おてんき・かがく

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Q. 津波の高さはどうやって測るんですか? 小6・おんな
A.

津波ってどういう波だか知ってる?津波の「津」はね、「港」という意味なの。で、普通の波は風で起こるでしょ。そうじゃない原因で起こる波を津波と言います。

代表的なものとして、地震で起こる波を津波って言うんだけど、普通の波の測り方も津波の測り方も基本的には同じなのね。波の高さを測るには「波高計(はこうけい)」という専用の器械があって、それは大きな港にはだいたいおいてあります。また、「検潮所(けんちょうじょ)」といって海面の平均的な高さを測るところもあってね、そういうので総合的に津波の高さを割り出しているんです。気象観測船という船もあって、それにも波高計が積んであるんだけど、それ以外の船はね、人の目で見て「だいたいこのくらいかなー」って測るんだよ。

普通、波が一番高いところと一番低いところの差を「波の高さ」って言うのね。それで、船に乗っている人は気象観測をして下さいというお願いがしてあって、そういう船の場合は、波の高さを目で測るんですね。波って海の深ーいところではそれほど高くないんだ。でも津波のスピードって、海が深いところだと速くて、浅いと遅くなるの。太平洋のまん中あたりだと時速700キロぐらいで、浅いところでも時速200〜300キロぐらいあるんだよ。

津波の波って大きなものだから、最初に一度、海の高さがぐーんと減ってからそのあと高くなるんです。そして陸地に近づいてくるころには、ギューって凝縮されたようになって、すごく高くなるんだよ。だから、波の予想ってむずかしいんだよね。よく、津波の高さ何センチって言うけど、普通の波の高さが、全体的に高くなったり低くなったりすることで、その差を何センチというふうに言うんです。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 高気圧ってなんですか? 小4・おとこ
A.

高気圧が来るとお天気ってどうなると思う?

こども:台風…

うーん、ちょっとちがうなー(笑)。じゃあねぇ、雲は見たことあるでしょう?

こども:ある!

で、入道雲(にゅうどうぐも)ってわかるかな?入道雲っていうのは、上の方に向かってモクモクとふくらんでる雲なんだけど、どうしてそれがモクモクしてるかっていうと、そこでは空気が上に向かって行ってるからなのね。雲っていうのはそういうところでできるんです。それで、高気圧っていうのは、空気が重いところなのね。逆に、空気が軽いところは低気圧っていうんだけれども、さて、空気が重たいところだと空気は上に行くと思う?下に行くと思う?

こども:下に下がる

うん、その通りなんだよ。つまり、高気圧では空気が重くて下がってくるの。っていうことは入道雲ができるときと逆だよね。ということは、高気圧のところでは雲が消えちゃうんです。つまり、高気圧があるところは雲がなくて晴れるところ、というわけ。ね、だから高気圧がくるとだいたいお天気はよくなるんです。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. カミナリが落ちたときに虹(にじ)が出たんですが、どうしてですか? 6さい・男
A.

そのときって、カミナリが落ちるのと一緒に雨も降ってたんじゃないかな?そしてその後、急に晴れてきたと思うんだよね。

どうしてこういうことがわかるかというと、虹っていうのはね、雨が降って、その雨がやんで急に晴れると出てくるんです。実はカミナリを落とす曇はあまり大きくないんです。だから、せまい範囲でしか雨が降ったりカミナリが落ちたりしないし、降った雨もすぐやんでしまうという性質を持っています。それに雲が小さいから、雲があるところとないところ、つまり雨が降っているところと晴れているところがとなり同士になっているときが多くて、そういうときは雨がすぐ晴れになっちゃうわけでしょ。だから虹が見えやすいんだよね。

だからキミが言った「カミナリの雨が上がるときに虹が見えやすい」というのは本当なんです。それに、ちょっと難しいことなんだけど、寒冷前線(かんれいぜんせん)というのがあるの。この寒冷前線のせいで雨が降るときも、すぐに晴れてくるの。そういうときも虹が出やすいんですよ。

つまり、虹は夏のカミナリの雨の後や、春や秋の冷たい風が入ってくる前に降る雨の後、「いきなり雨からに晴れに変わるとき」に見えやすいんですよ。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 海の波はどうしてなくなることがないの? 小3・女
A.

