おてんき・かがく

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Q. 「春一番」という言葉をきいたんですけど、何ですか? 小4・おんな
A.

それはお母さんとかにも聞いてみた?

こども:はい。すごい風が吹くことだって言ってました。

うん、お母さんは正解ですよ。
すごい風のことをいうんです。
ただ、普通の風じゃなくって南風、それも、春になって最初に吹く南風のことなんですね。もっと細かく言うと、立春から春分の間で、最初に南寄りの風が吹いて、気温が上がる現象のことなんです。冬は冷たい北風が多いでしょ?逆に、夏は暖かい南風が多いよね。ということは、つまり春は、風が北風から南風に入れ代わっていく季節なんですよ。その時の、いちばん乗りの南風が「春一番」、ということなの。

で、じゃあどうして、この「春一番」という名前が出来たのかというと、今から150年くらい前、九州の長崎県の近くにある島で、すっごく強い南風が吹いて、その時、漁に出ていた多くの漁船が沈没して、たくさんの人々が亡くなってしまったことがあったんです。その人たちは、「春になったから風も穏やかになってくるだろう」と思って漁に出たのに、ものすごい風が吹いたので、このことがあってから、この辺りに住む人たちは、春になって最初に吹くものすごく強い南風を「春一番」って呼んで、この風が吹くまでは注意していようって決めたの。

これが「春一番」の名前の始まりだと言われています。だから、春になって最初に吹く強い南風のことを「春一番」っていうんですね。東京ではこのあいだ3月5日の金曜日に吹きました。

ちなみに僕たちのあいだでは、春一番の次に強い南風が吹いたら「春二番」とか「三番」とか言ったりするんですよ。 数えているうちにわからなくなるんですけどね(笑)。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 大地震の前に地震雲が現れるって聞いたんですけど、どうして現れるんですか? 中3・おとこ
A.

そうですね、地震雲(じしんぐも)っていうのは、本によっては「地震の前に現れる」って言っているものもあるんですけど、実はまだ科学的に証明されていないことなんですよね。だから今の段階では、「雲と地震は関係ない」としか言えないんですよ。

今、「地震はどうして起きるのか?」ということをいろいろと研究してますよね。なまずを観察するとか、動物を観察するとかね。
そういう研究の中で、地震というのは地面が折れたり割れたりすることなんですけど、その割れたりする前に、圧力がかかるらしいってことはわかってるの。
それがどういうことかというと、ガス台とかライターとか、「カチッ」って火がつくものがありますよね。それと同じ仕組みで、石に力をかけると電気が起きるということにつながるんですよ。で、地震が起きる前は地面に力がかかってるから、地下で電気が起きて、それが地上にも電波で出てくるということはわかってきたんです。

だから、もしかしたらそれが空の様子に影響しているかもしれないんだけど、今のところはまだ結びついていないんですよ。
だから、今のところは、「関係はありません」としか言えないんです。
だから逆に、あと何年かしたら結びつくのかもしれませんね。

中島先生:私も「帯雲(おびぐも)」が出てくると、あれが地震雲だって聞いたんですけど、それは偶然なんですか?

それはよく言われるてますよね。
でも、それも今の段階では、たまたまかもしれないし、関係があるのかもしれない、としか言えないんです。これから研究が進めば、いろいろなことがわかってくると思いますけどね。
キミが、大きくなったら研究してみるというのもいいんじゃないかな。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 天気予報図にでてくる「ひまわり」は、どうしてこの名前がついたんですか? 小6・おんな
A. あのね、これは正式に言うと、「静止気象衛星」という気象衛星の雲画像のことなんですね。
この衛星は、地球から3万6千キロのところにあって、そこから写真をとって送ってきているんです。
「ひまわり」というのは、その静止気象衛星のニックネームなの。
でも、「ひまわり」のほかにも日本はいろいろな人工衛星を上げていて、それぞれに「ゆり」や「もも」、「さくら」など、いろいろな花の名前がついてるんですよ。
これはもともと、日本の打ち上げた人工衛星には花の名前をつけよう、ということになってるんですね。
で、今から22年前、1977年に気象衛星を上げた時に、気象衛星だったらどういう名前がいいかなということを考えて、太陽の周りをぐるぐるまわりながら見てるんだから「ひまわり」にしよう、と宇宙開発事業団というところが決めたんです。
それで今や、その5号がまわってるんですけど、それを「ひまわり5号」とか「ひまわり」と呼んでいるというわけなの。
アメリカなどでは台風にも、よく人の名前が付いていたりするんですけど、これはもともと、アメリカ軍が第二次世界大戦中にグアム島へ来たときに、寂しくて台風に自分の子供や恋人の名前を付けてたみたいなんですね。
「あの台風はうちのじゃじゃ馬のジェーンみたいだよ」というふうにね。
そして今度は2000年から、日本を含めたアジアの国々でもそれぞれ台風に名前を付けることになったんですよ。
実は、日本ではもう決まっていて、いろんな「星座」の名前が順番に付くことになってます。
楽しみだよね。
お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 空には雲が浮かんでいる時と浮かんでいない時がありますが、それはどうしてですか? 小5・おんな
A.

