イメージ

スタッフインタビュー

第5話演出 伊藤雄介さん

『家族狩り』の演出を担当することになった率直な感想をお聞かせください。

僕にとっては『家族狩り』がドラマ初演出なので、非常に難しくハードルの高い作品だと思いました。しかしそれと同時に、とても誇らしく光栄です。

原作はお読みになられましたか?

イメージ

僕は20年前のオリジナル版を読んだのですが、とっても衝撃でした。サスペンスとしての面白さで惹きつけながら、後半は深い人間ドラマになっていくという形は素晴らしいですね。演出する上では、サスペンスとしてのエンタテインメントと人間ドラマの両方を魅力的に表現したいと思いました。

最初から、第5話を演出すると決まっていたのですか?

クランクインした頃は何話を担当するのか決まっていなかったので、本打ち(脚本を作る過程での打ち合わせ)や撮影現場を手伝っていました。その後、第5話の初稿台本を読ませていただいて、“これを演出したい!”と思っていたら、担当できることになったのですごくうれしかったです。

5話を担当することになり、演出する楽しさはどこでしたか?

1・2話で坪井監督がベースの世界観を創ってくださり、3・4話で山本監督が世界観を引継ぎつつも違った視点での「家族」を見せてくださったので、僕は未熟ながらも3つめの変化を加えられたらと思いながら演出しました。第5話は1話〜4話までの間に積み上げられたそれぞれの家族の人間関係や物語が一気に交わり変化していく節目・転換期にあたる部分なので、とっても魅力的で演出していて面白かったです。

伊藤監督がこだわった点はどこですか?

第5話から崩壊の道へと変化していくので、悲劇へと大きく流されていく人間のサマを可能な限り、劇的に、美しく、叙情的に見せられたらと思い、「赤」という色を意識的に配置しました。赤いバラを使ったり、スタッフにさくらんぼ大福を作ってもらったり、游子と浚介の美術室のシーンの明かりを柔らかくて暖かいオレンジっぽい色味にしました。

あとは、氷崎游子に関していうと、1・2話では余裕がなく破裂しそうになっていて、3・4話で浚介と出会って少し変化します。そして第5話では、游子が今まで見せなかった明るく可愛らしい表情を見せるようになるんです。ですから変化した游子をチャーミングに撮りたいと思いました。ただ、あまりやり過ぎると『家族狩り』の世界観から離れてしまうので、物語のスパイスとして加えました。

可愛らしい游子にこだわった?

そうですね。僕はこの作品で初めて松雪さんとお仕事をしたのですが、視聴者として松雪さんの作品を拝見していて、とてもキレイで深みのある人だという印象でした。けれど実際お会いして気づいたのは、美しさと同時にチャーミングでかわいい表情をするなと。今まで僕はそれを知らなかったので、少しでもそういう表情を出す機会があればいいなと。ただ、『家族狩り』というシリアスなドラマでは難しいかもしれないと思っていたのですが、第5話では游子と浚介の恋愛感情?なのか、人と人との友情?なのかを感じさせるシーンがあったので、そこで游子さんの綻ぶ表情が撮れたので満足しています。

氷崎家のシーンでは北山くんと意見交換されている姿を見かけましたが……。

そうですね。撮影前に北山くんとはかなり話しましたね。このシーンは游子のことを渓徳と民子が悪気なく冷やかしているというものなので、渓徳はどういう心境で話しているのかという北山くんの意見が聞きました。北山くんと浅田さんとは、「少しお茶目に悪乗りしたいよね」と言ってくれたのですが、会話を引っ張っていく渓徳の芝居が固まれば周りもそれに合わせられるので、丁寧に話しました。さっき、可愛らしい游子さんにこだわった話をしましたが、このシーンの游子さんの表情もとってもかわいらしくて素敵なので楽しみにしていてください。

撮影していて印象的だった方はいらっしゃいますか?

みなさん印象的なのですが……秋山菜津子さんにはものすごく助けられました。佐和子の不気味な感じと人間らしさを見事に表現してくださいましたし、躁鬱の切り替えも素晴らしかったです。綾女と対峙するシーンでは、お互いに背負っているものがあるため、非常に緊張感のあるシーンに仕上がったので、間違いなくみどころのひとつだと思います。

浚介と勇治のやりとりでは、時間をかけて丁寧に撮影されていましたが……

4話からの流れで游子と浚介が実森勇治の家に駆けつけるのですが、浚介と勇治のやりとり部分は難しかったですね。伊藤さんともかなり相談しました。それは浚介と勇治の距離感であったり、拒絶や抵抗であったり、変化していく心理状況であったり……それを様々な手法で表現したので、そのやり方が正解なのか分からないのですが、注目してご覧いただければと思います。

息子から暴力を受けている母・智代(占部房子さん)や息子・勇治(岡山天音くん)とお話されている姿もよく見かけました。

占部さんとはロケの時にお話させていただいて、実森智代という人物をどのような人物だと考えてらっしゃるのかお聞きしました。占部さんが裏設定を非常に細かく作ってらっしゃって、それが僕の考えていた方向性と同じだったので、細かい演出をする必要はなかったですね。確実にいいお芝居になると思いました。 天音くんは自分の中で納得していないセリフや行動……例えば、浚介からのメールを読む際に携帯を持っているのか、置いているのか?そういう細かいところに関しても、勇治の心境として納得いかなければ必ず聞いてくれたので、そこで意見を戦わせたり説明したりしました。お互いが納得してから撮影に挑めましたし、圧倒するお芝居を見せてくれました。

今お話した方に限らず、松雪さんも伊藤さんも遠藤さんも……出演者のみなさんが、「このシーンでこういう案があって……」などと、たくさん提案してくださったので共に作り上げていると感じましたし、よりいい作品を作ろうという思いに溢れている現場です。

最後に、5話みどころをお願いします。

第5話は、すべての登場人物が精一杯もがき苦しみ戦いながら生きていくんだけども、ちょっとした歯車の狂いで壊れていってしまいます。人間同士の戦い、人間と運命との戦い、そして何のために自分は生まれてきたんだろうという根源的な問いが浮かび上がり、視聴者のみなさんに何かを感じ取っていただけるような作品に仕上がっていると思います。ぜひご覧ください。

スペシャルコンテンツ

グッズ発売中!

PAGE TOP