 聡さん インタビュー 手島 伯朗 役 妻夫木 聡さん

——今回の原作を描かれているのは、数多くの作品が映像化されている東野圭吾さんです。

僕、元々小説は苦手な人間だったんです。それが10代のころ、ちょうど『池袋ウエストゲートパーク』(’00年)が終わったころかな?東野さんの『白夜行』という小説がすごく面白いからって勧められたので、読んでみたんです。そしたらすごく面白くて。小説が苦手だったのが、逆に好きになってしまったというきっかけがありました。以来、東野さんの小説はかなり積極的に読むようになって。なのでこうして東野さん原作の作品に出演するというのは、自分にとって感慨深いことではありますね。

——演じられる手島伯朗という人物はどのようなキャラクターだととらえていますか?

カッコイイ役でもないし、すごくダサいっていうような役でもなくて。自分自身の過去に対して蓋をしてしまっているところがある人間です。そして自分が生きる上で、いろいろなものを犠牲にして生きてきた人だと思うんです。だからこそ自分の幸せよりも、人の幸せをついつい願ってしまうお人好しで優しい部分もあります。なのに、どこか抜けているところもある、そういう人間味あふれる愛くるしいキャラクターなんじゃないかと思っています。

——ただ伯朗は美人に弱いんですよね?

そうですね、美人には弱いです(笑)。伯朗さんは元美に対してもタイプだって言ってますし、楓のこともタイプだって言ってるんですけど、元美も楓も全然、タイプが違うんです。だからストライクゾーンはかなり広いんじゃないかなって。最近は「大丈夫なのか、伯朗は?」って心配になるほどで(笑)。まぁ、僕も男なので気持ちは分からなくもないんですが、伯朗さんほど揺れ動いたりしません。伯朗さんにはもうちょっとしっかりして欲しいですけどね。絶対、将来的には女性の尻に敷かれるタイプでしょう(笑)。

——そんな伯朗を演じるうえで、心掛けていることはありますか?

クランクインする前に監督とはいろいろと話しました。そのときから、あまり作り込まないほうがいいんじゃないかってすごく感じていて。演じていく中で徐々に僕自身が伯朗さんに染みていけばいいのかなぁっていう思いで、今は演じています。つかみどころがない役ではあるんですけど、そのつかみどころがないところが伯朗さんの魅力に繋がっているような気がするので。だから自分自身で伯朗を100%理解しないようにしています。いろんなことに疑問を持って、いろんなことに不安を感じて、僕自身が伯朗となって体現していくことで、人間味が出るんじゃないかなと。人間の強さとか弱さを素直に表現して、見てくださるお客さんには感覚的に直球で伝わればいいかなって考えています。

——では弟・明人の妻だと名乗る矢神楓は、どのような女性だと思いましか?

謎の美女っていう響きがいいですよね(笑)。楓さんはクールなときもあれば、明るいときもあって、コロコロ表情が変わるんです。そして頼りがいがあるときもあれば、すごく甘えてくることもあって。そういういろいろな顔を持っている女性なので、男性はついコロっといっちゃうんでしょうね。実際に伯朗を演じている僕がそう思いますから。しかも吉高さんが魅力的に演じてくださるので、見ていて飽きません。もっと違う表情が出てくるんじゃないか!?っていう楓に対しての期待感も少しありますね。

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——その楓を演じている吉高さんと共演しての感想を教えてください。

今回初めての共演になるんですが、楓を吉高さんが演じるって聞いてからは、もう楓が吉高さんにしか見えなくなっています。彼女だったら脚本以上のものを出してくれるだろうなって。それは当然のこととして分かっていたことではあるんです。でも吉高さんの演じる姿を見たら、より一層、楓の人間性に深みが出てきたというか。脚本上では謎の部分のイメージが強かったんです。それが吉高さんが演じることによって、伯朗と同じく人間味が出てきました。脚本の段階での楓は、放っておけない感じというのはあまりなかったんですが、今は率先して助けたくなる存在になったというか。吉高さんの人懐っこいところと、人たらしな部分が楓にのっかったんでしょうね。天性で持っている吉高さんの魅力が、楓に乗り移ったんだと思います。楓がどこにいるか探してしまう、つい見てしまう、そういうすごくキレイな華を持った楓になっています。