今、おうちのほうのお天気はどうですか?

こども:ちょっと曇ってる…

そっか、予報では、あなたのおうちの方は晴れなんだけどなぁ(笑)。
ところで、あなたはいつもお風呂に入るでしょう?
入ってる時って、湯気がお風呂の中をずーっとただよっていたりしますよね。
で、湯気がそのまま消えていく時と、お風呂の中が湯気でいっぱいになる時とがあるでしょう?
お風呂の中が、わりと乾いているときには、湯気も早く消えちゃったりするんだよ。

実は天気って、あれと同じなんです。
雲は、お風呂の湯気がいっぱいになってモウモウとした時だと思えばいいんだよ。
あのね、空気の中には、もともと水が含まれているんだ。
だから例えばあなたが息を吸ったり吐いたりすると、息からも水が出てるわけなの。
で、普通はその水は見えないんだけど、空気が冷た〜く冷やされると、目に見えるようになるのね。
だから、地面の中の空気に含まれている水分が上に上がっていって、それが冷やされると雲になっていくわけ。
だから、空に雲がある時というのは、そうやって空気が冷やされる状態になっている時なのね。
じゃあそれは一体どういう時なのかというと、それは低気圧がやってくる時だとか、寒冷前線っていうのが来る時だというのが、今までの長い間にわかってきたんです。

だから、僕たち予報をする人は低気圧が来るとき、「天気が悪くなります、雲が出ます」って言ったりするんだよ。
ということで、雲が出てる時というのは、もともと空気の中にある水分が、空高いところで冷やされてる時なんだと考えてください。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 山の天気は変わりやすいというけれど、それはどうしてですか? 小5・おんな
A.

この夏はどこかの山に行ったりしたの?

こども:富士山の八合目まで登ったの!

すごいなぁ。
確かに、山ではお天気が急に曇ることが多いですね。
それがどうしてかというと、まず、曇ったり雨が降ったりするときってね、空気が上昇していくの。
それは普通の平らなところでも言えることなんだけどね。
でも、山って斜面になってるでしょう?
だから、風が吹いて山の斜面に当たると、山に沿って空気が上にのぼっていって、そこで雲ができたりするわけ。

それとね、空気が上にのぼるってことは、空気が温かい方が登りやすいの。温かいと軽くなるからね。
で、そのときに空気がどうやって温められるかっていうとね、地面に温められるんだ。
太陽が地面にあたって、その太陽の熱で地面が温まって、今度はその温まった地面が空気を暖めるのね。
ちょっと難しいんだけど、平らな地面だと、その上にある空気は、全部同じように温められるのね。
でも山の空気というのは、山の地面にくっついているところだけ温まるの。
山の斜面からちょっと離れたところの空気は冷たいままなんだね。
だから、山のまわりの空気だけが温められるわけ。
それでその山のまわりの空気だけが軽くなるから上にのぼっていって雲になるの。
だから、山のまわりの空気は動くのが早くて、平地では夕立ちは夕方にならないと起こらないんだけど、山の夕立ちっていうのは、お昼頃にはもう起きることがあるの。
そして遠くから低気圧が来たときも、上の方から雨が降りやすくなるんだよね。
だから平地よりも高い山の方が雨が早く降るの。
したがって、平地よりも天気が変わりやすくなってくるわけ。
だから、山に登る人は、朝はやーくから登って、天気が変わりやすいお昼頃には下りてくる、という日程で登るみたいですよ。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 天気図ではどうして高気圧が青で、低気圧が赤なのですか? 小4・おとこ
A.

