スタッフインタビュー

脚本大石静さん

『家族狩り』の脚本を担当することになったきっかけをお聞かせください

植田プロデューサーに11年ぶりに声をかけていただいて、即座にお引き受けしました。“また植田さんとお仕事したい!”と、ずっと思ってましたので。その後で、天童荒太さんの『家族狩り』をやりたいと聞き、小説を読んでみたんですが、これをどう映像化するのか、考え込みました。文字で読む小説と、生身の人間が演じて見せるドラマとは違いますので。
それで、「この残酷な物語を、毎週毎週、視聴者が見たいだろうか」と、植田さんに言いました。
そうしたら、ホッとするシーンや、ユーモアのあるシーンを、ドラマではオリジナルで構築しながら作って行けば、必ず名作になると、植田さんが言うので、プロデューサーを信じて進もうと決めました。

原作『家族狩り』の魅力はどこだと思いますか?

天童さんは小説家でありながら、どこか宗教家のようです。
何作か読ませていただきましたが、優れたミステリーでありながら、地球を俯瞰で見ているような、神のまなざしを感じます。そこが、他の作家にはない天童さんの魅力であり、不思議なところだと思います。
私は、オリジナル・ドラマにこだわって脚本家をやって来ましたので、昨今の原作主義を、本当に悲しく思っています。ですから、心から尊敬できる作家の、尊敬できる作品でなければ、脚色はしません。天童さん独特の視点と哲学、地球を俯瞰で見るような眼差しを大事にしながら、台本を書きました。

現代において、『家族狩り』を映像化する意義とは?

3.11以降、テレビの世界は、ニュースもドラマもバラエティーも、奇妙なやさしさに満ちた、ヌルイものばかりになりました。
家族の絆を謳い上げるものばかりで、私も辟易していました。
家族はそんなにステキなものなのでしょうか? 
人は生まれ出た瞬間から、死に向かって生きる残酷な存在です。家族がいようと、仲間に囲まれていようと、人は孤独で哀しい存在です。
この偽善的なやさしさに満ちた今、『家族狩り』の残酷な物語を、あえて日常空間で見るテレビドラマにすることは、ものすごい冒険だと感じます。でも、視聴者の皆さんが、言葉を失うような、衝撃的なドラマなら、この嘘くさい時代を突き抜けるかも知れません。

台本にする上で、苦労したところはありますか?

こんな苦しいお話を、毎週視聴者の方に観てもらうにはどうしたらいいのか、というところですね。
天童さんの原作は、残虐なシーンは見せ場です。しかし、テレビドラマには、様々な規制もあり、表現にも限界があります。
この物語を、毎週続けて見ていただくためには、原作にはない笑えるシーンや、ホッとするシーンが必要だと感じ、そこをオリジナルで構築しました。
それ以外に苦労はありません。オリジナルを書くより、ずっと楽でした。天童さんの見事な物語があるんですから。

1話をご覧になった率直な感想はいかがですか?

まだ完成品ではないのですが、主演の松雪さんはさすがでした。人間を深く深く演じようとしているのが、よくわかります。台本の読みも深いし美しいです。あと、游子と民子のシーンもとても良かったです。浅田美代子さんの母、松雪さんの娘、2人の仲がいいんだか悪いんだかわからない感じというのは、身につまされます。見せ場ですね。
坪井監督の演出も、原作の持つ格調と芸術性と、エンタテインメントのバランスがよく、残酷シーンも実に美しく演出されています。将来スター監督になるような予感がします。
遠藤憲一さんは強面の役が多いと思うんですが、今回は刑事の顔と、愛する女と子供に見せる戸惑うような表情、やさしいまなざしが、実に新鮮です。

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