——まさに“危険な”女性ですね。

危険です。とっても危険ですね(笑)。でも吉高さんはムードメーカーになっていただいているので、現場がとっても明るくなって良かったです。

——楓にビンタされる衝撃的なシーンもありました。

テストのとき、なんとなく手加減してくれそうな匂いがしたんです。こちらも、これぐらいかなって予想しますから。でも、衝撃はその倍でした(笑)。脳が揺れたんじゃないかってぐらいの強さで。あそこまで本気でやってくれる方はなかなかいないので、僕としてはうれしかったです。それぐらい本気のビンタをもらいました。本当に危険な女性です(笑)。もし、脚本の黒岩さんが“鼻にグーパンチを入れる”っていうシーンを作っていたら、たぶん、吉高さんは本気でグーパンするんだろうな…ってことが頭をよぎりました。とはいえ、現場が和んでいるのは吉高さんの人柄のおかげ。本当のムードメーカーなんです。

——矢神家の中で勇磨は幼いころから伯朗を見下していました。そんな勇磨を演じるのがディーン・フジオカさんです。

ディーンくんは初日から長ゼリフがあるスケジュールで、かわいそうだなって思いながら見ていました(笑)。ディーンくんも言っていたんですが、原作ではそんなべらぼうにしゃべる役ではなかったので、油断していたんですって。それが脚本を見たらめちゃくちゃしゃべっていたから、「話が違うよ」って言っていました(笑)。ただ伯朗も次第に自ら意見を言うにようになるので、またいっぱいしゃべってるんじゃないかって、先の脚本を読むのが怖いんです(笑)。小日向さんからも「すごいセリフ量だね」って言われて。「いえいえ、コヒさんもですよ」って心の中で思ってたんですけどね(笑)。

——これからは伯朗と矢神家のやりとり、また伯朗と勇磨のやりとりも見どころになっていきそうですね。

そうですね。ディーンくんと僕は同い年で。伯朗と勇磨もほとんど年は変わらないので、だからこそ分かる空気とか雰囲気も役を通して表現できるんじゃないかなって思っています。あと波恵さん役の戸田さんとは本当に久しぶりの共演で。僕、初めてレギュラー出演をした連ドラで戸田さんとご一緒させてもらって。以来、戸田さんには可愛がってもらっているんです。当時、僕はまだ高校生で制服を着てスタジオに行っていて。そんな戸田さんとまたこうやって改めて共演できるのは、すごくうれしいことですね。だから戸田さんとのシーンは常に緊張感がつきまといます。

——矢神家のセットも豪華です!

絨毯が3,000万以上だと聞いたときは、この絨毯の上で食べたり飲んだりするシーンは作らないでくれ!って思いました(笑)。何かこぼして「買い取りで」って言われたら、たまりませんから(笑)。なのでなるべく絨毯には近寄らないようにしています。

——動物病院での撮影はいかがですか?

一度、動物病院へ見学に行かせてもらいまして。いろいろと先生にお話を伺ったところ、動物というより人間の患者さんと向き合うイメージに近いのかなって思いました。だから純粋に、この子を助けたい!って湧き出る思いで動物に接することを心がけています。ただ僕、動物は好きなんですが、飼ったことがなくて。以前、大河ドラマで乗馬の練習をしたとき、どうしても上手に乗ることができないことがあったんです。どうすればいいんだろう?って思って、こちらから馬に向き合うために馬を洗わせてもらったことがありました。馬ってデリケートできれい好きな動物で。そんな馬がお尻を洗ってあげようとしたら、尻尾をあげてくれたんです。それが僕、すごくうれしくて、がっつり洗ってあげました。それからどこか馬に抱いていた恐怖心も消え、馬も僕に心を許してくれたんです。人間って自分の都合でいろんなことに向き合おうとするけど、そうではなく、こちらからちゃんと向き合うことが大切だってことを学びました。だから1話で出てきた猫ちゃんも、我が子を抱くような気持ちで抱けば、ちゃんと心に寄り添ってくれて。そういう気持ちが大事だって改めて思いましたね。

——最後にドラマをご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いします。

東野圭吾さん原作の『危険なビーナス』は次が見たくなるようなドキドキワクワクさせるラブサスペンスの物語です。ぜひご覧になってください!

Back Number

  • 矢神 明人 役 染谷 将太さん
  • 矢神 勇磨 役 ディーン・フジオカさん
  • 矢神 楓 役 吉高 由里子さん
  • 手島 伯朗 役 妻夫木 聡さん

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