お風呂の中にザブンと入って、手をバシャバシャすると波が立つでしょ。実は、海の波もあれとまったく同じなんです。誰かがバシャバシャとやっているから波が立っているんですね。

じゃあ海の場合は誰がバシャバシャやっているのでしょうか?それは「風」なんですね。強い風がブワーッと吹くと、その風が海の水をバシャバシャするんです。

で、風も強く吹いたり、弱く吹いたりするよね。例えば台風の時なんてものすごく風が強くなるでしょ。そうすると海もバシャバシャとかき混ぜられて、波が強くなります。じゃあ、逆に風が吹いていないときはどうなるか。実はね、地球上では風が吹いていないことはないんだ。どこかで必ず吹いているの。

例えばハワイに行くと、サーフィンやる人がいっぱいいるでしょ。あのハワイの波はなんと南極から来ているんです。南極の方でものすごい嵐があって、その嵐が海の水をバシャバシャとやります。その波がハワイにまでやってきているんですね。

だから地球のどこかで風が吹いているし、その風が続く限り、海の波は立ち続けるんだよ。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 台風って赤道ではどんなまわり方になるんですか? 中1・女
A.

うわー、これは大人でも答えることが出来る人はいないんじゃないかな。

で、答えからいうと台風は赤道の上では出来ません。なぜなら、回転する力がないからなんです。この回転する力のことを「コリオリ力(りょく)」というんですが、この力は赤道上はゼロで、北と南に行くにつれて大きくなります。そして北半球と南半球は回転する方向が逆なんです。

ですから台風は赤道から南北に最低でもそれぞれ500キロから1000キロ離れていないと出来ないし、北半球でできた台風が赤道を超えて南半球に行くことはあり得ないということになりますね。逆に南半球で出来たハリケーンが北半球に行くこともありません。

ただそういっても小さなうず巻きや竜巻、つむじ風は起きることがあります。この場合は時計回りも反時計回りも両方あります。ただ、台風のような大きなうず巻きは赤道の上では出来ないということです。わかったかな?


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 何でおてんとうさまが出ている時に、暑いときと暖かいときがあるんですか? 4歳・おとこ
A.

キミは4歳だよね。じゃあまだそんなに経験はしてないよね。冬が寒いのは知ってるよね。

こども:はい

夏は暑いよね。

こども:はい

なんで同じ晴れでも夏より冬の方が寒いかって言うと、実は、冬は太陽があんまり上手に照らしてないの。夏の太陽は、頭のてっぺんから照らすわけ。頭の真上からどんどん照らすのね。これが冬だとね、横の方から照らすわけ。キミのお家にストーブはある?

こども:はい

じゃあ、ストーブに真正面から当たるときと、横の方から当たるときと、どっちの方が熱い?真正面からの方が熱いでしょう?真正面からだと熱いんだけれども、横の方からだとそんなに熱くないじゃない。

こども:はい

冬と夏でもそれと同じ様な事が起きてるんだよね。同じ晴れでも、太陽の照らし方が違うから、春の晴れと夏の晴れと秋の晴れと冬の晴れでは気温が全然違うわけ。分かったかな?

こども:うん分かった

もう少しお兄さんになったらもっとよく分かるからね。

永先生:キミはさっき、「おてんとうさま」って言ったよねえ。僕はとってもうれしかったですよ。他にも「おひさま」って言葉があるけど、キミは「おてんとうさま」って教わったのね。

こども:はい

大事にしようねこの言葉。時代劇なんかを観ていると、「俺が許してもお天道様(てんとうさま)が許さねえ!」なんてのも、そのうち分かるようになるよ。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. 台風は上陸した後なぜ勢力が弱くなるのですか? 中3・おとこ
A.

