『居酒屋もへじ』

水谷豊&石井ふく子 第6弾!

インタビュー

角野卓造さん インタビュー

(写真)

―台本を読んだ感想

下町の居酒屋を舞台に “人と人のつながり” が描かれているのですが、温かいお話だなと思いました。居酒屋のセットに関しては、台本を読んだ時点では、もう少し狭くてボロボロなお店を想像していたんです。けれど、セットへ入ってみると、それなりのスペースもあり、料理も本当に美味しくて、居酒屋にしては高級すぎるお店だなと思いました。そこへ、松坂慶子さん演じる陽子がやってきて物語がはじまるのですが…水谷さんと松坂さんの素晴らしい組み合わせも、この作品の大きなみどころだなと思いました。

―演じられている校長先生はどのような人物ですか?

「居酒屋もへじ」の常連客で、定年退職し、年金生活を送っている元校長先生です。常にビシっとした服装をしており、「ネクタイをしていないと外へ出られない」「アロハシャツは着ない」というようなタイプ。これまでの生活形態を引きずった精神構造が出来上がってしまっているんでしょうね。そんなところに、彼の性格が表れていると思います。

―水谷豊さんとの共演はいかがでしたか?

久々にご一緒させていただいたのですが、とっても楽しかったです。前回は確か…サスペンス作品で、天城山へロケに行った覚えがあります。ちなみに僕は、犯人役でした(笑)。

―作品の舞台となっているのは『居酒屋』ですが…。

居酒屋というのは、大人の人間同士のつながりが生まれる場所ですよね。僕も好きで、お仕事で地方へうかがった際、各地のお店へ足を運ぶのですが、初めは“お客さん”や“よそ者”でも、お話をさせていただいている間に自然と繋がりが生まれましてね。その出会いをきっかけに、今でもお手紙交換させていただいている方もいます。俳優という商売柄、(この作品に登場する人たちのように)特定の地域に居酒屋仲間がいるわけではないのですが、何かのご縁で居合わせた者同士、互いに余計なことを言わずに接するというのも、ひとつの愛情や思いやりかなと。ついつい飲みすぎてしまって、弱いところをさらけ出せてしまうのも、“居酒屋”という場所だからなんでしょうね(笑)。

―物語の中では、「本当の家族ではない人々」が支えあって暮らす姿が描かれていますね。

血が繋がっていても共に生活することは大変なことですから、実際に血の繋がらない者同士ガ生活することは非常に難しいことだと思います。でも、この作品の中で “血の繋がらない家族” が成り立っているのは、それぞれが人に対する思いやりをきちんと持ち、互いのことを考えながら生活しているからなんでしょうね。居酒屋に集う人たちも、彼らのことを理解し、「ああせい」「こうせい」と口を挟むことなく、みんなで温かく見守っていますからね。

―居酒屋シーンは、男ばかりで賑やかですね。

男はバカですからね、酒を飲むとしょうもない(笑)。でも、そこがまた愛すべきところとも言えるんでしょうけれど(苦笑)。

―今回のお話だけでは終わらず、次々とお店にマドンナが来るようなシリーズが制作されたら面白いですね。

(社長役の)六平(直政)くんが、勝手にそんなことを言っていましたけれどね(笑)。男性・女性を問わず、決まったお店に誰かが訪れてくるという、1話完結のヒューマンなお話…。設定としては面白いですし、実現したらいいですね。楽しみにしています。

―最後に、視聴者のみなさまへメッセージをお願いします。

先の震災もそうですが、今の日本には、次から次へと自分達の力ではどうにもコントロールできないようなことが続いていますよね。でも、そんな時だからこそ、人と人が手を取り合って繋がっていくことが大切なんじゃないでしょうか。隣の家にどんな人が住んでいるのかわからないほど、人と人の結びつきが軽薄になってしまっている世の中ですが、この作品をきっかけに、人と人がきちんと繋がっていける、そういう社会に再生していけるようにと願っています。

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