田中直樹さん/千原 淳一役
上野樹里さん演じる水野明日美さんに復讐される役柄ですが、医者としても最低なヤツなので、しっかり最低な部分を演じて、「アイツ、憎たらしいなぁ」と嫌われるように出来ればと思いました。復讐されるだけの理由を、観ている方たちにキチンと感じていただけるようにしなければと考えました。
患者のことは二の次にして、自分の出世ばかりを考えているヤツですね。セリフにもあるんですけど、手術の数より論文の数といった感じで、自分の研究とその論文を書くことにだけ気持ちが向いている医者です。その先には出世が待っているんですが、そこを目指すために、より多くの論文を書かなければという考えにより、患者に対しては「愛想よく笑って対応していればいんだよ」と言ってはばからない。
でも、家族を大切に考えているところもあって、自分の子供をすごく溺愛しているという面もあるんです。キャラクター設定にはありませんけど、もしかすると医者になりたての頃は、良い医者になりたいとか人の役に立ちたいといった、高尚な目標を持っていたのかもしれませんね。それが、いつの日か何かのきっかけで“出世”という道にこだわり始めて、患者さんをないがしろにするようになってしまったのかも…。
先ほども言いましたけど、ドラマを観ている方に「こいつ最低やなぁ、復讐されて当然だ」と思っていただけるように演じるということでしょうか。以前、麻酔科医の役はやらせていただいたことがありましたが、今回は全く違う性格の医者なので、「なんだコイツは!?」と、しっかり嫌われる、まずはそこですね(笑)。
具体的には、表情や声のトーンとかで、千原の嫌な部分を出せるよう演じられたらと思っています。監督もいろいろと細かくアドバイスをくれまして、“不思議の国のアリス”に登場するあるキャラクターが千原のイメージですと説明してくれました。あまり患者さんと目を合わさず、なにかニタニタと話をする感じですね。どんなキャラクターかは、ぜひ放送をご覧ください。
ドラマの中の話といえども、上野樹里さん演じる明日美さんのお父さんの死に関わる関係者として、申し訳ない気持ちもあるんですけど(笑)、そんな申し訳ない気持ちを抑えて嫌なヤツに徹したいと思います。
普段はバラエティーの現場で仕事をしていますが、ドラマの現場といちばんの違いというと、ドラマの現場は監督さんがいて演技を付けてくれるところです。もちろん、バラエティーの現場にも演出家はいますが、本番が始まれば自分たちに委ねられる部分が大きい。そんな違いがありますが、僕はドラマの現場で監督に演技を付けてもらうのがすごく楽しいんです。セリフを覚えるのは大変ですし、今回は医者なので専門用語も多いので、繰り返し声を出して覚えるようにしています。呼んでいただいた以上、みなさんのご期待に沿えるよう、がんばりたいと思っています。
手術シーンはセットも雰囲気もすごくて、お芝居といえども、ものすごく緊張感がありますね。メスを入れるシーンがありまして、人間の皮膚に似せたダミーなんですけど、実際に血が出るんです。そのシーンは本番一発勝負だったんですけど、本当に緊張しましたね。セットの雰囲気から役の気持ちにスッと入っていけるような、そんな撮影現場でして、その雰囲気に助けられているところもあります。
やっぱり、主人公の明日美さんがどうやって復讐を遂げていくかですよね。台本も本当におもしろくて、「この先どうなっていくんやろ!?」って、読んでいるだけでゾクゾクします。
復讐されておいてなんですけど(笑)、この先どうなっていくのか? 明日美さんがどんな復讐を展開するのか? 僕自身、本当に楽しみなので、みなさんもぜひ楽しみにしていただければと思います。