台風はどこで出来るかと言うと日本の南海上で出来ます。海の上じゃないとほとんど出来ません。じゃあ、どうして海の上で出来るかと言うと、水がいっぱいあって、その海水温が上がって27度以上になると、水蒸気としてどんどん蒸発するんですよ。

ところで、お湯を沸かす時って絶対100度以上にならないでしょ。どうして100度以上にならないかと言うと、水が蒸発するときに火のエネルギーをどんどん吸い取ってしまうんですね。だから蒸発した水というのはものすごいエネルギーをもっています。その水蒸気が水に戻るとき、つまり雲になる時にエネルギーを出すんですよ。それが台風のエネルギーなんです。だから海の上だと発達します。

で、海の上ってデコボコがあまり無いでしょ。だから摩擦が少ないのでどんどん大きくなれるんです。それが陸上に上陸してくると、水が少ないので水が蒸発する量が少なくなって、エネルギーが補給出来なくなるんです。そして、山などがあって摩擦が出てくるから、更に弱くなるんですよ。

だから上陸すると弱くなることが多いんですけど、ただ、必ず弱くなる、というわけではないんですよ。今回の台風(18号)は北へ抜けてから温帯低気圧になりました。温帯低気圧になりましたと言うとみんな安心するんだけど、温帯低気圧って言うのはそのエネルギーの構造が変わってくるんですよ。だから温帯低気圧になった場合は弱まらないで、むしろ、風の範囲や雨の範囲が広くなったりしますので、温帯低気圧になった時はさらに注意が必要です。

で、台風のエネルギーですけど、今、計算したら、一般的な台風のエネルギーと言うのは10の17乗ジュール(エネルギーの単位)。ジュールというのはワット(電力の単位)だと思って下さい。で、10の17乗ジュールというと、1のあとに0が17個ついた数字です。2000ccの自動車に換算すると1兆台分の力になるんですよ。すごい力だよね。


気象予報士・大野 治夫 先生
Q. 今年の夏は、どうして日本の近くで熱帯低気圧がたくさん発生したんですか? 小5・おとこ
A.

いつそれに気が付いたの?ニュースで言ってた?

こども:はい

キミはどこに住んでいるのかな?

こども:埼玉県です

だったら、東京の大手町にある気象庁から、そう遠くないね。気象庁に行って、今まで台風がどこで発生したかというのを調べてみるといいよ。そして、発生した所に地図の上でポイントを打つの。そうすると、確かに今年は熱帯低気圧が日本のすぐ南で多く発生しているんです。

なぜかって言うと、台風や熱帯低気圧は、もともとは熱帯の海、暖かい所でできるのね。だから熱帯低気圧って言うんだけれど、その暖かい海がどこにあるかによって、発生するところが違うんですよ。で、今年の海の温度がどうなってるのかというと、日本のすぐ南の海が温度が高いの。だから、そこでいくつも発生するのね。

でも、高いとは言っても、赤道付近ほどではないので、あまり発達せずに熱帯低気圧のまま日本に近づいてくるわけ。それが大雨を降らせたりしているの。だから、今年の熱帯低気圧がどうして日本の近くで発生しているのかというのは、日本の近くの海の温度が高いからなんですね。

じゃあ、なんでいつもの年よりも海の温度が高いのかと言うと、ちょっと難しい話になっちゃうんだけど、海水ってあっちに行ったりこっちに行ったり世界中を回ってるんですよね。そうやって、年によってどこの海の温度が高くなるのかが分かれるんです。で、今年はたまたま日本のすぐそばの海の温度が高くて、熱帯低気圧の発生する場所になっているんです。

毎年毎年、でき方が違うから、そういうのも夏休みの自由研究にするといいかも知れませんね。


お天気キャスター・森田 正光 先生
Q. この間スキーに行って思ったんだけど、山の上の方は太陽に近いはずなのに、なんで雪があるんですか? 小3・おとこ
A.

