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スタッフインタビュー

演出(3話4話7話8話担当)山本剛義

『家族狩り』を演出することになり、率直な感想をお聞かせください。

原作はとても哲学的な内容なのですが、脚本の大石さんがうまく噛み砕いた台本にしてくださったので、視聴者の方に伝わりやすいドラマならではの作品になると思いました。小説なら行間で伝わる表現を、映像としてうまく表現しなければと思いました。

坪井監督からバトンを受け、3・4話、そして7・8話を演出されますが……

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作品全体の世界観は坪井監督がきっちり作ってくださいましたし、役柄に関しては役者さんが一番分かっていてブレずに演じてくださったので、僕は3話からでしたが心配はなかったです。ただ、綾女の元夫・油井善博に関しては3話からグっと出てくるので、油井の世界観はしっかり作らなきゃいけないなと思いました。
あと4話に関しては、浚介の入院している病院でのワンシチュエーションに近い撮影だったので異質な感じがするかもしれないと心配したのですが、それも含めて大石さんの描いてくれた『家族狩り』の世界なので、それはそれで面白く仕上がったなと思いました。

油井の世界観をしっかり作るというお話がありましたが……

馬見原光毅という人物をきちんと見せるためには、油井を丁寧に描く必要があるなと。馬見原と油井は光と影というか、表裏一体というか、馬見原も一歩間違えれば油井だったかもしれないし、油井も何かが違えば馬見原だったのではと考えました。油井に関しては馬見原と対等に渡り合えるような男にしたかったので、谷田さんにも色々と試していただきましたし、映像の撮り方も工夫しました。
馬見原と油井には共通する部分が多く、馬見原の優しさを油井も持っているし、油井の狂気を馬見原も持っているという……綾女という女性が好きになった男性は、ほぼ同一人物であって欲しいと思いながら作り上げました。

油井に関しては、第8話から9話に繋がるシーンに印象的なセリフがあるんです。原作の天童先生が追加してくれたのですが、そのセリフに油井の全てが集約されていて、本当に素晴らしいセリフ・シーンですから、楽しみにしていてください。

游子と浚介に関してはいかがでしたか?

游子と浚介は3話の川沿いで心が通じて、4話の病室で気持ちが近づくんだけど、美歩が入ってきたことで、再び2人が離れてしまうんだよね。
そうそう、1・2 話あたりは游子と浚介のシーンは少なくて、浚介と美歩のシーンが多くて。3・4話で游子と浚介のシーンも増えてきて松雪さんと伊藤さんも馴染んだのか和やかな雰囲気になったんです。一方、浚介と美歩の関係が希薄になると、伊藤さんと山口さんの関係も距離感があるように見えてしまったというか……控え室の時点で、伊藤さんは松雪さんに話しかけたり、山口さんに話しかけたりして2人の間を行き来していて、游子と美歩に翻弄される浚介のように見えてしまって、なんだか不思議でしたね(笑)。松雪さんと伊藤さんが仲良く話していると山口さんが嫉妬しちゃっているように見えたり、伊藤さんと山口さんが仲よさそうにしていると松雪さんが寂しそうに見えたり……僕の勝手な印象なんだけど、そんな風に見えてしまって面白かったな(笑)

印象の残っているシーンはありますか?

3話ラスト火のシーンは大変だったのですが、伊藤くんが完璧にやってくれたし、カメラの森さんを筆頭にスタッフ全員が協力してくれたので迫力ある映像が撮れたと思います。

お芝居でいうと、美歩が游子を訪ねて、「もう2度と浚ちゃんに会わないでください」というシーンは2人に助けられました。普通にやったらサラっと流れてしまうシーンなんだけど、松雪さんと山口さんがアイデアを出し合ってやってくれたから、緊張感のある面白いシーンに仕上がったと思います。

具体的にどのようなアイデアがありましたか?

2人の距離感や動きだったり、目線のやりとりだったり、セリフの言い回しだったり……僕が「こうしてください」という前に、松雪さんと山口さんの中で「こうした方が面白いかも」「こうした方がもっと2人の気まずい感じがでるかも」というお芝居をやってくださいました。男が頭で考えて演出するよりも、女性ならではのアイデアを出してくれたので生々しいシーンになりましたね。そんな2人の芝居をどういう風に映像として切り取ったら面白いかを撮影部も照明部も音声部もスタッフ全員で作り上げてくれたので感謝していますし、素晴らしいシーンに仕上がったと思います。

『家族狩り』を演出していて、楽しさを感じたのはどこですか?

今回は、役者のみなさん全員がとても上手だったので演出していて楽しかったです。ワンシーンだけ出てくださった刑事役の方たちもすごく上手でしたし。松雪さんも伊藤くんも遠藤さんも……全ての方が「こういうスタンスでいってみたらどうだろう?」「このセリフはこうニュアンスかな?」などとアイデアを出してくださったので、演出的には「立ってセリフを言ってください」「ここで座ってください」「歩きながら○○してください」とガチガチに決めてしまうのではなく、まず役者さんの動きを決めずに自由にやっていただいて、そこから汲み取っていく作業を行いました。『家族狩り』に関しては、僕が思って芝居をつけるよりも役者さんにやっていただいた方が正解のことが多かったですし、役者さん自身にお任せすることで僕は違う目線でお芝居を見ることが出来たので新鮮でした。

コメディ部分を担った伊藤さんと北山さんに関してはいかがですか?

伊藤さんは本当に芝居がうまいので、何度も助けられましたね。ドラマでは浚介のバックボーンはあまり描かれていないのですが、ただ平々凡々の美術教師ではなく、心に負った傷を隠しながら生きている浚介を見事に演じてくださったので、浚介を演じられるのは伊藤君しかないと思いました。美歩に「結婚しよう」というところなんか、想像以上に男前でズルいな〜と思ったし(笑)。あと、游子と浚介、浚介と渓徳、浚介と美歩の掛け合いでの、伊藤くんのセリフとセリフの“間(ま)”をつまんでみたら、全然面白くなくて、この人の“間”は一切つままずにリアルに見せたらめちゃくちゃ面白かったので、伊藤くんは天才だと思いました。

北山くんに関しては、1話2話で坪井監督と北山くんが渓徳のキャラクターを作り込んでくれたので、僕的には楽でしたね。渓徳のようなコミカルでホッとする人がいないと物語が沈んじゃうので辛いのですが、北山くんが渓徳という人物を汲み取って演じてくれたので、撮影はただただ楽しかったです(笑)。

演出する上での難しさはありましたか?

登場人物の心の動きをリアルに描く部分とミステリーとして視聴者のみなさんにフェイクで見せなければならない部分に関しては苦労しましたね。登場人物の感情とは違うところで、怪しく見せたり、心の動きを無視した映像を撮らなければならなかったり……そのせめぎ合いは難しかったのですが、演出する面白さでもありましました。

最後にみどころをお願いします。

物語も終盤に差し掛かり、「誰が家族を狩っていたのか?」が徐々に明らかになるのが7・8話のみどころです。そして、「何故、家族を狩っていたのか?」は9・10話で明らかになるので、最終回まで1話も見逃さずに見ていただけたらと思います。

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