戦評:2016リオデジャネイロオリンピック バレーボール世界最終予選

《女子戦評》

女子WOMAN
【戦評】

5月21日(土):イタリア戦

JPN
2 { 
25-23
25-27
25-27
25-21
9-15
 } 3
ITA
いよいよ残り2戦。直前まで行われていた3試合の結果で、韓国とオランダがリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得し、日本、イタリアともに2セット取ることが出場への条件となった日本とイタリアとの一戦。
日本の活躍を後押ししようと、満員の観客から地鳴りのような歓声が鳴り響き高まる緊張感の中、試合が始まった。

この日のスタメンは、サイドに木村、石井、ミドルブロッカーに荒木、島村、セッター対角に長岡、セッター宮下、リベロ佐藤という布陣で臨んだ日本。序盤からサイドアウトの応酬となる。気合いの入った表情でスパイクを決める木村、サーブでもイタリアを崩し背中でチームを引っ張る。スタメンに復帰した島村もブロード攻撃で得点、さらに、イタリアのキャプテン、#15アントネッラ・デルコーレを荒木がシャットアウトし、8-7でファーストテクニカルタイムアウトを迎える。互いに高い集中力で1点を奪い合う展開のまま中盤を迎え、そこから抜け出したのは日本だった。狙いすましたサーブで相手の攻撃を絞るとブロックで丁寧にワンタッチを奪い、確実にレシーブにつなげる。木村が2本連続で得点すると14-11と3点リード。島村のサーブでイタリア陣営を崩し連続得点を奪うが、イタリアは#7マルティナ・グイッジのサーブで日本を揺さぶり5連続得点で18-18と同点に。レシーブで粘りを見せる日本だが、ミスが続き逆転を許してしまう。

終盤、白熱した展開から再び一歩リードした日本。木村がレフトから力強いスパイクで得点し、セットポイントを迎えるとイタリアのサーブミスでセットを先取する。

第2セットも互いに譲らぬ展開となる。長岡の前後に揺さぶるサーブでイタリアを崩すと、連続得点を奪う。しかしイタリアも、途中出場の#9ナディア・チェントーニのサービスエースや、#15デルコーレのブロックなどで得点、さらに石井のスパイクをブロックしイタリアが11-8と3点リードを奪う。日本は石井に代えて古賀を投入。その古賀のブロックポイントで得点するが、逆にイタリアがブロックポイントを連発し、得点差を広げる。なんとか巻き返しを図りたい日本は、荒木のサーブで得点し粘り強く追い上げるが、なかなかブレイクチャンスを作り出すことができない。1点が遠い…あと1セットを奪えば開くリオへの扉——。強い思いで追いすがる日本、木村の絶妙なフェイントで24-24の同点に。しかし古賀のスパイクミスで得点チャンスを逸すると、すかさず若き大砲#18パオラ・エゴヌの強烈なバックアタックで、このセットをイタリアが取り返す。

勝負の第3セット、石井をコートに戻し、迫田を投入したメンバーで臨む日本。必死につないだボールを木村が技ありのラインショットで得点、荒木のサービスエース、木村のスパイクとイタリアのミスなどもあり8-5とファーストテクニカルタイムアウトを3点リードで迎える。しかしイタリアも#15デルコーレ#18エゴヌが得点し、追い上げる。日本は神がかり的な活躍を見せる木村が得点。石井のサービスエースで突き放すと、木村が攻守に大活躍。16-11と5点リードでセカンドテクニカルタイムアウトを迎える。終盤まで競り合う白熱した展開。20点台に突入しても一歩も譲らぬ展開。23-22と1点リードの場面で木村がシャットアウトされて23-23と同点に。すかさずタイムアウトを取った眞鍋監督。木村のスパイクでセットポイント。イタリアのブロード攻撃が決まり第3セットもジュースに。しかし迫田のバックアタックがブロックされると、サーブで崩され25-27でイタリアがこのセットを連取。

あとがなくなった日本は、鍋谷と長岡を投入。その2人の活躍もあり、リードする展開。木村がサーブで得点すると8-3と5点リード。その後も着実にポイントを重ねる日本。長岡のスパイクポイントで得点するが、中盤で痛いミスが出ると、サーブで攻められ12-13と1ポイント差まで詰め寄られてしまう。しかしなんとか勝機を見出したい日本は佐藤の好守から相手のミスを誘うと、16-12でセカンドテクニカルタイムアウト。木村が次々にレシーブ、粘る日本。長岡が鋭いスパイクで得点、絶対にあきらめない、気迫のプレーを見せる日本。木村のスパイク、鍋谷のサービスエース、長岡のスパイクと連続得点を奪った日本、セットポイントを握る。あと1点…しかしそこからイタリアが3連続得点で20-24と詰め寄られるが、粘りを見せた日本が押し切り、リオ五輪出場権を獲得した。
勝利で飾りたい日本だったが、第5セット、イタリアに先手を許してしまう。レシーブで粘り木村がスパイクで得点、迫田のサーブで崩し5-6と1点差まで追い上げるが、イタリアが#18エゴヌのサービスエースなどで得点したイタリアが勝利した。

眞鍋政義監督
「本来は勝って終わりたかったですけれど、今回のミッションはオリンピックの出場権を取る、ということでした。何とか出場権を取ることができて、非常にホッとしています。選手がよく頑張ってくれました。プレッシャーがかかった場面で18人全員の選手が一致団結して頑張ってくれたと思います。明日は勝って終わりたい、最大集中で頑張ります」

迫田さおり選手
「今日はリオの切符が取れて、よかったとホッとしています。今日の内容は私自身、少し納得のいかない部分が多かったので、明日の試合にまた気持を切り替えて頑張ろうと思います」

荒木絵里香選手
「リオの出場権を取るという今の最大の目標をまずクリアできたことにうれしく思っています。けれども勝ち切りたかったですし、内容としてはチームとしても個人としても足りない部分が多かたっと思います。明日からリオへのスタートが始まると思うので、しっかりと切り替えてやっていきたいです」

木村沙織選手
「本音を言うと、勝って決めたかったのはありますけど、最終日にもつれず、まず今日で決めれたことはほんとうによかったです。明日の試合では、オリンピックでもっともっと強い、日本らしい試合をするためにも絶対に勝って終わりたいなと思います」

宮下遥選手
「試合は勝てなかったけど、まずはホッとしています。怖さに負けそうになった時に仲間やスタッフが背中を押してくれたので、そのおかげで私は乗り越えることができました。正直まだ実感がないので、明日の試合を戦ってから、反省して課題を見つけて取り組んでいきたいと思います」
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