これは不思議ですよね。

だって、たぶん学校の理科の授業では、「あたたかい空気は上の方にのぼっていく」って習うんだよね。お風呂も、上の方はあたたかいのに、下は冷たいっていう時もあるよね。「あれ?逆だな、おかしいな」って思うよね。

うん、これがどうしてかというと、キミは最初「太陽に近い」って考えたでしょう?スキー場の上の方が太陽にどれだけ近いかを、リフトの下と一番標高の高いところで考えると、だいたい高さの差は1000メートル、つまり1キロぐらいなんだよね。じゃあ、地球と太陽の距離がどれぐらいあるかっていうと、なんと1億5千万キロもあるんだよ。ケタが全然違うよね。だから、1億5千万キロの距離のうち、1000メートル太陽に近づいたくらいでは、あたたかさは変わらないんです。

それと、山の上にのぼっていくと、空気がちょっとうすくなるし、100メートルぐらいのぼるごとに、気温が1度ぐらいずつ、どんどん下がっていくの。「雪がたくさん降る」っていうのはどういうことかというと、風が山に当たって、山に沿ってヒューッと上がっていくと、空気が、これ以上水が持てないよーってことで、雪になって降ったりするんだよね。そんなふうにして、空気の量が減って寒くなって雪が降る、ということもあるわけ。

だから、太陽に近づいてるのにおかしいな、というんじゃなくて、逆になってるんだということを考えてみて下さい。


五島プラネタリウム・国司 真 先生
Q. エルニーニョ現象は地球にどのような影響を与えているのですか? 小4・おんな
A.

エルニーニョ現象というのを簡単に言うと、地球の真ん中ぐらい、つまり赤道のあたりの海の温度が高くなっちゃう現象なのね。赤道のまわりっていうのは地球の中で一番暑いところだから、海の水も普段から温度が高いんだけど、それがもっと異常に高くなってしまうの。ちなみに、逆にあまり温度が高くならない「ラニーニャ」という現象もあります。

でね、北極や南極の海の水はとても冷たいよね。そして、赤道付近の海の水は温かい。で、海には「海流(かいりゅう)」という水の流れがあって、海の水はいつも動いてるんです。それで、温かい海水と冷たい海水が、ぶつかったり混じり合ったりすることで、海は命を保ってるわけ。どういう命かというと、小さなプランクトンがいて、それを食べる小さなお魚がいて、そのお魚を食べる大きなお魚がいてね、そうやって海には生命が満ちあふれてくるわけね。

それが、エルニーニョで海の温度が異常に上がってしまうと、まず海の中に変化が起きちゃうの。

例えば、南米の太平洋側に「チリ」という国があります。その沖のほうには、赤道から来た温かい海流と、南極から来た冷たいフンボルト海流がぶつかるところがあるの。で、ぶつかりあうと、そこで小さいプランクトンがたくさん生まれて、それを食べる小さいお魚がたくさん育つのね。

その代表が「カタクチイワシ」っていうやつで・・・知ってるかな?イタリア料理には欠かせない「アンチョビ」なの。それで、エルニーニョ現象が起きると、アンチョビがとれなくなっちゃって、イタリア料理は困っちゃうんだよ。まぁこれはチリの沖で起きる、ひとつの例なんだけど、何よりも地球全体として大きな影響が出るのね。

というのは、海がどういう風に動いているかっていうのが、地球全体の気候に影響を与えるわけ。で、エルニーニョが激しい年は、洪水が起きたり、逆に全然雨が降らなくて干ばつが起きたり、台風が増えたり、竜巻が起きたり、地球全体の気候に大問題が起きることが多いっていうのが、エルニーニョの環境問題として一番大変な所なんです。

わかったかな?


科学ジャーナリスト・中村 浩美 先生

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