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スタッフインタビュー

美術青木ゆかりさん

『家族狩り』のセットを作る上でのこだわりはどこですか?

今回は、“家族”をテーマにした内容だったのでとにかく登場人物の家を丁寧に作りたいと考えました。登場人物の人柄や暮らし方がひと目で視聴者のみなさんに伝わるようなセット作りを目指しました。

一家心中?殺人?というミステリーの要素もありますが、家族に重点を置いた?

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ミステリーに関しては脚本や映像などで伝えられますが、美術の役目はセリフで説明されない登場人物たちの醸し出す生活感を見せることだと思っているので、 “家族の住む家”にこだわりました。
ただ知らない世界で起こった事件ではなく、どこかで見たことのあるような家だったり隣の家のようだったり、事件が身近で起こっているように感じたら怖いしゾッとしませんか?その方がミステリーの要素をより面白くするだろうと思い、どこにでもありそうな家や空間を意識して作っています。

氷崎家に関してはいかがですか?

色々とこだわりはあるのですが……例えばキッチンに立ったときの小物の配置には気を遣いました。調味料をきちんと並べるのか、関係ないものも置いているのか、鍋などを出しっぱなしにしているのか、しかるべき場所にすべて片付けているのか、そういう細かい事に気を配って、どんな家族が生活しているのかがひと目でわかるようにしています。
氷崎家では、洗面所があるのに游子はキッチンで手を洗うんです。シンクに石鹸が置いてあるのは、それが習慣となっている家族なんだろうなと。また、清太郎さんの洗濯物はたくさん出るだろうからサンルームに干しっぱなしにしていて、ハンガーから取って着替えさせているだろうとか、昔からある物を捨てられなくてすっと置いてあるとか……。自分の家とは違う、“人の家の臭い”ってあるじゃないですか。私たち美術スタッフは、台本の行間にある物語を想像してセットを作り上げています。そういう小さな積み重ねが臭いを作り厚みになるといいなあと思っています。

馬見原家はいかがですか?

馬見原家はある意味“独特な家”なんです。元々は、家族皆が住んでいた家。息子(勲男)が亡くなり、娘(真弓)も出ていき、奥さん(佐和子)も入院していて、旦那さん(光毅)が一人で生活しているけど、ほとんど帰らない。男の人がひとりで暮らしている感じを出しました。家の古さは氷崎家と同じくらいです。
その後、奥さんが退院して帰ってきて自分の好きなものを飾るのですが、違和感があり、しっくりこない。それがギクシャクしたこの夫婦や家族を象徴しています。すごく難しかったのですが、ひとつの形として答えを出せたかなと思っています。

巣藤浚介はいかがですか?

浚介は良くも悪くも自分を持っている人だなと。彼なりの几帳面さがあって、他人に煩わされたくない、何かが1ミリでも動いていると気に入らないみたいなところがあるのかなと。美術教師という職業柄、アートを意識した独特の部屋の作り方みたいなのが出来ればと思って作りました。
色味も氷崎家や馬見原家とのバランスを考えて、浚介の家はビビットで赤や黒などハッキリとした色を使い、浚介なりの美術的センスを表現しました。
そこに美歩が入ってくることによって、崩されていってイライラする姿が出せれば面白いかなと。
人はひとりでいるときは自分の世界でいられるけど、恋人や家族など人数が増えるほど乱されるんです。ひとり暮らしの人と家族と生活している人の暮らし方は絶対に違ってくるから、浚介の家は氷崎家や馬見原家とは違う面白さがあります。これから美歩と2人で生活していくのか、やっぱり1人じゃなきゃ生きていけないのか……セットを作っていてそうやって変化していく部分は楽しいですね。

芳沢亜衣の家はいかがですか?

芳沢家は、父親(孝郎)が“自分の城を守る”ということに対してのプライドが異様に高くて、家の中で生活している家族に対しては興味のない人なんだろうと想像し、物をあまり置かずに大きな空間を強調するように見せています。芳沢家はキーになる家なので、氷崎家や馬見原家などとは違う空間というか、ガラっと趣をかえて捻った表現をしています。

一家心中した家で、死体をみて“美しい”という表現がありましたが……

死体が “美しい”という表現はとても難しかったです。何が美しいのか分からない。部屋が整っていて美しいのか、絵に描いたような美しさなのか……。考えてたどり着いたのは、『家族狩り』が表現したいのは目に見えた美しさではなく、亡くなる直前の気持ちが美しいという意味なのでは?と。苦しみや無念ではない死だからこそ、浄化された美しさがあるのでは?と思いました。美しさを表現するために部屋を整えるのではなく、恐ろしく荒れた部屋の中でもふとその空間が美しく見えればいいのではないかと。小説を読んでいると人は自分の脳内で映像を描きますが、映像として共有してもらうのは難しいですね。私が“美しい”と思って作っても、「これが美しいの?」と言われる可能性がありますから。大勢の人に共感していただけるようにするためには、まずスタッフの中でどれだけ共有できているかが重要ですから、何度も相談しながら作り上げました。視聴者のみなさんがどう感じてくださったかは分からないのですが、成功しているとうれしいです。

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