『居酒屋もへじ』

水谷豊&石井ふく子 第6弾!

インタビュー

桂文珍さん インタビュー

(写真)

―台本を読んだ感想

面白かったですね。大事件が起こるわけではないのですが、落ち着いていて、温かくて…。
震災が起こり、みんなが肩を寄せ合って生きていこうとしている今の日本に、ピッタリの作品だなと思いました。
あとね、“もへじ”が、優しくてめちゃくちゃいい奴なんですよ。
もへじの周りに集まっている面々も温かくてね、そういう人たちが実際にいたらいいなぁと思いながら読ませていただきました。そんな中で、私の演じる三郎はいい加減な奴なんですけどね(笑)。

―いい加減ですか?

そうそう、いい加減ですよ(笑)。
若い彼女がいてね。僕の実年齢よりも少し年上の設定なのに、体力的には僕よりも元気なじいさんなんです(笑)。「あのじいちゃん何?」と家族に思われていたとしても、本人は正直に生きている。正直すぎて困りもんなんだけど…そのだらしなさが非常に人間的で面白い人物ですね。
尊敬されることもなく、バカだなぁと言われ、それでも愛されている、僕も“こんなじいさんになりたい!”と思いました(笑)。

―三郎がいると明るくなりますね。

でもね、三郎が家族だったら大迷惑だよ。他人だからいいと思えるんですね(笑)。

―お金が足りないからと、もへじにお小遣いをもらっていましたし…。

そうそう。お金をもらって、どこへ行くんだか…(笑)。 こっそり貯めているかもれないね。

―ヘソクリですか!?

そう、ヘソクリ!!三郎は意外としっかりしているから、たくさん貯めているかもしれないねぇ(笑)。
そうそう、このシーンの撮影が終わった後ね、楽屋のドアを「コンコン」とノックされて、“何だろうな”と思いながら出たら、「お金返してください」とスタッフさんに言われましてね。“お金?何のことだろう?”と一瞬思ったんですけど、“ああ、アレか!”と。僕、撮影で使ったお金を着物にいれたまま楽屋に戻ってしまいまして、「ごめん。ごめん」とその場で返したんですけど、“よく覚えているなあ”と、感心しましたね。スタッフさん、しっかりお仕事をなさっています(笑)。気づかずに持って帰っちゃってもよかっただけどなぁ…(笑)。

―撮影現場はいかがでしたか?

僕は噺家なので、“セリフ”というのが苦手なんですね。 噺家は自分の間合いで一人芝居をしますが、お芝居は相手を待ったり、きっかけを渡したりしなければならない。以前、別のドラマで「犯罪者じゃないんですから芝居してください」と言われたことがあります(笑)。相手がいるということは難しいですね。そこが、大きな違いかなと。
とはいえ、『居酒屋もへじ』の清弘監督は1つのシーンを長くお撮りになる方で、演じているうちに相手の間合いや空気感を感じ取れるようになりまして、楽しかったですね。「カットカットで区切ると、監督の間合いになってしまう」と清弘監督がおっしゃっていました。

―最後に、視聴者のみなさまにみどころをお願いします。

僕としては、もへじと陽子さんのロマンスも気になるけど…全体を通して考えたら、“もへじの優しさ”ですね。もへじは本当にいい男なんですよ。その陰で、ずーーっと遊び呆けているじいさんにも注目してお楽しみください。

ページトップへ