キミは天気図をなにで見てますか?

こども:テレビのニュースの天気予報です

そっか。天気図をきちんと見てくれて嬉しいな。
テレビの天気図では、高気圧の所は青に、低気圧の所は赤になっています。
でもこれはね、気象庁で決めていることではないんだよ。
誰が決めているのかというと、その天気図を皆さんに見せている、新聞社とか放送局が決めているの。
だから別に決まりはないんです。
気象庁から出されるのは、白黒の天気図、つまり、紙に線で書いただけなんだよ。
じゃあ、どうして赤と青なんだろうって言うと、高気圧っていうのはね、お天気がよくなるんです。
正確には、高気圧の中心の右側のところだけどね。そこがお天気がよくなるの。
そして低気圧はお天気が悪くなるんです。
天気がいい時は、お日さまのほかに何が見える?
空が見えるよね。空の色は何色かなあ?

こども:青色

そうだね。だから高気圧を青にしているんだと思います。
低気圧はその反対の色として、赤を使っているんだと思いますよ。
それとね、低気圧って雨が降ったり風が吹いたりして、いろいろな災害が起きる場合があるでしょう。
だから「ちょっと気を付けて下さいね」っていう気持ちも含めてると思います。
高気圧と低気圧は、どのテレビ局もみんな同じ色だけど、実は、前線の色になると、ちょっと違ってるところもあるんですよ。
前線も、寒冷(かんれい)前線・温暖(おんだん)前線・停滞(ていたい)前線・閉塞(へいそく)前線って4つあるんだけど、テレビ局によって色が少しずつ違っているから、今度それもよーく見てみて下さい。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 天気予報で降水確率が50%と出ていますが、どのくらいの量の雨が降るんですか?そして、それはどうやって決めるんですか? 小6・おとこ
A.

君の住んでいるところは今、雨は降ってる?

こども:降ってない。

そうか。あのね、降水確率50%の「確率」って言うのは、これは量のことを言うのではなくて、降る確率のことだから、1ミリ以上なら、たとえちょっとでも降るかもしれない、っていうときにその可能性のことを言うんです。
だから、確率が100%だから大量の雨が降る、って言うことじゃないんだよ。わかるかな?

でね、たとえば天気予報で「明日の降水確率は50%です」という予報が出たら、2回に1回は降るということなんですね。
分かりやすく考えると、50%ということは、そこに住んでる人の2人に1人は雨に当たるってこと(笑い)。
ちょっと変だけど、原理としてはそういうことで間違いではないんだよね。

こういうやり方を使うようになったのは17年前なんだけど、かなり分かりにくくて僕にも難しいんですよ。
まあ、世の中だいたい分かればいいわけで、「30%なら傘を持って行こうかな」とか「50%だったら降られる確率が高いな」とか、そんなふうに利用すればいいんですね。

30%って言ったら、3割バッターがヒットを打つ確率と同じだから、けっこう高い確率だよね。
それから、どうやってその確率を決めるかっていうことだけど、過去のいろいろな例を見て、それをコンピュータに入れて統計をとるの。
それが今日と同じ様な天気図になったら、「昔はこれぐらい降ったよ」っていうことから決めているんです。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 秋になると、なんで台風が多くなるんですか? 小4・おんな
A. あのね、台風っていつが一番多いか知ってますか?
実はね、日本の南の方では、秋だけじゃなくて、いつでもどこでも台風が発生しているの。
その中で日本に来るのが秋頃に多い、というだけなんですね。
だから、実は1月とか2月でも台風は発生していて、フィリピンや台湾の方では被害が出たりしてるんですよ。
じゃあ、なぜ日本に来るのは秋頃が多いかと言うと、秋の前、つまり夏の日本の空には「太平洋高気圧」という空気のかたまりがあるからなんです。
高気圧っていうのは、日本のお天気を決めるものなんですね。
だから真夏なんか、日本の真上にものすごく強力な空気のかたまりがあって壁のようになっている時は、台風がやってこようとしても来られなくなっているんです。
それが、だんだん季節が進んで秋になってくると、夏を支配していた太平洋高気圧が弱まっていくのね。
そうすると、その間を抜けて台風がやってくるというわけなの。
もちろん、真夏でも太平洋高気圧が少し弱まると台風が来ることもあるけどね。
だから、ひんぱんに台風がやってくるということは、日本のお天気が、夏から秋に変わっているという証拠になるんだよね。
で、もっと季節が進んで冬になると、日本の空には冷たい空気がやってきて、台風はまた来られなくなってしまうんです。
ちょっと難しいかな?
秋になると、台風が「やってくる」んじゃなくて、その頃日本の上空が、台風が「来やすい」状態になると考えて下さい。
お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. ファックスは手元に紙があるのにどうして送ることができるんですか? 小3・女
A. ファックスがどういう仕組みかっていうと、例えば漢字の練習をするノートを思い浮かべて下さい。
マス目がいっぱい書いてありますよね。
それで、マス目の一番上の列だけ真っ黒にぬって下さい。
それで、2列目と3列目は全然ぬらないで下さい。
そして、4列目はまた真っ黒にぬって下さい。
そしてその下は白いまま。
そうやって出来上がったものを見ると、どのような字になりますか?
カタカナの「ニ」になりますよね。
しかも、キミと僕は同じ事を同時にやってます。
僕がキミに「こういう風にやって下さい」と言って、キミは電話の向こうで同じ事をしました。
そうするとキミと僕の所に同じ絵が出来上がりました。
ファックスも同じ事なんです。
ファックスの場合は、そのマス目をもっともっと細かくたくさんに分けちゃうの。
それでこのマス目は白、このマス目は黒っていう風に相手のファックスに伝えるんです。
そうすると相手のファックスは何だか分からないけど言われた通りに白と黒をぬり分けていくの。
それを全部合わせてみると、送った元のものと同じものが相手側に出てくるわけね。
つまり、ファックスは紙そのものを直接送るんじゃなくて、相手の紙に「どこを白にして下さい、どこを黒にして下さい」って言う「信号」を送っているんです。
それを相手のファックスが紙に書き写していく仕組みなんです。
気象予報士・大野 治夫 先生
Q. ドラえもんのポケットの「四次元(よじげん)」ってどういう事ですか? 小6・おとこ
A.

橋本:普通、今いる世界は三次元(さんじげん)って言うんですが、知ってます?

こども:はい。

橋本:平らな所は二次元(にじげん)ね。
何が違うかって言うと、紙の上だと、「たて」と「横」の2つの方向しかないでしょう。
三次元だと、もう1つ方向があるの。
「高さ」「奥行き」「幅」っていう風に。
「高さ」「たて」「横」の方がいいかな。

四次元はさらにもう1つ方向があってね、高さ、幅、奥行き、それともう1つ何かっていうのが四次元なんです。
そのもう1つが何なのかというのは、実はまだはっきりとは決まってなくて、物理学の世界では「時間」だっていう考え方もあるんですけどね。ちょっと難しいかな。

大山:私も、今いる三次元の世界にプラス時間を入れると四次元になるって聞いた事があるんですが、じゃあ、どういうのがプラスになるのって聞いたら、「メビウスの輪」を教わったんですよ。
メビウスの輪って知ってるかな?

こども:知りません。

大山:あのね、細長いテープを使って、1つひねってノリで付けて輪を作るのね。その輪に鉛筆でずーっと線を書いていくと、全部1本につながるの。普通につなぐだけだったら、二次元の表と裏しかないから、絶対につながらないのに、一つ「ひねり」という「時間」を加えた事によって1本の線になるの。
これを一種の四次元の世界の理屈だっていう風に言う人もいるのよ。

橋本:まぁ、ちょっと難しい話ですよね。
今、ちょうど私の研究室でバーチャルリアリティ(仮想現実)を使って四次元を見る実験をやってますからそのうち見せてあげられるとわかりやすくていいんですけどね。


ロボット博士・橋本 周司 先生
女優・大山のぶ代 先生

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